2018年8月31日金曜日

かこさん・セツル・ソビエトアヴァンギャルド 過ぎ去った美しい過去について

30日木曜日、かねてより行きたいと願っていた川崎市市民ミュージアムの展覧会を観てきた。
どうせだから、その前にとどろきアリーナで行われていたイスラエル軍事見本市ISDEF-2018の抗議にも行ったが、それは項を改める。

  のお仲間と市民ミュージアム前で別れて私はかこさとしのひみつ展へ。


堀内路子さん(旧姓内田。うちだりさこさんの妹)はかこさんを福音館の松居直さんに紹介されたそうだが、姪の早未恵理さんはかこさとしふるさと絵本館と関わっているのか。かこさんも堀内・内田ラインと繋がる。

絵本原画の数々を間近に目にすることのできる有り難さ。特にかこさんの絵は細かく正確でそれを確認できたのは嬉しい。
ただ図録がないのが惜しい!
関連企画もほぼ終わってしまっていたし。
やはり展覧会は早いうちに行かねばならない。今回も反省。

ワンピース大人サイズ完売
カラスのパン屋さん柄ブルーのエプロンも完売
私が購入したのはクリアファイルとハガキセット

かこさとしのひみつ展 何が秘密なのだろうか?絵本作家になる前、軍国少年だった頃の 
多くの例にもれず、かこさんは小学生の時からあのかこさんだった。天才。日記帳の画面構成が工夫の嵐!

しかし、敗戦を経て変わり身早かった大人たちを見てかこさんは大人よりも子どもを信じる。
この敗戦の反省と平和の希求こそ絵本作家かこさんの源泉。
東大セツルメントで子ども会と関わる。
就職後も近所のセツルで活動、紙芝居、人形劇。
というわけでアートギャラリーで開催されている川崎セツルメント展は関連展示なのだった(後述)。

かこさとしのひみつ展 未来のだるまちゃんへコーナーが愁眉。
「敗戦のとき、僕は十九歳でした。僕は『終戦』と言わないで『敗戦』と言うのですが、それは戦争に負けて、てのひらを返すように態度を変えた大人たちを見て、ものすごく失望憤激したからです。」



科学の視点からわかりやすい理系の本を送り出していたかこさん、素敵なストーリーの”文学”を子どもたちに贈ってくださったかこさん、原画を目の前にして感無量だった。平和を希求する態度も示されていた。強いて言えば日本の伝統遊びを紹介し続けていた面が薄かったかも。


川崎セツルメント展-地域に根差した社会事業-はかこさとしのひみつ展の関連企画。かこさんが学生時代から昭和電工で働いていた青年時代に参加していた古市場でのセツルメント運動に関連し、とはいえ、そもそもセツルメントとはということでイギリスのセツルメント発祥から展示が始まるという丁寧さ。

正直「時代が違うな」と感じた。エリート大学に学び企業に勤めながら地域の子ども会活動に打ち込めるなんて。高校の恩師から『氷川下セツルメント史』を送っていただいたのだけど、かこさんが活動していた川崎古市場は一大拠点だったがセツルメントの活動は80年代以降は急速に衰退してしまったようだ。


川崎セツルメント展-地域に根差した社会事業-は、セツルメント運動の始まりから日本の学生セツルメントの資料、川崎セツルメントの写真の数々を展示、さらに終章では川崎の成人教育の資料が陳列されている。「~学級」という数々の教室は現在公民館などで行われている各種講座とは何とはなく違う気が。



川ミューのアートギャラリーの企画展「ロシア革命とグラフィック表現-ソビエト絵本とその時代」展も実は「かこさとしのひみつ」展の関連展示なのだ、ということが「ひみつ」展1.コーナーでわかる。
彼が収集していたソ連の児童雑誌の展示があるのだ。
おお、これこそ2003年にここで行われていたあれだ!と思った。

今回の「ロシア革命とグラフィック表現-ソビエト絵本とその時代」展展示のポスターは2003年開催「ポスターのユートピア ロシア構成主義のグラフィックデザイン」で展示されたものかと思ったら「社会主義の建造物」※とか図録になくて。



そうか、今回は「当館蔵」のポスター+町田市立国際版画美術館の絵本。

対して「ポスターのユートピア」はペテルブルクのロシア国立図書館所蔵作品なんだ。共通した作品もあるけど。有名な「君は義勇兵に登録したか」とか

ペトのロシア国立図書館って、WOWOWの「もしも建物が話せたら」に登場するロシア文学朗読の建物でしたね。

「かこさとしのひみつ」展には図録がないので出品作品リスト「ロシア絵雑誌7点」としか書かれていなかったのをリストアップ
①Весёлые картинки №5 май 1964
②Мурзирка №5 май 1955
③Весёлые картинки июль 1967
④Арбузная бригада
⑤Чижик, Пыжик, Рыжик и Женя Жукова
⑥Весёлые картинки №10 окт 1961
⑦Говорит и показывает

あと出品作品リストには掲載なかったが『ソヴェト芸術の二十年』昇曙夢著大東出版社, 1937年と『ソウェートロシヤ映畫大觀』辻恒彦著原始社1928年の展示とジガ・ヴェルトフ「キノ・プラウダ」スライド上映があった。
 
さよなら三角また来て四角
会期はあと1週間くらいだがもう一度来たいものだ
 




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