2013年8月26日月曜日

世界わが心の旅・サンクトペテルブルグの巻



自宅も実家も片づけを強行しないといけない事態になってしまった。
VHSテープに録ってあった昔のTV番組は、映画が多かったのだけれど、NHK「芸術劇場」をはじめとする音楽番組やバレエやオペラも意外とあった。

録ったままで、観た覚えがないというのも結構ある。
バレエやオペラは長いし、ストーリーは知っているし、やっぱりライヴの方が好きだから、そのままになっていたが、ウヴァーロフとステパネンコの「ドン・キホーテ」なんか録っていたじゃないか!
最近はステパネンコ、負傷したフィーリンの代行でボリショイのトップになったが、90年代後半のこのころはきりっとした潔い動きで素敵だ。
ウヴァーロフは王子様役の方がいいなあ、下町のお兄さんよりも。

さて、それとこれも観た覚えがないというか、こんな番組があったことも全く記憶になかったのが、
世界わが心の旅サンクトペテルブルク映画女優とイコン吉永小百合であった。
初回放送1998-01-03, 土, 20:30~21:30, BS2だと。

世界わが心の旅シリーズは、まず本で知った。
うちはBSは入っていなかったので、そんな番組があったことも知らず、地元図書館の開架書棚で鎌田慧著『 混沌と幻想の街―サンクトペテルブルグ (世界わが心の旅)』の背表紙を目にして初めて知った。
安野光雅さんの絵は、実はあんまりペテルブルグらしくない。
中世っぽい雰囲気の可愛い街並みという感じで、タイトルにあるような混沌と幻想、特にプーシキンやゴーゴリやブロークが描いてきた夢幻の都の空気は出ていないと感じる。
それはともかく、この本は最近読みなおした。
いまやすっかり、ペテルブルグは鎌田さんかこの本に記したソ連崩壊の混沌の世界から様変わりしているが、またしばらくして読みなおすと思う。
それからこのシリーズで、澤地久枝著『ボルガ いのちの旅 』※と石井幹子著『フィンランド―白夜の国に光の夢』を続けて読んだ。
※放送時の番組名は「ボルガ 戦争と平和のあとで」だったようだ。

放送自体は観た覚えはないが、そのうちこのシリーズは地上波でも放映するようになって、いくつか録画してあるものがあった。
川本喜八郎先生のプラハ、なだいなださんのこれもプラハ。
米原万里さんの「世界わが心の旅-プラハ4つの国の同級生」?
これは録っていなさそう。彼女はこの番組では彼女自身の意を尽くしていないと思って『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を描いたのだという。
島田雅彦さんや五木寛之あたりがモスクワ編をやっているようだけれど、これも録っていないと思う。
肝心の鎌田慧さんのサンクトペテルブルグや澤地久枝さんのヴォルガも今のところ見つかっていないなあ。
そこで、代わりに現れたのが吉永小百合のペテルブルグでした!

何故に吉永小百合とペテルブルグが結びつくのか?
・・・については、観てのお楽しみだ。
(栗原小巻ならさもありなん、だけどさ。)

カザン寺院


マリインスキー劇場




2013年8月22日木曜日

ロシアのバカンスの歌

NHK-FM「こころにしみるユーロソング2013夏バカンスしてるか~い」
貝澤哉先生、クセーニャ・レーシチェンコさん、マキシム・クリコフさん

イヴァン・クパーラ「コストロマ」 民謡をアレンジしたノリのいい曲
http://lyricshare.net/ru/ivan-kupala/kostroma.html

チリ「夏」Лето  これは懐かしい曲調。一昔前、O-zoneとかの雰囲気というか。
«Лето», Чи-Ли
http://www.karaoke.ru/catalog/song/5761/
http://www.youtube.com/watch?v=Dke43JqfhU4

アーラ・プガチョヴァ「この夏の雨」
Алла Пугачева - Эти летние дожди
http://www.karaoke.ru/song/988.htm
大御所です。

