2014年6月15日日曜日

21世紀の救世主

ウクライナは「誰でも子どもの頃から教科書で知っている」ものだろうか。
「国の名に次いで、穀倉地帯、そして黒土、(略)チェルノーゼムを教わる。また黒海、クリミア半島、ヤルタも教わる。」

『ウクライナ100の素顔  もうひとつのガイドブック』
東京農大ウクライナ100の素顔編集委員会編
東京農業大学出版会
2005年刊

世界高等農業教育研究コンソーシアム(GCHERA)キエフ大会と、東京農業大学「ウクライナ農業調査団」団員の見聞(2003年)の成果の一部を、写真集としてまとめたもの。
スラヴ学の専門家やウクライナ好きの人、現地居住経験者が語るものではない新鮮さがある。実に農業大学の方たちらしく、牛の写真が多い。あと、ヤギ・ヒツジ・ウサギ・豚・ミツバチ。
「帰国の日に農業展示会場で念願の家畜に会った。」
「初めてウクライナで見る牛に興奮して夢中で写真を撮った。」(この先生の写真が品種の説明とともに7枚掲載されている。牛への情熱が迸っている。)
農産物やチェルノーゼム(黒土)の写真と解説も。
「農業はウクライナに学べ」は正しいのでは?
「ウクライナ語では、アクセントのない「oオー」は「aアー」と発音するが」等、ちょっと違うぞという文章も散見した(ウクライナで話されている言葉即ウクライナ語、という思い込みがあるようだ)。
オデッサを「オデッサ」と発音すると、「アデッサ」だと「親切且つ執拗な指摘」を受けたとのこと。オデッサはウクライナ語じゃなくて、どちらかというとロシア語、オデッサ人たちによればオデッサ語ならぬアデッサ語ですから。

「いま新たに21世紀地球の食糧危機の救世主として、力強くまた大きく発展しようとしている。」
東京農大の先生たちならずとも、ウクライナに期待と希望を抱いた人も少なからずいたことだろう。

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