レジスタンスを綴った著作としてはかなり異色。自伝的フィクションというのはよくある手法ながら、ドキュメンタリー映像を作成しながら客体と自分を語るという手法。
ナチス将校を刺して斬首されたラトヴィア出身のロシア系ベルギー女性マリーナは、墓碑に「斬首された」ことと「マルターエフの妻」であることしか書かれなかった。一緒に埋葬された男たちが「政治犯」とか「ベルギー解放軍」とか書かれているのに。そしてこの夫が(レジスタンスはしてはいたらしいが)家族に対しては卑劣であった。”戦争孤児”となった遺児は深いトラウマを抱え、母はしてもいない罪を被ったのだと言う。
女性の実績を無視し消し去ることは学問や芸術でしばしば行われ、昨今はそういった歴史の掘り起こしが行われているが、レジスタンスにおいても”それ”はあった。
マリーナは亡命ロシア人でありながらスターリニスト、敬虔なカトリック信者でありながらテロに走るという、一筋縄ではいかない組織に属さない野良レジスタンス。彼女と家族、周囲との軋轢が痛々しく、まさに今に通じるものがある。
彼女が同志を得られなかったのが残念だ。治安維持法の弾圧に抵抗した祖母は、その時代の仲間達とは生涯にわたって親交を保っていたのを見ていたので、そう思えてしかたない。
ナチス将校を刺して斬首されたラトヴィア出身のロシア系ベルギー女性マリーナは、墓碑に「斬首された」ことと「マルターエフの妻」であることしか書かれなかった。一緒に埋葬された男たちが「政治犯」とか「ベルギー解放軍」とか書かれているのに。そしてこの夫が(レジスタンスはしてはいたらしいが)家族に対しては卑劣であった。”戦争孤児”となった遺児は深いトラウマを抱え、母はしてもいない罪を被ったのだと言う。
女性の実績を無視し消し去ることは学問や芸術でしばしば行われ、昨今はそういった歴史の掘り起こしが行われているが、レジスタンスにおいても”それ”はあった。
マリーナは亡命ロシア人でありながらスターリニスト、敬虔なカトリック信者でありながらテロに走るという、一筋縄ではいかない組織に属さない野良レジスタンス。彼女と家族、周囲との軋轢が痛々しく、まさに今に通じるものがある。
彼女が同志を得られなかったのが残念だ。治安維持法の弾圧に抵抗した祖母は、その時代の仲間達とは生涯にわたって親交を保っていたのを見ていたので、そう思えてしかたない。

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