2019年11月28日木曜日

録画メモ イラン(キアロスタミ)

シネフィルWOWOWでキアロスタミ特集やるんだ。

といっても録画済みだが。

*友だちのうちはどこ?
*そして人生はつづく
*オリーブの林をぬけて
*シューシュタルの歴史的水利施設(世界遺産100)
*楢の森に守られて~ペルシャリス

*トラベラー
*ホームワーク
*桜桃の味
*風が吹くまま
*ゴレスターン宮殿
*カーシャーンの絨毯
*シューシュタルの歴史的水利施設
*ROAD TO ROSSIA

*友だちのうちはどこ?
*オリーブの林をぬけて
*サラ

2019年11月2日土曜日

夜明けは静かに 「少女は夜明けに夢をみる」

 

イラン映画「少女は夜明けに夢をみる」

初日初回に来た甲斐があった。
うらああ!初日プレゼント💝 のクリアファイル





上映後の監督さんトーク、次の作品についても言及。続編というか少女たちの何人か再登場。しっかり信頼されてる 少女たちのその後はやはり気になるところでこれまでのイラン映画の監督さんみたいに面倒見ちゃうとかありなのかと思いながら観てた 

プログラムは珍しく縦書き。
監督さんサイン(ペルシャ語でも!)いただけた。



なかなかに興味深いコラムやインタビューあり。
採録シナリオが載っているのも最近にしては珍しいかも。

監督が少女たちと信頼関係を築くために最初”Amoo(父方のおじ)”と自己紹介したが効果なく”Daei(母方のおじ)”を呼称したらうまくいったとある。
最初の呼び方”Amoo(父方のおじ)”で少女たちとの信頼が生まれなかったのはまさに「おじさん」から虐待を受けているケースが多かったから。
少女たちの殆どがトラウマになるような性体験を持ち男性によって傷つけられている。多くは身近な男性によって、だ。(イランもなんだ。)

イランが死刑存置国だという事実も観ていて心を重たくさせる。父を殺した少女がいる。虐待する父を、母や姉とともに殺した。応報的な刑法では人を殺せば死刑。イランはそういう法制度だった。未成年でも正当防衛的な殺人であっても。それが最近法改正があったというし(子どもの権利の観点から)、賠償金を支払うことで遺族が許せば死刑回避できる仕組みもある…お金の問題で解決できるのかと言うとなかなか難しい気もしてしまうが…自分の身を守るための殺人ではNPOが募金活動をすることによって場合によっては執行当日にようやくお金が達して執行中止というケースもあったと監督がインタビューで述べている(プログラムに書いてある)。
こういった活動をするNPOの対象は主に女性の加害者、スタッフも女性が中心。
女性たちが連帯して罪を犯してしまった女性を支援しようというものができていっている。それは一方で社会があまりにも女性に対して苛酷だからなのだけど。
更生施設の中の雰囲気も、それぞれを責めることなく、共感して泣き出す場面(アヴァ→651)あり、抱き合って別れを惜しむシーンあり、で共生の力を感じた。
入ったばかりで食欲が沸かず浮かない顔のハーテレに「ちょっとだけでも」とピザを勧める仲間もいたし。
施設を出た後、そういう助け合いはどこまでできるのだろう?

イランの社会については直接は知らない(旅行ですら行ったことがない)。
が、「セールスマン」などの最近のイラン映画(アスガー・ファルハディ作品に集中してしまうが)を観る限り、法制度などは女性差別が歴然として存在し続けているが、社会における女性への圧力というのだろうか、日本だと一方的に女性の落ち度を非難する傾向があるのに対し、イランの場合それはちょっと違う気がしている。「なぜ~~しなかった!」という怒号よりは肩を抱いて「大変だったね」と言ってる、そんな場面をよくみる。

2019年10月25日金曜日

2019年10月20日日曜日

複雑な感想~ノヴォシビルスクのクラースヌィ・ファケル(赤い松明)劇場の三人姉妹


手話劇「三人姉妹」観に行った。
(レッドトーチ・シアターという表記だったが、Красный факел театрをなぜわざわざカタカナ英語表記にするのかわからない。クラースヌィ・ファケル劇場若しくは赤い松明劇場でいいと思う。)



