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2026年6月3日水曜日

やっとお目見えチュルリョーニス

1992年世界に先駆けてチュルリョーニス回顧展を催したセゾン美術館はほんとうに偉大だったな。

34年前、知名度なんて殆どないままの日本初公開(というより旧ソ連圏外初公開だったのでは)にもかかわらず、早々にカタログが売り切れたという。日本人の心の琴線に触れるものがあるのだろう・・・

残念ながら、このときは観ていない。

1994年8月にリトアニアに行った時、ヴィリニュスもカウナスも、縁の土地であるにもかかわらず、少なくとも外国人向けにはチュルリョーニスを紹介しようという雰囲気ではなかった。私もチュルリョーニスの名前だけは知っていたものの、かの地で何か探求しようという気にはなっていなかった。


展覧会のグッズ特設売り場でこういう民芸品も売っていた

ルムシシュケス民俗博物館

展覧会の章ごとにこういう鳥のモビールがあった

(杉原千畝に関して言うと、地元の関心度・知名度は決して高くなかったと思う。)


チュルリョーニスに関心を持ったのは、芸術新潮2010年10月号の特集記事『チュルリョーニスを知っていますか?』までくだるのだが、それでも15年半前になるのか。

それによると、彼はリトアニア民族主義者で、リトアニアの民謡や神話に親しんでいたものの、リトアニア語には不慣れで、ポーランド語が母語だったようだ。(文学者の妻ソフィアに翻訳を頼んでいたという。)


スライドトークで紹介された作品

①森の囁き 油彩 1904年

ごく初期の作品(珍しい)
弟ボヴィラス宛の絵葉書も展示されている。
(パステルとインク 1903年)
この絵の構図が上掲の作品の下書きとなっているのだという。



②山


③閃光(3点連作)


④春のモティーフ(4点連作より)









⑤冬(8点連作)


⑥プレリュードとフーガ(2点連作)




⑦第5ソナタ(海のソナタ)アレグロ・アンダンテ・フィナーレ


⑧三連画ライガルダス


⑨リトアニアの墓地


⑩おとぎ話(王たちのおとぎ話)


「祭壇」

「レックス(王)」



5/16の【オンライン講演会】ヴァイヴァ・ラウカイティエネさんによる「「ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875–1911):紙上に広がる幻想世界」、6/2つまり鑑賞当日の「【スライドトーク】企画展〈チュルリョーニス展 内なる星図〉」で予習して、いざチュルニョーニス展へ!

いよいよ現物に会える!



入口


(続く)



2025年11月16日日曜日

あの絵にあの曲『名曲が語る名画』

 

名曲に結び付いた絵でまず想起するのは「展覧会の絵」でムソルグスキーに追悼されたヴィクトル・ハルトマンの絵画で、この本にも勿論掲載されている。絵を知っていて曲を知らないものもあれば逆もある。意外性のある組み合わせだったのが「禿山の一夜」に項で紹介されたのが洗礼者ヨハネを描く、ロシアとは全く別世界の西洋絵画的なボッティチェリらの作品。まあ、しかしこういう企画だと、聞きながら読めるような(自分でいちいち検索するのではなくて)附属の音源が欲しくなる。無精なので。それと、「画家マティス」はあの人だと思っていた。

ヴィクトル・ハルトマン→ヴィクトル・ガルトマン に訂正しておく。


7 モーツァルト:オペラ『魔笛』&マルク・シャガール『魔笛』
13 ショパン『革命のエチュード』&マルチン・ザレスキ『ワルシャワ武器庫の略奪』、ユリウシュ・コサック『オストロウェンカの戦い』、オラーヌ・ヴェルネ『ポーランドのプロメテウス』
27 スメタナ『我が祖国』&ムハ『故郷のスラヴ人~トゥラン人の鞭とゴート族の剣の間で』『グリュンワルトの戦闘の後~北スラヴ人の団結』
39 シェーンベルク『3つのピアノ小品』&ワシリー・カンディンスキー『印象Ⅲ(コンサート)』
40 ラフマニノフ『死の島』&アルノルト・ベックリン『死の島Ⅰ』『死の島Ⅱ』
41 スクリャービン『プロメテー火の詩』&ルーベンス『縛られたプロメテウス』、ジョルダーノ『縛られたプロメテウス』、フューガー『火を盗んだプロメテウス』、ブロッホ『ヘラクレスによって解放されるプロメテウス』
42 ストラヴィンスキー『火の鳥』&マルク・シャガール『火の鳥』舞台装置
48 プロコフィエフ『ロメオとジュリエット』&ブラウン『ロミオとジュリエット』、ライト『ロミオとジュリエット』、クリムト『ロミオとジュリエットの死』
49 マルク・シャガール『14の楽曲』&チャイコフスキー『白鳥の湖』、ストラヴィンスキー『火の鳥』

