2015年11月30日月曜日

今年のクリスマスに贈る本

もう12月!
というわけでありまして、今年も書きます、クリスマスに贈る本。

堀内誠一さんの絵本デビュー作。パウル・クレー風の絵がとっても素敵。
ストーリーも泣かせます。フランスの小学校の児童達の共同制作なのです。

祖父から贈られた本で、これまでに何度も何度も読みました。
おじいさま、ありがとう!
この本は、私にとって、永遠のクリスマス絵本なのです。


出版社の紹介分より
「ある朝ジョギングにでかけた小枝のパパは犬に追いかけられ、子供の遊び道具にされ、 鳥の巣になり、川に流され、バットにされたり、ブーメランにされたり……単なる小枝として小枝のとうさんは散々な目に遭います。
そんな小枝のとうさんに奇跡がおきます。
子供たちが大好きなクリスマスのヒーロー、サンタさんによって・・・。2015年11月末に刊行されたばかりの本。読んでみたい。

猫にいがちなちょっとすねた表情が可愛いトスカ。すてきなクリスマスになってよかったね。

『くろうまブランキー』に似ている。まず、ストーリーがある意味そっくりで、サンタクロースの橇が夜空を駆ける場面の絵も堀内誠一さんのそれにそっくりだ。心温まる話ではあるが、その点がひっかかった。

日本エディタースクール出版事業部
発売日 : 2003-12
動物に関するロシア民話を集めてあります。
ペテルブルクで訳者の留学仲間だったというフィリップ・キイーさんの絵はちょっと地味ながら上品でいい。

宗教の融和と平和なクリスマスを願うほのぼのしたいい話。でも、難しいことを考えずとも、読んだら優しいきもちになるでしょう。

ハリーも、おかあさんも、サンタさんを信じていたんですね。

お母さんが病気でお父さんがふさぎこみ、クリスマスの準備をしていない家。
その家のねずみがねこのおかみさんに「何とかしよう」と呼びかけて、サンタクロースを迎える準備をします。
ねことねずみのクリスマスの話はビアトリクス・ポターの『グロースターの仕立て屋』を思い起こさせます。
このねこのおかみさんはなかなか有能ですが、言われるまでは暖炉の前でのびて寝ていたんですね。
手柄はねずみに譲り、控え目なところもいいです。
目覚めたお父さん、しっかりしてくださいよ。

『うさこちゃん』のブルーナによるクリスマス物語。
横長の判で、いわゆるブルーナ・カラーから外れた茶色・深緑・グレーなど彩度の低い色遣いが目立ちます。
しかし、シンプルな造形はそのままで、優しく静かにキリスト降誕の福音を伝えます。

パラパラ漫画にちりちりと鈴がついています。さあ、皆練習してうまく鈴が鳴らせるようになりましょう!知人に贈ったら、彼女は慰問に行った養護施設で子どもたちに喜ばれたので置いてきたという。そうしてもらって嬉しい。

クリスマスは皆幸せになることになっている。

クレア・ターレイ・ニューベリー文・絵光吉夏弥訳大日本図書1988年刊
カチャーノフの大傑作アニメーション「てぶくろ」のねこバージョンみたいで、こういう話には私はめろめろです。
シャムもいいけど、白黒ねこも可愛いぞ!

現在入手できるのは改訳されて少年文庫に収められた『青矢号 おもちゃの夜行列車』。
でも、挿絵はリウニティ社版から採ったというM.E.アゴスティネルリのものがいいと思うので、1965年刊行の「岩波ものがたりの本1」として出されたこの旧版が好き。
チェコのアニメーションによくあるような、おもちゃたちが自らの意思を持って子どもたちにプレゼントされようとするストーリー。
ロダーリは『チポリーノの冒険』等貧困や不正に対して果敢に闘う冒険ものが得意な児童文学者。本職はイタリア共産党発行の子ども新聞の編集者でした。
なのでソヴィエトで支持されたのだろうけれど、親が貧しいためにプレゼントを貰えない子どもたちのためになろうという、おもちゃたちの言動が泣かせます。

