2019年10月20日日曜日

複雑な感想~ノヴォシビルスクのクラースヌィ・ファケル(赤い松明)劇場の三人姉妹


手話劇「三人姉妹」観に行った。
(レッドトーチ・シアターという表記だったが、Красный факел театрをなぜわざわざカタカナ英語表記にするのかわからない。クラースヌィ・ファケル劇場若しくは赤い松明劇場でいいと思う。)



お馴染みの戯曲でもついつい字幕を読んでしまい、演技を観ながら本を読んでいる感じが疲労を誘った。
第3幕は暗くて特に舞台を観るのが辛かった。
不思議な現代風(設定はチェーホフの原作のままなのだと思われる。部隊が異動するのもポーランド方面のようだし。)が冒頭から英語の曲ガンガン流してイリーナは化粧台でスプレーかけてヘアセット、フェドーチクはスマホでセルフィー←ミーシャ・ジーみたい)

お芝居には手話使用者もいらしてた。手話案内もあった。でもお芝居自体は決して聴覚障害者向けだったわけではない。「三人姉妹」なんで台詞がロシア手話にせよ日本の手話にせよロシア語にせよその場で逐一わからなくても大体知ってる前提で演技・演出で訴える舞台だったのだと思う。いろいろ面白かった。
音楽大音量でも台詞がかき消されることはないとか、それは手話ならではだったのではないか。
音楽だけではなくて机をたたく音とか身体が発する音、効果音、それが”よく聞こえる”こととなっていた。

その一方で

https://twitter.com/MakiharaEri/status/1185178580826738688

こういう感想は当然出てくるだろうと予想した。字幕は元の戯曲にかなり忠実だったと思うが手話での台詞はかなり略されていたのではないか。俳優が観客向かって手話で台詞を伝えているというならあの手話の見え辛さはないなと思う。特に第3幕は暗くて見え辛かった。
たとえ客席にロシア手話を解する人がいても字幕なしでわかったとは思えない…。
一先ず聴覚障碍者が鑑賞することはあまり想定していない、と割り切るしかないんじゃないか?

しかし、手話を聴覚障害者の意思疎通手段というよりも一つの舞台言語として割り切って考えた場合、この舞台は絶賛級のものになる。
登場人物一人一人に心震えていくのがわかった。特にラストは実にロシア演劇っぽかったな。

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