そういえば、「世界の美術館めぐり日本編」は東京の美術館ばかりだな。


2024年10月6日日曜日

録画メモ:ロシア関連ドキュメンタリーいろいろ

 *姉に会いたい ラトビア 再会の旅路 未見

*インサイド・ロシア 国民の“声”はいま 観たかもしれないがあまり覚えていない

*ロシアを捨てたロシア人たち 

アルトゥール・スモリヤニノフくんを思わせるタイトルで心痛む。しかし、「捕虜となった夫を追い、祖国を捨てウクライナで生きる覚悟をした女性」については、再会した夫が終始暗い顔で全然喜んでいなくて感謝もしていないようで、家族崩壊しそうだなと感じる。戦争に踏み切ったロシアがいたたまれなくなって国外脱出というモンゴル行き、あるいはアルゼンチン行の人たちはともかく、間違いなく”利敵行為”をしている(ロシア政府、またはロシアの普通の人たちからすると要するに”裏切者”にあたる)前述の捕虜の妻とかウクライナで活動している人たちに関しては、ああそれじゃあロシアにはいられないし未来永劫ロシアには戻らないのだろうなという感じであまり同情心は湧かなかった。繰り返すが、捕虜夫はあずかり知らぬところで妻がそういう動きをして彼自身故郷・肉親と引き裂かれてしまった動揺が隠しがたく、重く悲しい。今後の人生が・・・。スモリヤニノフくんは・・・「ウクライナのために戦うだろう」と言っていたよな。もう二度とモスクワの舞台には戻らないのかしらん。

*ジェナの世界 ロシア “恐怖”と闘うアーティスト

ロシアの所謂反体制アートに関しては、反体制というだけで西側には評価されがちなのかもしれず、有名なプシーなんちゃらとかヴォイナとか私は大嫌いなのだが、ジェナ氏もまああんまり近寄りたくはない類のアーティストだと思った。ペテルブルクのあの反戦パフォーマンスのお方を取りあげて欲しい。とはいえ外国メディアに変な風に取り上げられない方がいいのかもしれないけれど。

*鎮魂 香月泰男のシベリア・シリーズ


2023年7月26日水曜日

芸術新潮2003年

 特集

12月 ロシア・イコンへの旅


SPEAK LOW 
2月 アキ・カウリスマキのメランコリーがもたらす幸福

ART NEWS
8月 あっけなくも美しく燃え ロシア前衛陶芸の理想と現実

STARDUST
4月 草の根構成主義 「ロシア構成主義のグラフィックデザイン」展
6月 棺だってオシャレしたい ロマノフ王朝展
11月 ヤツェック・スロカの東欧ブギウギ/アナ・ゼマンコーヴァ 妖花しげれる

WORLD
7月 女帝エカテリーナの夢 甦った琥珀の間
9月 夢みる飛行男 パナマレンコを満喫する

連載
四方田犬彦「あの人のボナペティ」11月イザドラ・ダンカンのキャビア食べ放題

2023年2月15日水曜日

2015年8月

* 誕生日無料になる東京富士美術館に。

*エアコン買い替え

*10日と19日新宿武蔵野館。19日は「クーキー」



*26日深夜バスで神戸経由淡路島へ。猫の墨絵の中浜稔猫美術館など。国民休暇村で天文台。

鳴門・大塚国際美術館、徳島ではロープウェイの時間に間に合わず、特に何も見られず。

なぜかお休みだった淡路人形座。







2023年1月29日日曜日

忘れえぬ本、遂に入手

 


こちらの「見知らぬ女」で知られる絵を描いたイワン・クラムスコイについて、これだけ情熱的に一冊の本にまとめたのは、元都立高校の数学教師であった鈴木竹夫先生。

絶版なので、トレチヤコフ美術館展などでこの絵が日本にやって来た際にもミュージアムショップでこの本が並ぶことはなかったが、これは必読じゃないかな、ロシアの美術を知るにあたっては。

