映画「エルミタージュ美術館 美を守る宮殿」
初日初回で観たが、60点くらいか。
・イギリス人視点だからかロシア革命のことぼろぼろに言っている。
革命の時に、冬宮に蜂起した人たちがなだれこんできて(エイゼンシュテイン「十月」の映像を使用している)、ワインセーラーのワインは叩き割られてしまったというエピソードが紹介される(飲んじゃったんじゃないのかあ)。
スターリン時代、一部の所蔵品が外貨を稼ぐためにアメリカに売られてしまったことや、現代芸術に理解がなくて職員が収容所に入れられたりしたことなどが語られ、革命怖いよ~と強調したい空気を感じるが、結局はロシア人としては
「それでも守り抜いた」ことを言いたいらしく、
「フランス革命より文化に優しい革命だった」
という結論が述べられたのだった。
最初に訪れた90年夏、臨時政府の大臣達が逮捕された部屋の止まった時計の前でガイドさんが「ここで偉大な社会主義が生まれたのです」と棒読みしていた、その部屋を久しぶりに観たのが感慨深い。
エルミタージュでは、いろいろな子ども向けイベントをやっていると聞くが、映画中では氷像制作が出てきた。
氷の彫像を子ども達が作ったのを館長さんが見て廻るが、猫像はじめ力作揃い。
どこぞの雪まつりだと体力のある公務員さん中心だと言うが、子どもがこれ作ったのだろうか?大人のサポートは当然あったとしても凄い。
90年夏の宮殿広場、エルミタージュ |
・マレーヴィチのところでおどろおどろしい音楽で駆け抜け
・小さな守衛さん達は最後の方ちょっぴり出演。
ちょっとオタクっぽい現代芸術家?エリック・ヴァン・リースハウトErik van Lieshoutのインスタレーションとしての登場。
もっと登場場面は多かったらよかったのに!!!
『КОШКИ』は映画館では売っていません。
エルミタージュのミュージアムショップで買ったものです。
エルミタージュ所蔵の猫絵(地域・時代別)ガイドと守衛さんの写真という優れもの。
ヒューマントラスト有楽町お馴染みの映画に即したメニュー、「エルミタージュ美術館 美を守る宮殿」ではなぜかアイスフレバーティー? |
この映画中では、レニングラード封鎖を生き抜いた体験者の女性が登場し、おばあ様の飼っていた猫を食べることになった悲惨な話を語る。
上映後にトークショーあり。 実のところ、沼野先生とか沼辺さんとかのトークだったらよかったけれど、ま、贅沢は言うまい。 特段有益な情報はなかったが、最後に、エルミタージュ美術館展に行くにあたり漫画でも本でもロシアの歴史を知って行くとよいとの真っ当なアドヴァイス。 |
お母様が、孫とどっちが大切か?と詰めよって、おばあ様、泣いて差し出したっていう。辛い話だが、「おいしかった」という。革のベルト、壁紙も食べてしまい、家具を燃料にして生き延びる。といっても住民の1/3は亡くなったのだ。
(今年はショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」初演から75年である。)
エルミタージュとレニングラード封鎖についてなら、イギリス人監督の「エルミタージュ美術館 美を守る宮殿」よりソクーロフの「フランコフォニア ルーヴルの記憶」の方がずっしりきた。ルーヴルについて撮ったようでありながら実は限りなくロシア、ペテルブルグ、エルミタージュ愛に満ちていた。
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