2024年9月11日水曜日

 




 



さすがにロシア語・ロシア文学研究者は最初から気合が違うな、とか、ロシア留学中での先生・僚友たちとの交流を微笑ましく思ったりしながら、どんどん読み進めていたのだが、アントーノフ先生の話は何とも切ない。それではとても言い足りないけれど。

しかし、これからもこの著者を通じてロシア文学が日本語で紹介されていくだろうと思うと嬉しい。著者の今後がほんとうに楽しみ。
ノーベル文学賞作品を下敷きにして書かれた小説というと昨年初頭に読んだ『あの本は読まれているか』が記憶に新しい。
https://kirakocma.blogspot.com/2021/03/blog-post.html

この本も、タイトルからしてノーベル文学賞受賞者(作家というよりジャーナリストだが)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が即座に想起されるであろう。かの本は日本でコミカライズされ、NHK「100分de名著」で取り上げられ、多少知られるようになったまさに名著ではある。
”この本”『同志少女よ、敵を撃て』は無論アレクシェーヴィチやアントニー・ビーヴァー等の著作を読み込んだ上でのフィクションだが、この本もやがて映画化やコミカライズされて、もっと多くの人に届くようになるのだろうか(それを願う)。
※アルトゥール・スモリヤニノフくんはもうこういう戦争映画には出演しないかしら

Twitterのフォロワーさんが指摘していたことだし、一読して鈍い人でも気づくだろうが、ソ連の女性狙撃兵のシスターフッド全面に押し出したミリタリーものと言いつつ、実際にはもっともっと硬派のフェミニズムが見えてきて嬉しい(『あの本~』でも感じたこと)。”この本”の作者は男性、でよいのだろうか?にしては随分踏み込んで書かれていて感心する。
主人公セラフィマは、個人的な怨恨はともかく”女性を守る”ために戦闘する。逡巡しながら一貫している。

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