数年前に図書館から借りて(確か都立図書館所蔵)読み、文字通り忘れえぬ本となり、自ら手元に置きたくなって、Amazonギフト券を利用して、残り1点となっていたものを入手。
著者は都立高校の数学科の先生だったようで、美術もロシアも専門外ながら、コツコツと研究して仕上げた一冊であることに目を見張る。巻末に年表と地図も付されている。
1992年刊行ということで、ちょうどソ連解体と重なる時期。
これからもずっと愛読しようと思う。

2022年9月25日日曜日

ビルケナウ、リヒター

ゲルハルト・リヒター展、図録があまりに分厚くて読み直す自信や我が家のスペースやいろいろ考えて購入を断念し、その代わりに買ったのがこれ。

ゲルハルト・リヒター 《ビケルナウ》という到達点

カルチュア・コンビニエンス・クラブ
発売日 : 2022-06-07

『ビルケナウ』の会場では、ロズニツァの「アウステルリッツ」で観た光景が目に浮かぶ。作品と、それを鑑賞・見学する私たち”観客”。
あるいは、カウナス郊外第9収容所。あれこそ『アウステルリッツ』(ロズニツァではなくゼーバルトの)に出てくるシーン。


2022年9月1日木曜日

録画メモ 美術関係 かこさとし・安野光雅・青騎士

 Jcomの機器が故障したっぽいのに加え、レコーダー一体型のTVの調子もだいぶ悪い。

弟から引き継いだ機械だから10年くらい使っていることになるのか。

ディスクの初期化→ダビングが上手くいかず、何枚ものディスク、録画した番組をだめにした。

どうやらもう一台のTVでディスクを初期化→ダビング、なら上手くいくのか。

美術関係の番組

1 プロフェッショナル かこさとし最後の記録 ただ子どもたちのために

2 アートシーン かこさとしのひみつ展

3 あの人に会いたい かこさとし

4 日曜美術館 かこさとし最後のメッセージ 未来を生きるこどもたちのため

NHKのサイトでは「最期」になっているようだ

5 アートステージ 画家たちの饗宴 前衛美術サークル青騎士

6 わたしの芸術劇場 ルートヴィヒ美術館展

7 あのひあのとき エリック・カール






2022年1月3日月曜日

またまたフィンランドの展覧会に行く ザ・フィンランドデザイン展

2022年展覧会初めはザ・ミュージアムのザ・フィンランドデザイン展

会場に着いたのは2時半くらいだったかと思うが、観終わったら閉館時間になっていたので3時間くらいいたのかもしれない。


すっきりしたデザインを観てシンプルな暮らし、住まいに憧れるも、カタログやグッズを買い込む。我ながら矛盾している。

『ムーミン』の作者トーベ・ヤンソン、最近映画も公開もあったが(「TOVE/トーベ」)、画家としての彼女の一端が観られるのも嬉しい。彼女作のステンドグラス、ミュシャっぽい。弟ペル・ウロフ・ヤンソンの写真もあり、こちらも煌めいている。
オーロラや氷山、霜という寒冷な地域性のある題材も目立つ。タピオ・ヴィルッカラのガラス器「地衣類」シリーズはニョロニョロみたいだった。

買ったのはカタログ(分厚い)、ポストカード3点。それに同じ階の本屋さん「ナディッフモダン」ではアグネータ・フロックのカタログ、クリアファイル、ポストカードも買ってしまう。(フロックの展覧会には行っていないが。)





9月にはやはりザ・ミュージアムでフィンランドガラスのイッタラ展がある。
フィンランド建築は昨年11月にパナソニック汐留美術館で観た。
  ⇓

オデッサ海岸通り: サーリネンとフィンランドの美しい建築展:   4時半の予約だったがたっぷり観て気がつくと閉館の音楽が。1時間半食い入るように観てしまった。 新橋はパナソニック美術館のあるビルに着いたのが実は3時半で、同じビル内のパナソニックのショールームを自由見学させていただいた。キッチン・洗面所・バスルームとか、どんどん進んでいるんだ...

