2014年1月28日火曜日

同志ワトソン

「シャーロック・ホームズとワトソン」TVシリーズ全11話を観終わった。

ホームズ役のリヴァーノフはわにのゲーナの声の人。
ワトソン役のソローミンは「冬のチェリー」に出ていた俳優。

あと、ゲストにはニキータ・ミハルコフやらオレグ・ヤンコフスキーやらイリーナ・クプチェンコ、インノケンティ・スモクトゥノフスキーなど相当豪華な顔ぶれが。

天才的で大変人の主人公に、常識人の秀才の友人、という組合せでことにあたって万事解決!
ホームズは凄い才能の持ち主だけれど、皮肉屋で女性が苦手(ハドソンさんは別)で、思いっきり変な人で、カール・マルクスみたいなもの。
ワトソンさんはエンゲルス。
常識的で、上流階級の社交場にも出入りする。もてそう。
ホームズさんには偉い兄さんがいて(浅見光彦か?)、ワトソンさんには問題児のお兄さんがいたという。

このシリーズ、ワトソンさんの方が主人公のように見える。
それだけソローミンにはお得な役柄だったろう。
(ついでながら、第一話に登場する女優がソローミンの奥さんだ。)

でも最後にワトソンさんがいつになく深いことを言う。
(原作にこの場面があるのかどうかは知らない。)
「昔はよかったよな。」
それは単に、欲得という動機のはっきりした個人的な犯罪を追って犯人をつかまえていたから。
でも、ホームズさんは一旦引退したのに愛国的な理由から復帰を余儀なくされたわけだけど、ワトソンさんが述べるに「自分の都合で戦争を起こす上流階級の連中のことは理解できない。」「これらの人たちに比べたら、以前の犯罪者たちは可愛いものだ。」「その身勝手さにおいてはドイツの人もイギリスの卿も変わりはない。」
ホームズさんは「そう悲観するな。20世紀は始まったばかりだ。」と慰めるような言葉をかけるが、ワトソンさんは「私や君やハドソンさんで(戦争のような世界を巻き込んだ大犯罪を)止められるだろうか?」とつぶやかずにはいられない。
懐疑的ではあっても、きっと彼らは精いっぱいのことはするのだろうが。
(しかし現にワトソンさんは軍医として召集されている。)
「そう悲観するな」のすぐあとに、年代を示す(暗号になっている)金庫の番号は1914で止まる。
今から100年前。
大戦が始まる。
ああ、ワトソンさん・・・。

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