* 「君たちのことは忘れない」
「誓いの休暇」のグリゴリー・チュフライ監督の”銃後”の映画だが、「誓いの休暇」の爽やかな厭戦の空気からはガラッと変わって、兵役忌避者家族が主人公なので、どろどろ暗い気分(原題は「泥沼」である)。皆戦争のせいで幸せになれない(「五つの夜に」のヒロインだったら「戦争さえなかったら」と口走るところ)。明るい場面は冒頭を除くと松明のシーンしかないが、これがウラー❤で”映画史に残る名シーン”で、じーんとしながらパベーダパベーダと声に出したくなる。ノンナ・モルジュコヴァ扮する母親に「子どもを守るのは母親の権利だ」と言わせているが、自身は勇敢に”大祖国戦争”を闘ったチュフライ監督は、やはり兵役忌避者に対しては厳しくて、忌避者本人だけでなく周囲もろとも不幸に陥る救いようがないラスト。でも、せめてスチョーパは…なのだろうか。
*「私はモスクワを歩く」
大好きな映画なので、何度でも都合がつく限り観る。だけど、字幕は差し替わって酷くなった。60年代の多幸感溢れる時代を反映したものであって欲しい。「マジ?」なんて台詞は私たちが死に絶えるまであと5、60年待って欲しい。1億歩ほど譲ってコーリャみたいなお茶目な若者が言うならともかく作家志望のシベリア青年が言う台詞じゃない。ファーストシーンの空港の”感じのいい”女性が誰を出迎えるのか聞かれて”Мужа(夫を)”と答えるのが、以前の字幕だと「ハズよ」だったのが印象的で、「ハズバンド」の略なんだろうけど、そんな言葉ここでしか聞いたことも見たこともなかったけれど、なんか60年代っぽくも感じる。まあ何十回も観ているから、字幕なんて気にしないで音だけで愉しめばいいのだけれど。
*「死者からの手紙」
ソ連初の世界滅亡映画だという。これもどろどろ系だけれど、ラストの優しい老人と子どもたちが歩く場面がひときわ美しくて悲しい。
*「筏の三人」
初見。「モスクワを歩く」の三人が中年になるとこんな感じかも。ヤウザって川の名前だったのか。最初猫たちの扱いにはらはらした(筏に載せられちゃうのか?)が、心配無用だった。猫の王こと畜産のオーソリティさんも仕事で活躍するのかと思いきや恋愛方面に突っ走るのだった。