2013年1月1日火曜日

マクシム、ヴァシリー、アントン、アルトゥール

『収容所惑星』"Обитаемый остров"
『蟻塚の中のかぶと虫』"Жук в мупавейнике"
『波が風を消す』"Волны гасят ветер"

ストルガツキー兄弟による、いわゆるマクシム・カンメラー三部作«Трилогии Каммерера»

『収容所惑星』の映画化作品(邦題「プリスナー・オブ・パワー」、フョードル・ボンダルチュク監督)、観たのはインターナショナル版でわかりにくかったが、あの難解な小説をよく映像化していたと感心する。
マクシム・カンメラーを演じたのはヴァシリー・ステパノフで、26歳の彼が20歳の設定というのは少々無理があったけれど、いつでも妙に前向きのマクシムのイメージに合致した、且つ素晴らしく美形の俳優だ。

こんな風に誰にでもすぐ好感を持たれる、才色兼備の、いってみればスーパーマン的なマクシムが全力を尽くしてみても、結果は大惨事というのがこのSFだ。

たとえそれが善意であったとしても、«独裁制粉砕»などという目的があったにしても、部外者がそこに介入することは正しいのだろうか?というのがこの作品のテーマでありましょう。
(介入する部外者というのは、往々にして被介入者より「知性の高い」者、高度な社会とされているものだ。)
原作者のストルガツキー兄弟がソヴィエト・ロシアの人というと、ここに描かれている世界を原作が書かれた当時のソ連体制のアイロニーとして受け止める向きが多いようであるが、「よい社会」の理想を外側の者が決めてそのシナリオに沿って変革していこうなどということが、しかもそこで生じる幾多の物事を理想実現のための多少の犠牲などと決めてしまうことができるのだろうか?というのは、それに限ったことではない。
むしろ人類が連綿と行ってきたことで、比較的近いことで例示すれば、ソ連のアフガニスタン侵攻(F.ボンダルチュク監督「第九中隊」)、NATOのユーゴスラヴィア紛争介入、イラク、アフガニスタン、そしてシリアでアメリカやその追随者がやっていること。
マクシムの孤軍奮闘はそれらを思い起こされる。
たとえ善意であったとしても。

美形俳優のステパノフは何となく既視感があったが、わかりやすくアントン・シュニンに似ているということにしておこう。
演技力はまだまだであるせいか、声は別の俳優の吹替えだったらしい。
それに"Обитаемый остров"で注目されたものの、その後映画に引っ張りだこというわけではなく、マクシム役以降伸び悩んでいるという方が合っているのではないか。

昨年はアルトゥールくんんと«Мой парень - ангел»という作品で共演している。
アルトゥールくんはファニーフェイスだからな。
ヴァシリー・ステパノフみたいな美形と一緒だと際立ってしまう。
でも演技力では負けない!

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