お馴染みの戯曲でもついつい字幕を読んでしまい、演技を観ながら本を読んでいる感じが疲労を誘った。
第3幕は暗くて特に舞台を観るのが辛かった。
不思議な現代風(設定はチェーホフの原作のままなのだと思われる。部隊が異動するのもポーランド方面のようだし。)が冒頭から英語の曲ガンガン流してイリーナは化粧台でスプレーかけてヘアセット、フェドーチクはスマホでセルフィー←ミーシャ・ジーみたい)

お芝居には手話使用者もいらしてた。手話案内もあった。でもお芝居自体は決して聴覚障害者向けだったわけではない。「三人姉妹」なんで台詞がロシア手話にせよ日本の手話にせよロシア語にせよその場で逐一わからなくても大体知ってる前提で演技・演出で訴える舞台だったのだと思う。いろいろ面白かった。
音楽大音量でも台詞がかき消されることはないとか、それは手話ならではだったのではないか。
音楽だけではなくて机をたたく音とか身体が発する音、効果音、それが”よく聞こえる”こととなっていた。

その一方で

https://twitter.com/MakiharaEri/status/1185178580826738688

こういう感想は当然出てくるだろうと予想した。字幕は元の戯曲にかなり忠実だったと思うが手話での台詞はかなり略されていたのではないか。俳優が観客向かって手話で台詞を伝えているというならあの手話の見え辛さはないなと思う。特に第3幕は暗くて見え辛かった。
たとえ客席にロシア手話を解する人がいても字幕なしでわかったとは思えない…。
一先ず聴覚障碍者が鑑賞することはあまり想定していない、と割り切るしかないんじゃないか?

しかし、手話を聴覚障害者の意思疎通手段というよりも一つの舞台言語として割り切って考えた場合、この舞台は絶賛級のものになる。
登場人物一人一人に心震えていくのがわかった。特にラストは実にロシア演劇っぽかったな。

2019年10月14日月曜日

半ば(以上)諦めていた

夢は気長に待つものだな

もう刊行中止かと思っていた群像社のブーニン作品集の続刊が出ていた

2019年10月11日金曜日

消される運命



一気に読めた。リトアニアでのユダヤ人迫害・虐殺にリトアニア人たちがどう関わったのか。ユルギスの”やな男”ぶりがいかにもいかにもで現実感溢れる。庶民の心に巣くう差別者の一面に戦慄する。

ちょうど『思いやる勇気』再刊本『ユダヤ人を命がけで救った人びと』を同時進行で読んでる

2019年9月29日日曜日

夢見る力―未来への飛翔 ロシア現代アートの世界



ロシア美術というと、カンディンスキーやマレーヴィチのような抽象絵画、ロシア・アヴァンギャルドの世界(バレエ・リュスも時代的に被る)、帝政時代の移動展派と周辺の画家としてレーピン、クラムスコイ、別枠でシャガール(故郷は現ベラルーシのヴィテプスクだが)という感じなのではないか。

現代ロシア美術というと、だいぶ前に小さなギャラリーに日本語ぺらぺらの美青年画商が催した展示を観に行ったが、彼どうしているかなあ・・・、そのときの作品はアヴァンギャルドの正統な後継者といったものと社会主義レアリズムをオマージュするようなものだったかと記憶している。
桑野塾で扱われたこともあったかと思うが、展覧会という形で観るのは随分久しぶりで、しかも「宇宙」を感じさせる、なんとも素敵な予感が。

しかし、市原湖畔美術館って?
そういう美術館があったことを全然知らなかった!
千葉方面では千葉市美術館は時々行く(ミュシャとオルリクの展覧会、観に行かねば)が、川村記念美術館もホキ美術館もまだ行ったことないのだが、市原にも美術館があったのか!

電車だと、あの小湊鉄道を使うので、心惹かれたが、やはり東京駅から高速バスを使った。約1時間、アクアライン経由(行きは寝ていた)。

以下ツイートを補足する形で書いていく。

https://twitter.com/KocmocKocma/status/1177746263120347136
東京駅八重洲口のバス乗り場には辿り着いた。暑!