2021年8月23日月曜日

サーリネンとフィンランドの美しい建築展

 4時半の予約だったがたっぷり観て気がつくと閉館の音楽が。1時間半食い入るように観てしまった。

新橋はパナソニック美術館のあるビルに着いたのが実は3時半で、同じビル内のパナソニックのショールームを自由見学させていただいた。キッチン・洗面所・バスルームとか、どんどん進んでいるんだな、と。食器洗浄機欲しいな。

ただ、ショールームは地下2階受付で地下1階との2フロアのみになっていた(1階が閉鎖)。



フィンランド関係の展覧会はテキスタイルとか時々観に行っていたけれど、建築は初めて。
フィンランドにはウクライナ旅行の経由地としてヘルシンキの空港近くのホテルに泊まったきりで街中を観ることは叶わなかったので、何とも残念。
どんな建築物が?と事前にオンラインギャラリートークで予習はしていた。

展示は結構丹念に観ていったつもりだけど、スライド展示が多かったのでとても全ては通して観ることはできなかった。
メーリニコフ展の時みたいに多数の模型で圧倒!ということはない(模型はパリ万博のフィンランド館だけ(1-15))が部屋の再現がいくつかあってわくわくする。今度はスライドしっかり観るために再訪したい。(9/20まで)

7月25日にオンラインスライドトークを視聴した時のメモにロヤがサーリネンの2番目の妻とあって、カタログの年表で確認したら最初の妻マティルダとは1899年に結婚してパリ万博には彼女との新婚旅行で行っている。1904年離婚。マティルダは後にゲゼリウスと再婚しているのだがゲゼリウスはサーリネンと長く共同で建築設計事務所やっていた人で、サーリネンの2番目の妻ロヤはゲゼリウスの妹。しかもヴィトレスクに作った事務所兼共同住宅に両夫妻とも入居している。別れた元妻が義理の姉っていう。複雑ですな。

展覧会の中では特に説明はなかったが、サーリネンは2歳でイングリア(イジョラ)に引っ越しペテルブルグをよく訪れとりわけエルミタージュで一人過ごすことが多かったと、カタログ冒頭の記事にある。当然ロシア語は話せた。家庭言語はフィンランド語とスウェーデン語か。
前述のゲゼリウスはドイツ系。もう一人の建築設計事務所パートナーのリンドグレンはスウェーデン系なのだろうか?(著名な児童文学者とは親戚関係はないようだ。)

キャリアのスタート時には時代の雰囲気もあって、フィンランドの伝説に基づくキャラクターの彫像が置かれる建築物などが多く、それもあってこの展覧会のプロローグは「民族叙事詩カレワラ~作品創造の源泉として」でアクセリ・ガレン=カレラによるカレワラの挿絵本・エッチング・ドローイングの展示。サーリネンはカレラとずっと交友を深めている(シベリウス等の著名人とも)。けれど、フィンランド最後の仕事カレワラ会館については批判を受けたとキャプションにあった。カレラとしてはカレワラについてこだわりがあったのだろうな。

フィンランドの独立運動期の1900年パリ万博フィンランド館、ポホヨラ保険ビル、フィンランド国立博物館といった作品群、そして芸術家コミュニティ、ヴィトレスクでの生活。ウィリアム・モリスらの提唱したアーツ・アンド・クラフト運動の影響が明らか。実に広々としてきれいでそれでも生活感はそこはかとなく滲み出る写真。家の空間感覚が違うな。
実はゲゼリウスやリンドグレンは割とすぐにこの地での共同生活を解消して去っているのだけれど、サーリネン一家はアメリカ移住するまでこの地に留まり、また移住後も夏の別荘として頻繁に戻って来る生活だったという。

その後のゲゼリウス・リンドグレン・サーリネン建築設計事務所作品ヴィープリ(現レニングラード州ヴィボルグ)のスール=メリヨキ荘(1904年)が現存しないのが残念。戦災で消失したのだろうか?※
オーナーのペテルブルグの実業家マクシミリアン・オトマール・ノイシェレルМаксимилиан Отмар Нойшеллерはどんな人なんだろう?
これによるとノイシェレルはスイス人だったようだ。(ネヴァ川のカメニ島に別の邸宅もあったが、こちらも現存していない。)
こちらによると戦争で被災(いわゆる大祖国戦争ではなくて第一次大戦なのか?)はしたが、建物の解体は戦後だったとのこと。中にあった彫像は無事でフィンランドのヤルヴェンパーにある。

3-52カイルクネル邸のドアカーテン(1918年)には”AK 1918”との文字が書かれている。1918は製作年だろうがAKは何だろう?

こちらは息子のエーロ・サーリネンがデザインしたカンファレンス・チェア
(サーリネン展で唯一撮影可、座ってもいい)
ああ、これはいかにも北欧家具的で心地よさそう。

こちらはルオー・ギャラリーでルオー生誕150周年記念のフォトスポット。
「マドレーヌ」1956年油彩
マグダラのマリア或いは聖書由来の名をつけられたサーカス芸人がモデルか。
素敵な笑顔。主の恵み深さが感じられる。

次回の展覧会も楽しみ。