ブラボー「王さま、オレンジ色の夏」
Браво - Король "Оранжевое лето"
http://www.youtube.com/watch?v=29PyOdLDr60
http://megalyrics.ru/lyric/bravo/korol-oranzhievoie-lieto.htm
ジャズ調。

ニーナ・パンテレーヴァ「青い海のほとりで(恋のバカンス)」
「恋のバカンス」がソ連でヒットしていたことはよく知られたことですね。
Нина Пантелеева «У моря, у синего моря...»
http://www.youtube.com/watch?v=MWOgAjnEgbY

ジェーニャ(エヴゲニー)・オーシン「ヤルタ」
Евгений Осин _ Ялта 
http://www.youtube.com/watch?v=MpW3Ew9Z1OQ
http://www.moskva.fm/artist/%D0%B5%D0%B2%D0%B3%D0%B5%D0%BD%D0%B8%D0%B9_%D0%BE%D1%81%D0%B8%D0%BD/song_1782714

テレビロシア語講座のオープニングテーマ曲
「ある日」
Маркшейдер Кунст

マキシムさん演奏、ユリアさん歌
「モスクワ郊外の夕べ」
「カリンカ」

イーゴリ・スクリャール「コマロヴォ」
Игорь Скляр «Комарово»
http://www.karaoke.ru/song/1438.htm
http://www.youtube.com/watch?v=fnCkITP6ib0
友人のマリーナが大ファンのスクリャールさん。
カレン・シャフナザーロフ監督「ジャズメン」主演のコースチャです。

ヴァレンチーナ・レフコストゥポヴァ「ラズベリー」
Валентина Легкоступова "Ягода малина" 
http://www.youtube.com/watch?v=eok0sNbbnUo
http://www.karaoke.ru/catalog/song/13529006/

2013年8月20日火曜日

寒い国の映画女優

ロシアNOWの「初期の映画女優」に例のオリガ・チェーホワも挙げられていた。
作家アントン・チェーホフのおいのミハイル・チェーホフの最初の妻、モスクワ芸術座の看板女優だったオリガ・クニッペルの姪。
(オリガ・クニッペルはアントン・チェーホフの妻なので、ミハイルとチェーホワとはアントン・チェーホフ夫妻の甥・姪同士で結婚したことになる。おまけに名前が同じオリガなので、すごく混乱する。こんなときに父称は便利だ。)
彼女に関しては、ソ連の女優というよりドイツの映画女優といった方がいい。
ソ連で出演した映画は、デビュー作が1919年のアルセーヌ・ルパンもの(革命の最中にこういうのを作っていたのかと何だか感心するが)などで、端役だったという。
(『ヒトラーが寵愛した銀幕の女王~寒い国から来た女優オリガ・チェーホワ』による。簡単なレビューはこちら。)

(書きかけ)

2013年8月18日日曜日

カチャーノフとシュヴァルツマンとウスヴァイスカヤとウスペンスキーと

それぞれのチェブラーシカ。

かつて佐藤千登勢先生がユーラシア・ブックレットで『チェブラーシカ』を著された時、その中に紹介されているいろいろなチェブラーシカに驚愕したものだったが、八王子の夢美術館で開催中の「チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち」展で展示されている、さまざまな画家たちによるチェブラーシカも感動的に多種多様だ。
(チェブラーシカを語るのに、この佐藤千登勢先生のご著書は必読!)

そういえば、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012でスペシャルアンバサダーをやっていたチェブラーシカはチェコのイラストレーター、イジー・ボトルバが描くこんな個性的な(といっても、ソ連の絵本っぽい、妙にノスタルジックな雰囲気を持つ)ものだったったけ。

指揮者の装いをしたチェブ
 

ボトルバさんのチェブは旧ソ連っぽく頭が小さめ(2頭身ではない)。

横浜のプーシキン美術館展にはさっさと行ってきたのに(しかも既に2回も)、八王子となると「暑いんだろうなあ」と少々行きあぐねていましたが、9月1日までなのでそろそろ行かねばと意を決してようやく行ってきましたが、やっぱり八王子は暑かった。

