1本目
「聖なる犯罪者」、ポーランド映画祭のポーリッシュ·シネマ·ナウらしい佳作。来年の一般公開が楽しみ。→公式サイト
救いがあるのかないのか微妙なラスト秀逸(私は好みだ)。「異端の鳥」にも通じる普通の人々の中にある排除と欺瞞と暴力に震撼する。
主人公青年、どんな罪を犯して少年院入りしたのかは明かされないが作中説教では「私は人殺し」と語っているのが比喩ではなくほんとうなのだろうか。心根の腐った悪者ではないが善人でもなく(この作品にほのぼのした善人は一人も出てこない。皆闇を抱えている)、そしてこのまま無事社会復帰できるような人物かというといやいやぶっとんでるよなあ、やっぱり、というのを、バルトシュ・ビィエレニアが狂気がかった熱演していた。
毛色は全く違うが、観客を途方に暮れさせるラストで、カネフスキーみたいな。
監督のヤン・コマサは「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」の人か。あれ、お金出して観て損した唯一のポーランド映画であった。ポーランド映画にも駄作は存在するものだと認識させてくれた貴重な歴史的逸品。でも「聖なる犯罪者」は普通によい映画なので安心しご覧ください。
2本目(というか2枠め)、「マルツェル・ウォジンスキの世界」
「マイクテスト」「なにがあっても大丈夫」「配達されなかった手紙」
割とノーマルで、感じはいいが、それほど新鮮味はない(のは初期キエシロフスキを想起するからなのだろう)。
3本目、ポーランド映画祭「ヨハネ・パウロ2世 あなたを探し続けて」予想されたことだけど褒め称えることに終始して批判的な視点はまるでない(当然)。伝記映画でもレムとかマダム・キュリーとかアイヌ民俗学者のピウスツキ・ブロニスワフほどには思い入れないこともあって”ああそうですか”で終わった。
私はポーランド人でもカトリック教徒でもない(メソジストです)のでついついこういう冷めた評価をしてしまうけれどヨハネ・パウロ2世に心酔している方ならばっちり入れ込める作品と思う。現教皇の幅広い活動も彼が築いてきた下地あってのものであろうし。
0 件のコメント:
コメントを投稿