2025年12月5日金曜日

読書メモ:刻印 満蒙開拓団、黒川村の女性たち

 

遺族会の現会長ご夫妻、先日の高校生平和のつどい証言の分科会の前後にお顔を合わせた。人当たりの良い感じのよい方たちで、つどいの前後にも講演予定があるとのことであまりお話する時間はなかったが、引き継いで語っていかなければならないことを的確に掴んでお話しされる方だった。 前会長、やはり現会長とは同姓ながら親戚関係はないとのことで、ずっと公表には強硬に反対してきて、この本を読んで、一人「悪役」を背負ってしまった形に、もはや可哀そうにさえ思えてしまうが、事実を隠そうとしてきたのは絶対彼ばかりではないのだよなあ。
かつ、前会長の行為は一応は「接待させられた女性達を誹謗中傷から守るにはこうしないといけない」と信じていたからというのがあるわけで、彼女たちの尊厳を踏み躙った最大の加害者たちは、まずは「接待させよう」と発想した人たちだし、後に彼女たちの行為をあろうことか誹謗中傷した人たちではある。でも、ご本人たちが顔を出し本名を名乗って証言しているのに、なお隠蔽しようとしたのは、彼女たちのことを考えてというよりも、やはり自らの罪を認めようとしない、卑怯な態度だろう。日本の縮図だ。
非常に立派な態度の遺族会現会長だが、長年自民党員で、町議会議員で、議長も務める。ここまでは保守派の人に時に見かけるタイプとして違和感はない。著者はさらに2024年の自民党総裁選で彼が石破氏ではなく高市氏に投票したと聞いて「え?高市さん?」となったと記述しているあたりはなかなか興味深い。高市氏が侵略を認めない発言も「直接は聞いたことがない」から、ご自分は日本人の加害行為を認めるのに全く抵抗はないが、歴史歪曲主義者のことをよく知らないままに支持してしまう、ということか、と。

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