JR八王子駅北口を出てエレベータで地下に降りてからバスターミナルの6~10のバス乗り場のラインに上がって、バスに乗ります。
降りるバス停は八日町1丁目。
降りるとこんなものが見えまして、心惹かれたのでした。

日フィルの猫ちゃん。
この右手前方に目指す八王子市夢美術館があります。
 

この建物の2階です。
エレベーターで2階へ。
 
 
 
 
ワンフロアきりのかなり狭い美術館でしたが、中身は濃かったです。
同行者は会場のモニターでやっていたアニメーションに釘付けでした。
意外なことにカチャーノフのあの名作、「てぶくろ」(最近タイトルが「ミトン」に変わってしまった)を観たことがなかったという。
これまでの人生であれを観たことがなかったなんて!

今回の展覧会では写真を撮れなかったのですが、以前渋谷のロゴスギャラリーでやっていたときは撮影OKだったので、カチャーノフさんのスケッチなどはこちらに保存していました。

 これは新作映画のエスキース

そういえば、今回は子どもも楽しめるような作りには一応工夫されているものの、一方でキャプションはあまり詳しくはなく、図録を読んでねって感じです。

 


こちらは2008年だったと思うが、ロシアアニメ映画祭の会場で撮った写真
 
私たちが見慣れていて、日本でこういう着ぐるみやなんかで出会うチェブラーシカはカチャーノフ監督のアニメーション(シュヴァルツマンさんが美術監督をしていた)のチェブなのだ。
が、そうでないチェブもなかなかいい。
今回の会場では、そういったソ連の、ロシアの、さらに国外の画家たちのチェブに会える。
 


2013年8月11日日曜日

上野へ

母を上野に引っ張り出した。
都美術館で「ルーブル美術館 地中海4千年のものがたり展を観て、無料観覧日だった西洋美術館で「ル・コルビュジェと20世紀美術」や「ピカソが描いた動物たち」などを観る。

ルーブル美術館展は、完全にヨーロッパ目線で、イスラム勢力が地中海を掌中にしていた時代がすっぽり抜けていて、その分物足りなく感じてしまった。
展示物それぞれは凄いと思うものの、バランスの悪さがぬぐいきれない。
(イスラムは絵画を認めなかったので、どういう展示をすればよいのかはわからないけれど、文化がなかったわけではないから何とかならなかったのか、と。)

帰りがけに、じゃあ寄って観てくるかと足を踏み入れた、西洋美術館の方が、予想外に満足を得られた。

8月10日・11日がファンデーで西洋美術館の無料開館日
毎月第2・4土曜も無料開館日
(だから8月24日・9月14日・9月28日…も無料です)


正面入り口を入ったところで「本館パズル」実施中。
初級用と上級用があります。
(写真は上級用。お隣の大きい国の中学生くらいの子が今まさに着手せんとす、でした。)

ミニチュアペーパークラフトのハンドアウトも配布中。
本館を組み立て、考える人や地獄の門も前庭にセットしよう。
 
 
さて、パズルの奥にある受付で参加証を受け取ったら、常設展入口へ。
いつもはロダンの「青春」「接吻」などの彫刻が展示されているスペースで撮影可なのですが、撮影禁止って表示してある。
 
いつもと違うんだ、と初めて気がつく。
「ル・コルビュジエと20世紀」という特別展になっていた!
で、私はル・コルビュジエというと、西洋美術館とかを設計した建築家で、彼の手による建築物世界各国のもの合わせて世界遺産に申請したけれど上手くいかず、次の手を考えているところという意識でいて、つまりル・コルビュジエ=建築家という認識だったのだが、ピカソのようにマルチなアーティストだったのですね。
そこに展示されていたのは、ル・コルビュジエ財団所蔵のモビールのようなオブジェなど。
スロープを上がって2階に上がると彼の本名(シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)での作品群や初期同じグループだったオサンファンの作品、交流のあったピカソ、ブラック、レジェなどの作品が相当数展示されていてとても充実している!
ル・コルビュジエの作品(平面の作品)は、確かにピカソやクレーやレジェなどと共通するものが感じられます。
 