なお、この絵本のストーリーが展開するのは、クリスマスから約2週間後のエピファニー(1月6日)です。
(イタリアではクリスマス・イヴではなく、エピファニーの日にプレゼントを貰うのです。)

現在入手できるのは改訳されて少年文庫に収められた『青矢号 おもちゃの夜行列車』。
でも、挿絵はリウニティ社版から採ったというM.E.アゴスティネルリのものがいいと思うので、1965年刊行の「岩波ものがたりの本1」として出されたこの旧版が好き。
チェコのアニメーションによくあるような、おもちゃたちが自らの意思を持って子どもたちにプレゼントされようとするストーリー。
ロダーリは『チポリーノの冒険』等貧困や不正に対して果敢に闘う冒険ものが得意な児童文学者。本職はイタリア共産党発行の子ども新聞の編集者でした。
なのでソヴィエトで支持されたのだろうけれど、親が貧しいためにプレゼントを貰えない子どもたちのためになろうという、おもちゃたちの言動が泣かせます。

なお、この絵本のストーリーが展開するのは、クリスマスから約2週間後のエピファニー(1月6日)です。
(イタリアではクリスマス・イヴではなく、エピファニーの日にプレゼントを貰うのです。)

日本では今年上映されたスヴィエラークの人形劇(アニメーションではないようだ)映画「クーキー」にも、善きことをしようという意思を持つおもちゃ・縫いぐるみらが登場するが、ロダーリのおもちゃたちはより貧しく虐げられた者たちに寄り添っているように思えますね。 特に今わの際の老女と共にあろうとする人形に心打たれました。
これぞクリスマス精神!
絵が少々残念。

サンタさんをお手伝いするろばのお話。
『くろうまブランキー』に似ているかも。

有名な『てぶくろ』の同画家によるリメイク。
リメイクというと大抵はオリジナルより評判が悪いものだが、これは稀有な例外で、あっさりして上品な味わいのある素敵な絵本に仕上がっていて、これもまたよし、との評価を受けています。

クリスマスないし冬の絵本としては、これは定番中の定番かなあ。

天に召された友人に思いを馳せつつ・・・。

シメリョフ、テフィ、ブーニン、ゾシチェンコ、ナボコフ、チョールヌイ、ドストエフスキイ、ソログープ、グリーン、クプリーン、チェーホフ、ワグネル、レスコフ、と錚々たる顔ぶれのクリスマス物語集。
アレクサンドル・ベヌアの絵の表紙がおしゃれ。
CD付きも販売されているけれど、表紙のデザインはCDなしの方が好き。

未知谷のチェーホフ・コレクションはどれも宝物になる。絵を描いたタバーフは世界的アニメーター、ノルシュテインの愛娘。
ヨールカ(樅の木)に飾り付けしている絵のカードが欲しいなあ。

2015年11月29日日曜日

くにたち2015

前回国立に行ったのは2009年3月だった。
今回は東西書店が閉店していた(まだ一部の看板は残っていた)。
銀杏書房のレジにはおばさまが座っていた。

そして会場の私立男子校がピカピカに建て替わっていた!
上履き履くんですよ、あの男子校が!
それで、会場の教室を、前を歩いている現役の生徒さんに尋ねたのだが、「あちら側の校舎で、確か3階です」とあやふやな答え(結果として正解ではなかった)ので、生徒さんたちもまだよく把握していない様子。
一橋大学の中に入ってみたら、そこもまた変わっているのだと思う。

しかし、相変わらずロージナ茶房は健在で、当日利用した方の話によれば相変わらずのボリュームであるとのこと。

駅前は整備中。南北の出口をつなず自転車道も、どうにかしようという雰囲気ではあった。

2015年11月23日月曜日

カザフ、天使が見たかった

カザフの「わたしの坊や」 干上がったアラル海沿岸の「打ち捨てられた」町なので厳しい環境ではあるが、映像は美しい。でもカネフスキーとかの90年代にロシアで盛んに作られた暗黒映画の系譜で新鮮さ無し。「トライブ」にも似ているがエログロではないのが救い。
「わたしの坊や」とウクライナの「トライブ」の共通点は主人公が障害者という点、90年代ロシア暗黒映画の真似っこである点。人まねでないテーマで作れるようになったらいい監督になるかもしれない(と、「トライブ」のときも思ったのだった)。

左から2番目が監督さん


オデッサ海岸通り: ウクライナ映画の遠い夜明け: ウクライナ映画「ザ・トライブ」をようやく観た。 実は予告を観て、あまりそそられない映画だった。 友人が「荒んだ世相を表した作品のような気がします」と手紙に書いていたが、私もそんな気がしていた。 そんな映画、ソ連崩壊後のロシア映画によくあったじゃないか。 初期ボドロフ、カネ...

