2015年5月6日水曜日

ウクライナ映画の遠い夜明け

ウクライナ映画「ザ・トライブ」をようやく観た。
実は予告を観て、あまりそそられない映画だった。
友人が「荒んだ世相を表した作品のような気がします」と手紙に書いていたが、私もそんな気がしていた。
そんな映画、ソ連崩壊後のロシア映画によくあったじゃないか。
初期ボドロフ、カネフスキー。

果たして、「ザ・トライブ」はよく似ているのだ、それらの映画に。
20年前のロシア映画という印象。新しさはない。
(後でプログラムを読んだら、監督さんはレンフィルム出身だった。どおりで。)

しかし、映画も後半にさしかかり、明らかに過剰な女性の裸体(結構美しく撮れているが)や畳みかける暴力シーンに、ああ、もっとそっくりな映像を私は観て来たぞ、えーとえーと…ほら何だっけ?と思ったら、そうだ、この映画は劣化バラバノフだった。

「ロシアン・ブラザー」「チェチェン・ウォー」「フリークスも人間も」。
モラルが崩壊したような世界観で、エログロ映画を撮り続けていたアレクセイ・バラバノフ。スプラッターな「アフガン発・貨物200便」«ГРУЗ 200»に、この「ザ・トライブ」は同じ傾向だと思う。

何で?何で?
またウクライナ映画には大いにがっかりしてしまった。
(数年前のウクライナ映画祭で一度がっかりしている。)
ウクライナは、もうこれといった映画が作れなくなっているのだろうか?
それこそ、ロシア映画の後追いみたいなものばかりしか日本に来ないぞ。
これは日本に紹介する人たちのセンスの問題なのか、ほんとうにウクライナ映画の生産力が破壊的なことになっているのか。
※ムラートヴァは別格だ。どうせ一般大衆向けの作品は作らないし。

とは言っても、この映画、映画作品としては破綻なく成立している。
先達から学ぶべきは学んでいて、あともう少しオリジナルな何かを得たら、よいものを作れるようになるのではないかと思う。
次作はチェルノブイリについてだというから期待できるように思う。

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