また、版画素描展示室では「ピカソが描いた動物たち ビュフォン『博物誌』にもとづく挿絵本より」開催中。
 
 



これが素晴らしい。
ピカソの描く動物たちは皆優しい目をしている。
 
オオカミ(左)と猫(右)
 
でもね、ピカソは編集者のヴォラールが猫好きなのを知って、わざと猫を描くのを後回しにして、ヴォラールを焦らしてからかったということがキャプションに書いてありました。(お茶目。)
この猫、影までついていますよ。
 
 
コノプリャンカ(ヒワ)(左)とヒキガエル(右)

ル・コルビュジエ特集とピカソの動物特集の作品リストは会場でのハンドアウトはなく「HPにPDFがございます」とのことでした。



これは新所蔵作品の「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」

2013年8月7日水曜日

ベルファストの試合

3月に大雪で延期させられていた北アイルランド戦(重要な試合だ)のメンバー24名が発表になっています。

Вратари: Игорь Акинфеев (ЦСКА), Владимир Габулов («Анжи»), Сергей Рыжиков («Рубин»).
シュニンが外れちゃったのね。

Защитники: Александр Анюков («Зенит»), Василий Березуцкий, Сергей Игнашевич, Георгий Щенников (все - ЦСКА), Владимир Гранат («Динамо» М), Виталий Дьяков («Ростов»), Алексей Козлов («Кубань»), Дмитрий Комбаров («Спартак» М).
ロストフのジヤコフ、クバンのコズロフあたりが目新しい。

Полузащитники: Игорь Денисов («Анжи»), Алан Дзагоев (ЦСКА), Денис Глушаков («Спартак» М), Александр Рязанцев («Рубин»), Виктор Файзулин, Роман Широков (оба - «Зенит»).
リャザンツェフ!
あとはいつもの。

Нападающие: Владимир Быстров, Александр Кержаков (оба - «Зенит»), Артем Дзюба («Ростов»), Алексей Ионов, Олег Шатов (оба – «Анжи), Александр Самедов («Локомотив» М), Денис Черышев («Реал» Мадрид Испания).
得点ランク首位を走るジューバは当然として、こないだようやくケチャップが出てきたケルジもセーフで、イオノフ、シャトフのアンジコンビに、マドリードのチェリシェフか。

北アイルランドをなめているわけではないだろうが、前の方が若々しくて落ち着いて点を入れてくれるだろうかと心配になる。

ゼニット(5人):アニュコフ、ファイズリン、シロコフ、ブィストロフ、ケルジャコフ
ツェスカ(5人):アキンフェーエフ、ベレズツキー、イグナシェーヴィチ、シチェンニコフ、ザゴエフ
アンジ(4人):ガブロフ、デニソフ、イオノフ、シャトフ
ルビン(2人):ルィジコフ、リャザンツェフ
ロストフ(2人):ジヤコフ、ジューバ
スパルターク(2人):コムバロフ、グルシャコフ
クバン:コズロフ
ディナモ:グラナト
ロコモチフ:サメドフ
国外:チェリシェフ

2013年8月4日日曜日

人生初めての経験

この前観た「地下室の手記」で主人公が友人たちの飲み会に押しかけようとするところで、どう振舞ったらよいのか戸惑いながら「今まで行ってみるべきだった」みたいなことを呟くのだが、私にもまだまだ人生で経験していないことがたくさんある。

今日はそういう初めての出来事があった。

実を言うと、私はレンタルショップを利用したことがない。
私が映画を観るのが好きなのを知っている同僚などは、レンタルショップのコアな利用者かと思っていたようだが、私は映画館に観に行くかオフシアターとか研究会っぽい催しに行くとか、とにか観に行くのが中心で、家ではあまり観ない。
BSもCSも観られる環境にはない(必要性を感じていなかった)。
DVDを借りてきて家で観るということもなかった。
そういうわけで、レンタルショップの店内のことは想像がつかないでいる。

