2023年2月8日水曜日

イラン映画三昧

 2/1~2/4の4日間、アテネ・フランセ文化センターでマフマルバフとジャリリの映画5本の特集上映「モフセン・マフマルバフ監督作品セレクション デジタルリマスター版上映とオンライントーク」

初日、2/1(水)

有休をとって「サラーム・シネマ」「ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ」、四方田犬彦氏のトーク、「パンと植木鉢」

マフマルバフの作品の中で一番好きなのはやはり「パンと植木鉢」

やっぱり暴力ではなく!やっぱり非暴力で!という切なるマフマルバフの思いがラストにこめられている。

しかし…マフマルバフに襲われた元警官にとっては何という苦い味の過去であったことか。

マフマルバフの作品の中でも最初期なのかと思っていたが、「サラーム・シネマ」より後なのだった。(「サラーム・シネマ」でオーディション応募の人たちが出てくる。)

「サラーム・シネマ」は、マフマルバフの態度がパワハラ全開であんまり観ていて気分が良いものではない。合格だよ、いや不合格だから帰れを繰り返すのが(100%ドキュメンタリーではなく、フィクションであるにせよ)特に若い女性たちに対してなのが、性悪に見える。

2/2(木)

早番で5時あがりだったから、18時からの市山尚三さんのトークに間に合い、「ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ」を再見。

イラン映画史の知識を、トークで少し深めてから二回目を観ることができた。

(さらにこの後、土曜のマフマルバフ監督自身のオンライントークで解説していただいて有難かった。なぜイラン映画はこんなに巨匠たちが輩出するのか?という長年の疑問に対する答えにすこーし辿り着けたのかもしれない。)

2/3(金)はショーレさんのトークと「サラーム・シネマ」だったが、上記の感想だったので、2回観る気にはなれず、パスした。

2/4(土)

実はイランの映画監督で一番好きなのはアボルファズル・ジャリリ!

上映前に山口吉則さんのプレゼンテーション。アジア・フォーカス福岡国際映画祭が突然終わってしまったのも、案の定市長が変わったから、というものだったか。

それでも、福岡市総合図書館が映画祭上映作品のアーカイブとなり、さらにこれからは「イラン映画を福岡の宝物に」プロジェクトでイラン映画を買い上げて図書館に寄託・寄贈していくという。イラン映画ファンには涙が出るほどありがたい話!

これまでに「牛」(レジェンド作品!)「クローズ・アップ」、そして今回上映された5作品がDCP化されて図書館に寄託・寄贈されることになった。

私はずっと東京にいながら、地方都市のがんばりの成果を享受してきて、その努力に対して何の貢献もできないできたが、プロジェクトに寄付したら、Pほんの少しではあるが恩返しができるだろうか。

ジャリリの「グリーン、ホワイト、レッド」

イラン映画史の話だけれど、マフマルバフの「ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ」とは一味も二味も違う、ジャリリらしい(何気なく美女・美男登場しがち)ドラマになっていた。

ラスト「タイム・オブ・ラブ」

マフマルバフ監督によれば女性の権利、女性の自由について訴える作品とのことで、主人公女性は婚姻外恋愛に走ってしまうのだが、それは当然視している感じ。そして図らずもほぼ同時代に作られたキエシロフスキの「偶然」と同じような発想で作られている。



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