戦時中の二年間、ファシスト政権への忠誠を拒否した両親とともに、名古屋の外国人収容所で不自由と飢餓の苛酷な体験をした著者の自伝。自らの体験とともに、父母や妹による回想・記録を交え(このバランスがよい)、治安法制下で戦時の日本で、「ふつうの人たちの親切、寛大さ」とともに「警察官のサディズムと狂気の国家主義、人種的偏見による軽蔑に苦しめられた」記憶を率直に語る。一家は宮澤・レーン事件の宮澤氏とも懇意だっただけに、治安維持法についても鋭く言及。また、”開放軍”たる米兵に性暴力を振るわれそうになったことも記している。
かなり前に観た映画「思い出のアン」を思い出させるが、「アン」が日本人の少年の視点で描かれているのに対し、こちらは収容されたマイノリティーの少女の視点なので、戦時下・治安維持法下の日本の醜悪さがより生々しい。
かなり前に観た映画「思い出のアン」を思い出させるが、「アン」が日本人の少年の視点で描かれているのに対し、こちらは収容されたマイノリティーの少女の視点なので、戦時下・治安維持法下の日本の醜悪さがより生々しい。
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