2019年9月29日日曜日

夢見る力―未来への飛翔 ロシア現代アートの世界



ロシア美術というと、カンディンスキーやマレーヴィチのような抽象絵画、ロシア・アヴァンギャルドの世界(バレエ・リュスも時代的に被る)、帝政時代の移動展派と周辺の画家としてレーピン、クラムスコイ、別枠でシャガール(故郷は現ベラルーシのヴィテプスクだが)という感じなのではないか。

現代ロシア美術というと、だいぶ前に小さなギャラリーに日本語ぺらぺらの美青年画商が催した展示を観に行ったが、彼どうしているかなあ・・・、そのときの作品はアヴァンギャルドの正統な後継者といったものと社会主義レアリズムをオマージュするようなものだったかと記憶している。
桑野塾で扱われたこともあったかと思うが、展覧会という形で観るのは随分久しぶりで、しかも「宇宙」を感じさせる、なんとも素敵な予感が。

しかし、市原湖畔美術館って?
そういう美術館があったことを全然知らなかった!
千葉方面では千葉市美術館は時々行く(ミュシャとオルリクの展覧会、観に行かねば)が、川村記念美術館もホキ美術館もまだ行ったことないのだが、市原にも美術館があったのか!

電車だと、あの小湊鉄道を使うので、心惹かれたが、やはり東京駅から高速バスを使った。約1時間、アクアライン経由(行きは寝ていた)。

以下ツイートを補足する形で書いていく。

https://twitter.com/KocmocKocma/status/1177746263120347136
東京駅八重洲口のバス乗り場には辿り着いた。暑!

バス乗れた。
後払い(帰りは先払いだった)、PASMO可。行き先間違ないか二度も確認。バス混んでます。お隣は恰幅よい男性
市原のバスタ到着、美術館の無料バス※に乗れた。高速バス、窮屈だった。
※この日はイベントがあるので無料送迎バスがあった

市原湖畔美術館の夢みる力~未来への飛翔展
冒頭展示

 



ポスターにもなったこの作品1-a「祖先の訪問のための手編みの宇宙ロケット」
チシコフさんの故郷ウラルの風習で亡くなった方の服から毛糸リボンを作ってクッションのようなものを編んで思い出にする。そのロケット版。祖先と一緒に宇宙訪問を夢みる


今度はバスタじゃない、パスタ作品1-c「ラドミール」Ладомир
パスタを素材に用いて宇宙的な夢の未来都市を表現した作品である。



飛行船?は風でゆらゆらしていた

宇宙都市の太陽(人工の太陽なのかも)




 
壁にもパスタ






 
人々はパンで作られている。
(倒れた人がいるのは??)


 9月9日の台風で市原湖畔美術館も被災し、停電でエアコン止まってしまい、「ラドミール」は糊が溶けて作品は全壊した。(美術館自体も数日間休館を余儀なくされた。)
しかし、作者の助言をもとにボランティアの手で作品は再構築された。

元々「人間の夢のはかなさをパスタを溶けやすい糊で貼り合わせたもろいオブジェで表現していた」というものだったが、天災の前にそれが奇しくも現実化してしまったのだ。
作者はそれを聞いて「人間の夢は打ち砕かれる。人間の夢はもろい。しかし、気を落とさず、手を休めず、皆で力を合わせて世界(おそらく原語はмирミール)を再建しよう。太陽はふたたび輝く」とメッセージを寄せる。
17日にスタッフや地元の方が集結し、一日の共同作業で「ラドミール」を復元。
作者は「新しいラドミールは共同作業の成果、ニコライ・フョードロフ*の言う『共同事業の哲学』に他ならない」と語った。

作者からのメッセージ

 

 

 
この写真に写っているのがオリジナルの作品
なお、出品作家全員から千葉の台風被災に関してお見舞のメッセージが寄せられている。

*ここで名前の出たニコライ・フョードロフ、ロシア宇宙主義の草分けで、『共同事業の哲学』はその主著(弟子たちがまとめた)。1-b「宇宙主義者の表彰板」にも当然登場する。

ニコライ・フョードロフ

 

アレクサンドル・ヤロフラフスキー

ロケットの父、コンスタンチン・ツィオルコフスキー 



カジミール・マレーヴィチ



ウラジーミル・ヴェルナルスキー
 

ヴェルナール・フレーブニコフ
「ラドミール」はフレーブニコフの詩を元に制作された

 

芭蕉の月
切り株は月のように見えるという俳句が芭蕉にはあるそうで、市原に生えていた木で作られた作品。
 
 
 













 
販売しているピロシキはしらたき入った日本風。具が千葉産の茸とか



屋外展示 「空を見よ、自分を見よ」というタイトルなのだが、草津の重監房資料館の再現モニュメント思い出した(夏休みに訪れたここのことはまだ書いていなかった。近日公開予定)

展望台となった高さ28mの藤原式揚水機、登れる一番上まで行って撮った









重監房再現したもの
 





実は南極ビエンナーレのメンバーが複数。鴻野わか菜先生もビエンナーレ参加されてたのか

ミニコンサート、ミニミニコンサートの後、市原湖畔美術館を後にする

 


 
 


市原湖畔美術館、9月中に来て正解だった
バス料金値上げ!
カタログも9月いっぱいは送料無料サービス中だったし

忘れ物をバスタまで届けに来てくれたらしい美術館の方!
市原のバスタ、トイレの外はにゃにもにゃい

帰りのバスは空いてて快適。フリーWi-Fiも使える。行との差が激しい。





図録が届くのが楽しみ!

帰りは渋滞のため迂回路。時間かかって先程帰宅

お土産はマリンカさんの猫トランプと宇宙飛行犬マグネット、展覧会の葉書
マグネットはロシア製には珍しくしっかり全面にマグネット貼ってある



 
(まだまだ補充予定)