残念なのは図録はおろか出品作品目録も作っていないこと。
関連書籍が11月下旬に求龍堂から刊行とのこと
上映作品リストを貰うこと!
これは入り口で申し出ないと貰えません。
ポーランドの展示作品はは皆上映されるので(一部上映もあるが)これでとりあえずカバーできる。
展示は最初にクロアチア、次いでポーランド、そしてチェコ、その次に最近の作品、最後に関連資料(ポスター、カタログ、書籍等)の順。
だが、馴染みの薄いクロアチアで1時間以上かかってしまう。
しかし悪いが、クロアチア作品は後2者と比肩すべくもない。やっぱりかなりひけをとる感じ。
でもそれは私にはクロアチアアニメの魅力がまだ消化できないせいか。結局私はチェコやソ連のジュブナイルで育っているんだな。クロアチアの、微妙にエログロなのと、西側での既視感のある絵のセンスが、私にはノスタルジーを起こさないのかもしれない。
クロアチアアニメはエログロが多いと書いたが、そういうのも含めて場内でオープンに上映している。
「猫」というエロチック且つかなり暴力描写もある作品を、私の隣でお小さい方が観ていたけれど、私が親なら就学前の子どもには見せたくない。
上映するなと言うのではないが、「そういう作品もある」という注意書きは必要ではないか。
(簡単な作品解説は書いてあったが、上映場所とは離れた場所(セル画展示のところ)であった。)
そんな中で気に入ったクロアチアアニメは「ブーメラン」のばかばかしいオチとシンプルなギャグセンス。
今朝のスポーツニュースで久しぶりに思い出した柳沢さんを想起させる?いけない!ネタバレ??
この作品のストーリーボード約190点(不採用のも含めて)とセル画約50点はこの展覧会のための調査でザグレブ・フィルムの倉庫から発掘されたものだとのこと。
この美術館はこれまで広々したワンフロアの利点を生かした展示をしてきたものだけど(「レーピン展」「ロシア・アヴァンギャルドポスター展」←現在世田谷美術館に巡回しているもの)、今回の展覧会ではそれが今いち工夫されていないようだったが、唯一この「ブーメラン」のストーリーボードがだ~~~っと斜めに走ったガラスケースに展示されているのは迫力を感じる。
気に入ったクロアチアアニメもう一つは「マキシ・キャット」。
この猫、ザグレブ・フィルムのイメージキャラらしい。
テニス編、綱渡り編、ドア編とも。これもシンプルなギャグ。
ポーランドのは展示物が少なくて、10分前後の作品をいくつもを観ることになるので時間がかかる。(この前にお食事済ましておくといい。)
ポーランドのでよかったのは「森の向こう、林の向こう」。
スラウ゛っぽい!ポーランドとも、ウクライナとも、チェコとも、ロシアとも共通する田舎の風物詩。鮮やかな色彩で最近の作品かと思ったら意外と古い(1961年)。
「チェンジグ・ガード(衛兵の交代)」はガリ・バルディン風の針金とマッチ箱のアニメ。
「龍のバルナバ」は鍛冶屋の若者の龍退治で、トゥルンカの「バヤヤ」に、西部劇パロディーの「リトル・ウェスタン」は「草原の歌」あるいはアウレル・クリムト監督「ブラッディ・ヒューゴ」(東部劇と銘打っていた)に、恐怖の支配者が出てくる「袋」は「手」に、それぞれ印象が酷似していた。
ポーランドとチェコ、発想は似ているところがあるのかもしれない。味わいは勿論異なる。
チェコのアニメに関しては殆ど観たことがあったので、新鮮さは感じなかったが、「チェコの古代伝説」のリブシェと「バヤヤ」のカシュパレークのパペット(個人蔵)を観たら泣きたくなるほど懐かしさが込み上げてきた。
チェコアニメ最初期のカレル・ドダルの作品上映が貴重ではないだろうか。
フェリックスの猫をそっくりいただいて「銀行に預金しよう」なんていうコマーシャルアニメを作っていたりするのだ。
しかし、何しろチェコはアニメの巨匠を輩出している国なので、こういう企画があるたびにないものねだり的に「あとはゼマン作品があったらなあ」とか「今回はパレチェクないか、しょうがないなあ」とか思ってしまうわけだけど、この展覧会ではシュヴァンクマイエルファンにはやや不満が残るかも。あと、ポヤルやミレルも目立たなかったかな。
とにかく作品を観ているととっても時間がかかる展覧会なので朝から一日がかりのつもりで行きましょう。
ミュージアムショップで買ったチェコの絵本とマスキングテープです。
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