パナヒにしてやられる


東京フィルメックス映画祭ジャファル・パナヒの「タクシー」はいかにもなドキュドラマだけど、パナヒの術中に快くはまった。キアロスタミの「十話」みたいかと思ったらさにあらず。でもこれじゃ上映許可でないよな。挑戦的な(挑発的ともいう)パナヒさん。

相変わらず映画を作ることをイランの政権から禁じられているパナヒさん、前作は「これは映画ではない」という人を喰った(まさに挑戦的な)作品を作ったが、これもその延長線上にあり、しかもあざとさ(いい意味で)も上を行く。

イランのタクシーは相乗りするので(しかも、公共機関では禁止されているはずの男女の相乗りもありで、マルシュルートカ化している)、最初タクシーに乗っているのは見知らぬ男女、いきなり死刑論議を始める!
でもその後のおじさんがなかなかコミカルなキャラ。

(ここでトルコのジェイラン監督への言及。憧憬も当然あるだろう。)

あと口達者な姪御ちゃん、「白い風船」や「運動靴と赤い金魚」等々に出てくるおしゃまなイランの女の子の系譜だが、まあかなり強力な、ねびゆかんさまさぞやという…、いや可愛いんですよ、とっても。

こういう作品を緩く見逃すようになってこそ、なのだよ、ロウハニさん。

2015年11月22日日曜日

永遠なるグルジア、永遠なるピロスマニ

今なぜ「ピロスマニ」の再上映なのか。
今回はオリジナルのグルジア語版での上映だという。

でも、まあタイトルやクレジットはキリル文字(つまりロシア語)表記。
あと、途中で音が途切れたと思ったら突然ロシア語に切り替わったところがあった(姉夫婦が訪ねてきたところ)。

一緒に観に行った家人は完全にピロスマニをアンリ・ルソーと勘違いしていた。
画風、似ているか、そういえば。

岩波ホールのロビーでは彼の絵の写真が展示されていた。
「百万本のバラ」のマルガリータの絵もある。
(映画にはマルガリータは出てくるが薔薇のエピソードには触れていない。)



こちらの本を読んで、画家の生涯、また彼の絵についての知識がついていたので、

ピロスマニの生涯に沿って、次に絵に描かれた対象別に、彼の絵を紹介・解説している。著者の思いがそれぞれにこもっていて心打たれる。ピロスマニの映画は何度も観たし、彼の絵も展覧会で何度か観たけれど、黒いキャンバスを使っていたとは知らなかった。映画ではいかにも浮世離れした天才という感じだったが、実際繊細な神経を持つ大変人だったようだ。新書なので絵は小さいが、いたしかたないだろう。
シェンゲラーヤの伝記映画の情報も勿論書かれている(パラジャーノフの方があまり言及されていない。)
「グルジア」はロシア語由来ではなくペルシャ語が元になって周辺地域の言葉に反映したもので、この部分の説明は間違っている。

この映画自体観るのは4回か5回目かだけれど、深い思いで鑑賞できたように思う。
(会場の岩波ホールでも販売していました。)

映画「放浪の画家ピロスマニ」のプログラムも、画家のはらだたけひでさんの詳しい解説(画家の生涯と絵画作品に沿ったもので懇切丁寧)、児島康宏先生、配給の丹羽高史さんという豪華メンバーによる充実の内容だ。
欲を言えば、映画そのものについて、つまり出演俳優の情報が掲載されていたらよかった。

