今回は原作を読まずに観た、劇団民藝のアトリエ公演「ヨールカの灯り」(原題『残酷なゲーム』«Жестокие игры»)
老舗劇団の稽古場での若手主体の公演、登場人物たちの大半が1970年代後半のソ連の青年男女であり、演じるのもそれに近い年代の非常にフレッシュな俳優たち(研究生、初舞台も3人)だ。
私が観たのは初日だったので、まだあまり役者たちも慣れていないなーという感じが否めなかったが、場数を踏めば完成度が増していくのではないか。
この劇団に限らないが、年配の世代と若い人たちと役者としても力量の差をものすごく感じてしまう。
それはともかく、サッカーの話題に移ろう。
1970年代後半、モスクワ、若者たちは皆なぜか親たちと上手くいっていない。
これは親たちのせいでもあるし、無為な生活に堕している若者たち自身のせいでもあるように思える(が、それをことごとく他人のせいにしていて、ただただ幼い)。
日本で言えばシラケ世代になるのだろうか、無為な生活をして、自分が愛されていないとか必要とされていないとか、拗ねている。
親の世代はおそらくそんな若者たちを理解できずにおろおろしている。
一緒にサッカーを観に行かないかと誘う(具体的なカードは出てこないけれど時代柄スパルタークとかディナモとかの主催ゲームではないだろうか)が、「ボールを蹴って点を取り合うおもしろさがわからなくなった」なんて台詞で突っぱねられる。
離婚して出て行った母も「一緒にサッカー観に行くのを楽しみにしている」(これはおそらく別れた息子におべっかを使っている)などと手紙に書いてよこしたりするのだが。
この段階で、親と子の断絶はかくも根深く、修復不能なのではないかと思われたりする。
しかし、いろいろありまして、最後にはなんとなーく和解の方向に向かうか?
途中に悲劇も生じたけれど、反発するだけが能じゃないと若者たちも悟り始めたか、というところで幕となるが、あの親子は後ほど試合一緒に観に行ったかもしれない・・・。
そんな余韻を残して劇は終わった。
アレクセイ・アルブーゾフ 戯曲「ヨールカの灯り」(原題『残酷なゲーム』«Жестокие игры»)
これは邦訳なし?
邦訳があるのは
1 イルクーツク物語/てすぴす双書/アルブーゾフ,アレクセイ著/未来社/1980
2 父と子/てすぴす双書/アルブーゾフ,アレクセイ著/未来社/1976
3 私のかわいそうなマラート/てすぴす双書/アルブーゾフ,アレクセイ著/未来社/1976
4 夜の告白 未来社 1971 (てすぴす叢書)
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