2015年8月26日水曜日

子どもの友

「クーキー」のレビューで人形劇映画とあるのを見てパペットアニメと実写を合わせた映画でしょ、と思っていたが、パペットは手がぶらっとしていて、アニメでなくて人形遣いが動かしているのだとわかる。糸操りか棒遣いだろうが、どうやらマリオネットで、後に編集で糸を消したと知る。手が込んでいる!父に見せたかった。どんな感想を持ったろうか?

「クーキー」はさすがスヴィエラーク、心揺すぶるポイント心得ているわ。人形・ぬいぐるみ・おもちゃの冒険は先行作品がいろいろあるが、チェコの伝統とスヴィエラークの先進性と見事に融合していた。



実は数年前のバルタ監督のパペットアニメーション「屋根裏のポムネンカ」は気に入らなかったのだ。彼らしくなく、平板で。資金稼ぎのため作ったというのも頷ける。「クーキー」は作りたくて作った映画だとわかる素敵な作品。
 
ヤン・スヴィエラークが偉いのは、これまでいろいろなジャンルの作品を作って、そのどれもが大ヒットという点。(ヒロインが素敵!という作品はこれまでなかったが。「小学校」なんかには、若干女性蔑視っぽい視点があってそれは嫌な感じだった。)少年の心の大人なんだと思う。
貧しい人たち、社会から零れ落ちそうな人たちへの視線が、ジャンニ・ロダーリ『青矢号のぼうけん 』を回想させる。

「クーキー」のスヴィエラーク作品を最初に観たのは俳優座での「アミュムレーター1」。観客は4人しかいなかった(うちカップル1組)。きわもの映画だったけど、結構おもしろくて名前を記憶に留めた。「コーリャ」やチェコ映画祭で観た初期作品、「ダークブルー」も、やはり皆ボーイッシュな感性だ。
だからスヴィエラーク作品を観るといつもフドイナザーロフを思い出す。残念なことに、信じがたいことに、今年彼はこんなにも早く旅立ってしまったのだが。「クーキー」にも激しいカーチェイスがあって、乗り物狂の彼を懐かしまずにいられなかった。あの車たち、こだわりの逸品だろうね。

 
 





 
新宿武蔵野館に展示されている「クーキー」のマケット(チェコからやってきた本物とのこと)等
入手したばかりのタブレットのカメラで試しに撮影。
(容量がつかめず、自撮りになってしまったりして、苦労してとったものでございます。)

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