バス乗れた。
後払い(帰りは先払いだった)、PASMO可。行き先間違ないか二度も確認。バス混んでます。お隣は恰幅よい男性
市原のバスタ到着、美術館の無料バス※に乗れた。高速バス、窮屈だった。
※この日はイベントがあるので無料送迎バスがあった

市原湖畔美術館の夢みる力~未来への飛翔展
冒頭展示

 



ポスターにもなったこの作品1-a「祖先の訪問のための手編みの宇宙ロケット」
チシコフさんの故郷ウラルの風習で亡くなった方の服から毛糸リボンを作ってクッションのようなものを編んで思い出にする。そのロケット版。祖先と一緒に宇宙訪問を夢みる


今度はバスタじゃない、パスタ作品1-c「ラドミール」Ладомир
パスタを素材に用いて宇宙的な夢の未来都市を表現した作品である。



飛行船?は風でゆらゆらしていた

宇宙都市の太陽(人工の太陽なのかも)




 
壁にもパスタ






 
人々はパンで作られている。
(倒れた人がいるのは??)


 9月9日の台風で市原湖畔美術館も被災し、停電でエアコン止まってしまい、「ラドミール」は糊が溶けて作品は全壊した。(美術館自体も数日間休館を余儀なくされた。)
しかし、作者の助言をもとにボランティアの手で作品は再構築された。

元々「人間の夢のはかなさをパスタを溶けやすい糊で貼り合わせたもろいオブジェで表現していた」というものだったが、天災の前にそれが奇しくも現実化してしまったのだ。
作者はそれを聞いて「人間の夢は打ち砕かれる。人間の夢はもろい。しかし、気を落とさず、手を休めず、皆で力を合わせて世界(おそらく原語はмирミール)を再建しよう。太陽はふたたび輝く」とメッセージを寄せる。
17日にスタッフや地元の方が集結し、一日の共同作業で「ラドミール」を復元。
作者は「新しいラドミールは共同作業の成果、ニコライ・フョードロフ*の言う『共同事業の哲学』に他ならない」と語った。

作者からのメッセージ

 

 

 
この写真に写っているのがオリジナルの作品
なお、出品作家全員から千葉の台風被災に関してお見舞のメッセージが寄せられている。

*ここで名前の出たニコライ・フョードロフ、ロシア宇宙主義の草分けで、『共同事業の哲学』はその主著(弟子たちがまとめた)。1-b「宇宙主義者の表彰板」にも当然登場する。

ニコライ・フョードロフ

 

アレクサンドル・ヤロフラフスキー

ロケットの父、コンスタンチン・ツィオルコフスキー 



カジミール・マレーヴィチ



ウラジーミル・ヴェルナルスキー
 

ヴェルナール・フレーブニコフ
「ラドミール」はフレーブニコフの詩を元に制作された

 

芭蕉の月
切り株は月のように見えるという俳句が芭蕉にはあるそうで、市原に生えていた木で作られた作品。
 
 
 













 
販売しているピロシキはしらたき入った日本風。具が千葉産の茸とか



屋外展示 「空を見よ、自分を見よ」というタイトルなのだが、草津の重監房資料館の再現モニュメント思い出した(夏休みに訪れたここのことはまだ書いていなかった。近日公開予定)

展望台となった高さ28mの藤原式揚水機、登れる一番上まで行って撮った









重監房再現したもの
 





実は南極ビエンナーレのメンバーが複数。鴻野わか菜先生もビエンナーレ参加されてたのか

ミニコンサート、ミニミニコンサートの後、市原湖畔美術館を後にする

 


 
 


市原湖畔美術館、9月中に来て正解だった
バス料金値上げ!
カタログも9月いっぱいは送料無料サービス中だったし

忘れ物をバスタまで届けに来てくれたらしい美術館の方!
市原のバスタ、トイレの外はにゃにもにゃい

帰りのバスは空いてて快適。フリーWi-Fiも使える。行との差が激しい。





図録が届くのが楽しみ!

帰りは渋滞のため迂回路。時間かかって先程帰宅

お土産はマリンカさんの猫トランプと宇宙飛行犬マグネット、展覧会の葉書
マグネットはロシア製には珍しくしっかり全面にマグネット貼ってある



 
(まだまだ補充予定)