2017年6月24日土曜日

EUフィルムデーズ2017②

13「クリスマスの伝説 4人の若き王たち」ドイツ ★★★
初めて見るマッチョじゃないグルジア男子。全体的にどことなく既視感あり。アウトローな若者と、やっぱりはみ出し者の精神科医。
「キツツキの頭は痛まない」とか「人生、ここにあり!」あたりに似ているのかな。

ここで、一旦京橋を離れて国会へ。
肉球新党の人達と共に国会包囲に参加。
暑かったので日陰で。
早めに離脱して再び京橋へ戻る…つもりが永田町駅までの道、既に混んでいて難儀したが、間に合う。

14特別プログラム「ズビシェク」ポーランド ★★★★
プラス講演ワイダとツィブルスキ~ポーランド派の名監督と名俳優
「灰とダイヤモンド」のあのズビグニェフ・ツィブルフキ追悼ドキュメンタリー(といってもかなりオマージュ)(1969年)は言うまでもなく素晴らしく、タデウシュ・ルベルスキ教授の講演はよかったのだが、佐藤忠男さんが老いてわけわかんなくなっているなあという感じで(トークとして成り立たないほど自分勝手なことを述べていた)、イランを始めアジア映画を日本に紹介するのにあれほどの貢献をされた方なのに、老害のようになっているように見えて悲しく、ショッキングだった。(そのせいで★を一つ減らした。)
なんだか言っていることが古~い左翼崩れ、インテリ崩れのアナーキストのステレオタイプになっていて、具体的に言っちゃうと「ワイダもツィブルスキも共産主義者(及びポーランド当局)に言い知れぬ怒りを抱えていて」というのを前提に話そうとしていて、教授に「いや、ツィブルスキは共産主義の理想と現実のポーランド政府は分けて考えていて、理想の方は捨てていなかったですよ」と即座に指摘されていた。

15「お母さん」エストニア ★★★
オチはかなり早い段階でわかっちゃうんだけどな。

16「善意の行方」オランダ ★★★★
オランダらしく一部グロい(去年の「提督の艦隊」もそうだった)。アメリカ渡って万事OKであるわけではないのだが。
息子はどうなった?

17「検事、弁護士、父親、そして息子」ブルガリア ★★★★★
これは一般公開願う佳作。
Прокурорът, защитникът, бащата и неговият син(ブルガリア語原題)
イグリカ・トリフォノヴァ監督
但し、旧ユーゴスラヴィアの戦犯法廷の話なので、舞台はハーグとボスニア、それに弁護士の故郷のスウェーデンで、使用言語は英語とボスニア語。
最後に移民3世の弁護士が父親に話しかけるのは彼のルーツであるロシア語。
というわけで、ブルガリア語のセリフはない。

https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4WQIB_jaJP547JP547#hl=ja&q=%D0%B8%D0%B3%D0%BB%D0%B8%D0%BA%D0%B0+%D1%82%D1%80%D0%B8%D1%84%D0%BE%D0%BD%D0%BE%D0%B2%D0%B0+%D0%B1%D0%BE%D0%BB%D0%B3%D0%B0%D1%80%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9+%D1%84%D0%B8%D0%BB%D1%8C%D0%BC&spf=1497229180620

監督もプロデューサーも(このお二人がトークイベントに参加)女性で、主要な役である検事も女性。
骨太な作品。
息子はボスニアのサッカークラブに、むろんサッカーがやりたくて入ったのだが、クラブごと民兵にスカウトされ、のちに戦争犯罪で裁かれることになる。
拘留されているときもしょっちゅうサッカーボールを操り壁当てしている。
実話をもとにしているとのことであるし、サッカークラブが民兵組織に利用された話は聞いたことがある。
サッカーの政治利用云々の話題が出るたびに、この話題が胸をよぎるのだ。
こんな悲劇がもう決して繰り返されないように願ってやまない。

