いずれも『○○の動物学』というタイトル。
①ウマの動物学
②ウシの動物学
③イヌの動物学
④ブタの動物学
⑤ニワトリの動物学
«ヒトとともに生きる»というのは、愛玩動物というより、家畜のことを意味するらしく(③のイヌは家畜とは言わないかもしれないが、「人のために働く動物」ではある)、5冊の中にネコは入っていなかった。
が。
このシリーズのラインナップではないが、このたび『ネコの動物学』が刊行された。
でも、上記のシリーズが3200~3400円であるのに対し、この本は2600円(本体価格)なので、おそらくより一般向けに書かれたのだと思う。
東京大学出版会の書籍は、一冊読むとそれなりに知識が得られた、賢くなったような気にさせられる、一種知的満足感が得られる。
(誤植が多かったにせよ『ロシア宇宙開発史 気球からヴォストークまで』とか。)
なので、この本についても、ネコに関してちょっとした知識やより体系的な理解を得ることができるのではないかと期待して手に取ったのだった。
しかし、感想としては、お値段相応のライトな読み応えといったところ。
最初の方は猛猫や猫の写真が、モノクロながらふんだんにあって、素敵。
性格と毛色の関係などは、一般的には関心の高いことだろうか。
実験と通説は概ね一致したようだ。
芸術作品に登場するネコの紹介については、全く網羅的でなく、中途半端な印象を受けるが、まあしかたないかな。
挙げていったらキリがないもの。
(例:エルミタージュ所蔵のネコを題材にした作品集)
また、現代では愛玩が主目的となっているネコであるが、本来の害獣駆除の働きについて、特にエルミタージュの約50匹のネコたちの活躍が挙げられている(83ページ)。
これについても、私は繰り返し書いているが、美術館・博物館・図書館その他官庁も含め公的な場所で働くネコは、決してエルミタージュだけではないと思う。
(去年の秋に話題になったノヴォロシイスクの児童図書館員猫のクージャは元気だろうか?)
それと、「ネコは芸ができる」という項目では、ククラチョフ猫劇場が紹介されている。
(ククラチョフさんは昨日お誕生日だった由。)
ネコは芸ができなくても単に可愛いだけでポイントになる、というか、おとなしくじっとしているだけでもかなりお利口だと思いますわ。
読み終ってみて、どんな読者層を狙って書かれたのかはやや疑問を持った。
ネコの飼い主向けのガイドブックではないし、ネコについてのアラカルトとしては物足りないし、動物学の専門書としては勿論欠けが多いだろう。
でも、一冊さっと読みとおせるように、平易に書かれているのはよかった。
過剰なスキンシップはよくないという、もっともな注意書きもあったが、一緒に布団の中に入るのもいけなかったのか。
毎晩やっていたわ。
(でも、そのうち温まるとふとんの中からふとんの上に移動するけどね。)
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