オデッサ派のイリフ&ペトロフ原作の「幸せの椅子」が一番の目当てで、「人生、ここにあり!」のマンフレドニア監督の新作「僕たちの大地」はまたも協同組合もののようで、「幸せの椅子」のカルロ・マッツァクラーティ監督は昨年亡くなっているが(「幸せの椅子」は遺作)、2010年制作の「ラ・パッショーネ」も観ておこうと、それに同時上映の短編2本、計5本だった。
カルロ・マッツァクラーティ監督2作品はどちらも、最初はなかなかおもしろく、ぐっと惹きこまれて楽しめるが、それが最後まではいかない。
どうも巨匠にはなり損ねた人のようだ。
脚本が整理できていないのだろうか、最後の方になると余計なエピソードに埋もれてつまらなくなってしまう。
「12の椅子」原作なら、やはりアレア監督のキューバ映画の方がおもしろかった。アレアはやはりマエストロ。
「幸せの椅子」では、舞台は現代イタリアに。
ペテン師オスタップ・ベンデルは結構真面目なタトゥー師※1に、相棒はエステのネイリストに。
悪徳司教は健在(恰幅の良い、印象的なバイプレイヤーは「ラ・パッショーネ」の助監督役と同一人物?)※2だが、こういう役はできたてほやほやの社会主義政権下の緊張感あってこそのところもあるので、現代イタリアだとただの破戒僧キャラになってしまうのは残念。
それと、椅子も12脚から8脚に規模縮小である。
重要なこととしては、ラストはこれも改変され、一応ハッピーエンド、で、ちょっとつまらない。
※1ヴァレリオ・マスタンドレア
※2ジュゼッペ・バッティストン、やはり「ラ・パッショーネ」助演の人
プログラムには原作者イリフとペトロフを「ロシアの作家」としていたようだが、やはりソ連とすべき。
オデッサ文学だからね。
「ラ・パッショーネ」も、受難劇の方だけでよかったのではないかと思う。
愛弟子の奮闘ぶり、犠牲は泣かせるし、受難劇の劇中劇とも重なる。
に対して、ポーランド人女性や新作企画云々は余計では?
「僕たちの大地」は、「人生、ここにあり!」と同じテイスト、繰り返しに思えて新鮮さはあまりないものの、そしてマフィア相手にちょっと緩すぎるようには感じたが、そして内通者はあまりにわかりやすかったが、よしとしよう。おもしろかった。
観た中で一番良かった。
毎度ながら、映画祭をこの規模で毎年確実に開催できているイタリアは凄いと思う。
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