今でもワイルド・イーストなカザフ

渋谷ヒューマントラストにカザフ映画「ザ・ファントム」を観に行った。
長州力氏が公式レフェリーの「モースト・デンジャラス・シネマグランプリ2015」のうちの1本、といっても長州さんがセレクトしたわけでもなさそう。

カザフ映画なのに全編無理無理の英語だったので移入が難しかったが、なんか頑張ってそこらじゅうでピコピコしている(そういうところでSF感だそうとしている)映画。
金城武VSアンジェリーナ・ジョリーみたいで10年位前の香港のアクション映画みたいでそれなりに楽しめる。あくまでそれなりになんだけど。
背景は勝手にご想像ください的姿勢だった。いまいち動機が何かとか詰めていないので、細かいことを気にする人には向かなそうだ。
でもカザフはワイルド・イーストな国なので、大目に見るべき。

一見エドワード・ファーロングかブラッド・レンフロ風(例えが古くて自分で苦笑する)ハッカーくんが意外と身軽で強かった!
このハッカー役ニキータ・プレスニャコフって、アーラ・プガチョヴワの孫なのか!
両親とも歌手で俳優、本人も本業はロックシンガー?
映画のキャリアもすでに10本(未公開含む)お父さんのウラジーミルさんは「第九中隊」に出ていたって?探そう。

2015年11月15日日曜日

ポーランドのホラーコメディーを観た

って、ワルシャワ蜂起についての、若手監督が撮ったという作品なんだけどね。
本人は真剣な映画作ったつもりかもしれないが、「なんじゃあ、これは」というノリでした。

ポーランド映画祭初日「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」今までで最低のポーランド映画だった。
ワルシャワ蜂起体験者から抗議があったというのもさもありなん。ここぞというときに変な音楽が流れてストップモーション、ワイヤーアクションあるいはCG処理でドン引きです。ホラーコメディー観た気分.
ま、映画大国ポーランドにもこんな駄作はあるんだな、ということではちょっとほっとしたりする。この監督、ドキュメンタリーでも「ワルシャワ蜂起」を撮っていて、そちらも観られたらよかったのだが、観られる日程じゃない。
何がだめだったのか?まず、主演二人が他に誰かいなかったの?というくらい大根だった。仲間の若者たちのキャラクターもぼやけていたし。当然体験者の手記を読んだり話を聞いたり研究はしているのだろうが、何だか現実離れした絵だったし。残酷な殺傷場面は多い。
残酷殺傷場面が受け付けないというのではない。嘘っぽく、こじつけっぽいのが嫌。ただ、これまでワルシャワ蜂起の映画は重苦しい曇天や地下を這いずるものだったのが、からっと晴れたところでの戦闘(というより文字通り血の雨が降ってきたりする)のは新鮮だった。

2015年11月8日日曜日

亜鉛の少年たちを読み直す

立ち止まってくれないか。
ロシアのシリア介入に際して読み直す。また、これらの悲劇・惨劇を繰り返すのか、学ばなかったのか、と暗澹なる気持ちに。
タイトルにあるような、アフガニスタンで戦った兵士・元兵士たちのインタビューが中心だが、軍医・事務職の女性、戦死者の母、妻の証言も貴重。

オデッサ・コスモス: ◆КНИГА『シンプルがかわいい 北欧の生活雑貨手作りノート』

オデッサ・コスモス: ◆КНИГА『シンプルがかわいい 北欧の生活雑貨手作りノート』: エストニアの豚編みぐるみ(表紙)、大人気。 できる人には数時間で編み上げられる由。 シンプルがかわいい 北欧の生活雑貨手作りノート 著者 : 林ことみ 青春出版社 発売日 : 2007-09-01 ブクログでレビューを見る» ...

2015年11月5日木曜日

オデッサ・コスモス: ◆Кинофильм「ロシアン・スナイパー」"Битва за Севастополь"

オデッサ・コスモス: ◆Кинофильм「ロシアン・スナイパー」"Битва за Севастополь": 「ロシアン・スナイパー」 "Б итва з а Севасто по ль " 2015 年 / ロシア・ウクライナ /123 分 セルゲイ・モクリツキー監督 ヒューマントラスト渋谷で特集上映( 「 MDGP (モースト・デンジャ...