「クーキー」はさすがスヴィエラーク、心揺すぶるポイント心得ているわ。人形・ぬいぐるみ・おもちゃの冒険は先行作品がいろいろあるが、チェコの伝統とスヴィエラークの先進性と見事に融合していた。
実は数年前のバルタ監督のパペットアニメーション「屋根裏のポムネンカ」は気に入らなかったのだ。彼らしくなく、平板で。資金稼ぎのため作ったというのも頷ける。「クーキー」は作りたくて作った映画だとわかる素敵な作品。
ヤン・スヴィエラークが偉いのは、これまでいろいろなジャンルの作品を作って、そのどれもが大ヒットという点。(ヒロインが素敵!という作品はこれまでなかったが。「小学校」なんかには、若干女性蔑視っぽい視点があってそれは嫌な感じだった。)少年の心の大人なんだと思う。
貧しい人たち、社会から零れ落ちそうな人たちへの視線が、ジャンニ・ロダーリ『青矢号のぼうけん 』を回想させる。
「クーキー」のスヴィエラーク作品を最初に観たのは俳優座での「アミュムレーター1」。観客は4人しかいなかった(うちカップル1組)。きわもの映画だったけど、結構おもしろくて名前を記憶に留めた。「コーリャ」やチェコ映画祭で観た初期作品、「ダークブルー」も、やはり皆ボーイッシュな感性だ。
だからスヴィエラーク作品を観るといつもフドイナザーロフを思い出す。残念なことに、信じがたいことに、今年彼はこんなにも早く旅立ってしまったのだが。「クーキー」にも激しいカーチェイスがあって、乗り物狂の彼を懐かしまずにいられなかった。あの車たち、こだわりの逸品だろうね。
新宿武蔵野館に展示されている「クーキー」のマケット(チェコからやってきた本物とのこと)等
入手したばかりのタブレットのカメラで試しに撮影。
(容量がつかめず、自撮りになってしまったりして、苦労してとったものでございます。)
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