なお、弁護士の名前はミハイル・フィンということになっていて、父親には「ミーシャだよ(Это Миша.)」と話しかける。
移民一世の祖父はロシア語しか話さなかった、自分はロシア語はできない、と通訳のボスニア人女性(ドイツ生まれ)に話していたが、家庭内言語はロシア語だったようだ。
フィンという苗字はスラヴっぽくないし、カレリア辺りのフィン系民族という可能性もあると思う。
(デンマーク映画「幸せになるためのイタリア語講座」に出てくるフィンという人物はフィンランド系という設定だった。)
弁護士が通訳に自分は移民3世だと話しかける場面、ふとボスニア移民2世のズラタン・イブラヒモヴィチを思わせるものがあった。
(イブラヒモヴィチの父がスウェーデンに移住したのは1970年代後半で、いわゆる経済移民で、1990年代の戦争による難民ではない。ドイツ生まれのボスニア移民2世だという通訳の女性が彼の経歴と被っているかのようだ。)

ロシアでは去年ロストフ・ナ・ドヌの映画祭で上映された模様。
http://unikino.ru/gran-pri-rostov-bulgaria/#more-20792
Прокурор,защитник,отец и его сын(ロシア語タイトル)

18「リリーのすべて」イギリス ★★★★★
今日テレの「映画天国」で特集されているLGBT映画に加えて欲しかった。
性同一障害で最初に性転換手術に挑んだ、デンマークの画家の実話を基にしているとのこと。
同業の妻、幼馴染の友人(プーチンさんみたい!)、妻の友人、と周囲があまりに理解あって美しい世界だが、現実はもっとどろどろしていたらしい。
リリー役の人、男としてとても美しく、女としては、う~む、ちょっと微妙…に見えていたけれど、だんだんどんどん入り込んじゃいますね、さすが。
来年あたりにはもうイギリスはEUフィルムデーズから離れているかもしれないと思うと寂しい。

19「オリ・マキの人生で最も幸せな日」フィンランド ★★★★
出てくる人出てくるひと皆フィンランドっぽくってすてき。
”Самый счастливый день в жизни Олли Мяки”
У финского боксера Олли Мяки есть все шансы завоевать титул чемпиона мира в полулёгком весе. Он уже преодолел все неудачи, теперь спортсмену из провинциальной глубинки пророчат славу и богатство. Дело за малым: остается сконцентрироваться на решающем поединке, но на пути к триумфу появляется новое испытание — девушка. Олли Мяки всё же станет легендой спорта, но не благодаря победе.
終始モノクロのレトロな映像で素敵だった。
あと、生活大変そうなマネージャーさんも是非幸せになってほしい。
演じているのはЭэло Милоноффという、もしかしたらロシアあたりの出身かもしれない大柄でカウリスマキ映画でも見たような感じの俳優さん。
https://www.kinopoisk.ru/name/440830/

本編上映前にフィンたんのアニメも特別上映。
わかりにくいけれど、二次元フィンたんを手にしている大使館員さんである

フィンたん、着ぐるみオチはなかなかだったぞ。


20特別プログラム「OKI(沖)」ラトヴィア ★★
"Оки — посреди океана"
История о трех людях, судьбы которых переплелись в Лос-Анджелесе. Японка Оки выбрала Америку, чтобы убежать от прошлого. Бывший брокер по недвижимости Роб, искатель лучшей жизни, так же, как сотни тысяч латышей, уехал, но не прижился и переживает кризис. И его соседка по комнате Вилли, юная и энергичная американка. Роб и Вилли начинают слежку за странной японской женщиной, которая часто меняет место жительства, и вскоре узнают тайну страшного прошлого Оки. Это заставило их переоценить и своё прошлое.

режиссер Марис Мартинсонс

В главных ролях:
Каори Момои
Ханна Левиен
Андрис Булис
Уильям Голдштейн
Дэниэл Мессье
Джозеф Ферранте

https://www.kinopoisk.ru/film/741226/

アフタートークでみた桃井かおりさんは大変おきれいだった。

で、この監督と桃井さん、それにイッセー尾形さんの強力タッグによる「ふたりの旅路」公開のことを知り、今日初日初回に出かけた(別項で)。
「OKI」は娘を亡くしたトラウマに悩むロスアンゼルス在住日本人女性オキとそれにかかわるカップルの話で、「ふたりの旅路」の習作っぽく思える。これみてから「ふたりの旅路」を観られてよかった。

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