同様に、不要な本やCD・DVD等を売り、中古のそれらを購入するという、中古本販売店も、利用したことがなかった。

今回、実家を整理することになって、まずはCDを持ちこんだ。
自分とはまったく趣味が違うし、思い入れもないので、いくらでもいいや、と思った。
手元にあっても聴くことはないだろうから。
一応リストは作り、段ボール箱に入れて、近くのブックオフに持って行った。
値付けをするのに20分くらいと言われたが、できたら電話をして、と言って家に戻った。
1時間くらいして電話があった。
77点のうち62点に値段がついたとのことだった。
しかし、レシートをみても、タイトルがわかるものもあるし、おまとめになってわからないものも多かった。
高いもので500円、多くは100円とか50円とか5円とか。
総計3000円余り。

後日、本についても買い取りをお願いすることになるだろう。
これがまた、自分とはまったく趣味が合わないので、やっぱり思い入れもなく、いくらでもかまわないやという代物なのだ。

渡辺美里やプリンセス・プリンセスやパフィーといった、聞いたことはあっても曲を好んで聴いたことはないというものだったけれど、これらは5円だったのだろうか?
さよなら、これらのCDたち。
なんだか知らないけれど、きっとワーシャを楽しませてくれていたんだよね。
今までありがとう。

アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ることについて(メモ書き)

ネイサ・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』

なんというか。
読後感はあまりよくない。
シーラッハみたいな感じ。
短編集だが、まあ、おもしろくなくはない。
おもしろいものもある。
冒頭の表題作が一番おもしろくないので、最初に読んでいておもしろくなくても、後の作品を乞うご期待、である。

表題作の『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』は、レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』をなぞっており、語り口もカーヴァーっぽいのだそうだ。
(訳者あとがきによる。私自身はカーヴァーを読んだことはなく、その作家の名前も知らなかった。)

『姉妹の丘』
これが一番おもしろかった。
列王記のエピソード(ひとりの子どもに対して母親だと主張する二人の女性をソロモン王が裁く)をもとに、第二次大戦後にヨルダン川西岸に入植してきたシオニストの女性の家族史に、パレスティナとイスラエルの軋轢が語られる。
入植地の歴史はグロテスクである。
あくまでパレスティナ人を駆逐した入植者側の視点ではあるが、シオニストの主張の根拠となる契約概念が、いかに欺瞞であるかが、幾重にも不幸な一女性の頑なな主張によって明らかになっていく。(聖書に記されている、などと言っているわけだが。)

『僕たちはいかにしてブルム一家の復讐を果たしたか』
反ユダヤ主義者と呼ばれるのは、母親がユダヤ人ではないためにラビから異教徒とみなされて学校(とたぶんそのコミュニティー)から追われた一家の子どもなのだ。
子ども同士のことだから、大人の価値観を引きずりながらばかばかしくも真剣な諍いを繰り返す。
怪しげ、というよりいい加減な護身術を教える、レフェーズニク(ソ連出身のユダヤ系の人、らしい)のボリスが何ともおかしい。ありがち。

『覗き見ショー』

『母方の親族について僕が知っているすべてのこと』
語り手の恋人はユーゴスラヴィア出身のウクライナ系の人のようだ。

『キャンプ・サンダウン』
これは一番シーラッハ風。

『読者』
作家も読者もソ連圏出身なのだろう。
通奏低音としてイサーク・バーベリの『わたしの鳩小屋の話』。
バーベリはオデッサ派の作家で、英米の作家には案外知られているようだ。
ドリス・レッシングにも、『HOMAGE FOR ISAAC BABEL』というものがある。
(「アイザック・バベルに敬意をこめて」という訳がされているとのこと。)
バーベリよ、バーベリ。
『オデッサ物語 群像社ライブラリー 1』 イサーク・バーベリ/著 群像社 1995
『現代ソヴェト文学18人集 1』 新潮社 1967
   オデッサ物語,わたしの鳩小屋の話,ダンテ街(バーベリ著 江川卓訳)
『騎兵隊(中公文庫)』 バーベリ/著 中央公論社 1975
『世界短編名作選 ソビエト編』 草鹿外吉/〔ほか〕編集 新日本出版社 1978
   塩(バーベリ著 西尾章二訳)
バーベリはポグロムは生き延びたけれど、粛清の犠牲になった。

