「我にやさしき人多かりし」
「まあ、よし」の人生。
こうだとよいのだがな。
周囲の人たちを尊敬し、助け合って、よく働き、よく生きたい。
そう願うが、実際の暮らしの中で最も身近な人たちを具体的に愛しつつ食べて寝て働いて息抜きしてと生活し続けていくのは、思いのほかしんどいものである。
だから、すらすらと、こういったことが綴られている文章を読んでいると快い。
さすがは作家、なので、語彙の豊かさに惚れ惚れする。意外と漢語を駆使したしゃっきりした文体。東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる私にとっては、おせいさんの大阪弁での恋愛小説は味わいつくせないかもしれないが、古典物はこれからどんどん読んでいきたい。
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