『若い寡婦たちには果物をただで』
これもシーラッハ。
哲学って…。




2013年8月3日土曜日

2試合連続得点

カーリャが決めた。
この前の試合はPKでの得点だったけど、今日は流れの中で美しく。

その後、ゼニットに退場者が出て、眺めのアディショナルタイムを経て前半終了。

カーリャ、ジーマ、コロジン。
その中にショタ・ビビロフは割って入ることができるだろうか。

ヴォルガ対ゼニット戦、ただいま1-1の同点。

さて、オデッサ・コスモスに書いたが、シネマヴェーラで8月末から9月にかけて、ソヴィエト映画が上映される。
「ロシア映画傑作選」というのだが、ベラルーシ・フィルムの「スタフ王」だのパラジャーノフの「火の馬」だの「ピロスマニのアラベスク」だの、濃い内容だ。
レトロスペクティヴとしてはだいぶん立派な内容だ。

でも、晋作の方はと言うと、2008年のグルジアの南オセチア侵攻を題材にした「オーガストウォーズ」という作品がある。
しかし、何だってこういうのばかり公開されたりDVD発売されたりするのだろうか。

チェコの方は、ユーロスペースのレイトショーで「アマルカ」あり。
最近、チェブラーシカグッズを売っていた雑貨屋さんがチェブの代わりにアマルカグッズを置くようになっているのだが、映画上映のせい?

残念!
一人多い状況で攻めていたのだけれど決め切れず。
逆にゼニットにゴールされ。
これがケルジになら未だ許せるが。

2013年8月1日木曜日

私の可愛そうなウラジーミル

ロシアの現代小説がまたまた出るのか、とぬか喜びしたら、私のきらい…もとい好きにはなれないソローキンだった。

『親衛隊士の日』

地下室の手記の現代性

ものすごくうるさくて、ありえないほど痛い。
イキウメの公演「地下室の手記」。
言わずと知れたフョードル・ドストエフスキー原作なのだけれど、現代日本のお話に翻案されており、帝政ロシアの元小物官吏は、今どき日本のネットのストリーミング生放送で自らの失敗人生を愚痴る(盛大に言い訳する)情けない男子なわけです。
だから、ドストというよりまるっきりペレーヴィンっぽかった。
あの、私の嫌いなペレーヴィンです、はい。

でも、お芝居はおもしろかった。
ただ、ストーリーが単純化されていて後半は平板になっていたのは残念だった。
主演俳優は力演していたといえるが、女優の方はあまり魅力的ではなかった。
主人公の後ろでちらちらしていた演出はわけわからず、無駄だったと思う。


赤坂RED THEATERって、初めて行ったけれど、駅から近くて便利だし、きれいでなかなかよかった。
何より地下なので、今回の公演にはぴったりだった。

主人公がPCをつけてストリーミング生放送していると(でも結局過去語り)、ニコニコ動画のナマコメって言うんですか、画面の右から左にコメントが走っていく、あれが舞台にもスクリーンがあって、それに映るわけです。
こういうのとかこういうのがナマコメなんでしょ?)
なので、ネット用語が飛び交っていて、最初はよくわからなかった。
「マジ死ね」とか「キモイ」とか「乙」とか、最後には「888888888」みたいに8の字の連打。
何なのこれ?
(拍手を表すのか?)
そういうわけで、やっぱりペレーヴィンなわけです。

が、これを観て「ぼくらは皆ゴーゴリの『外套』から出てきた」と言ったというドストエフスキーは、さすがに今に通じる精神が備わっているのだ、ペレーヴィンにもきっとドスト魂が宿っているのだ、と一人納得して劇場をあとにしたのでありました。