原爆の子→ヒロシマの子どもたち
詩人のアンドレイ・ボズネセンスキーさんの訃報が、日本のマスメディア、それもスポーツ新聞のニュースサイトにも載っているというのは驚きだ。
さて、今日は友人から貴重なご本をいただいたので、大変感動しているところだ。
『原爆の子』長田新編(岩波文庫)のロシア語版 ペチャトヌィ・トラジーツィー社2009年刊
"Дети Хиросимы― воззвание мальчиков и девочек Хиросимы"
ロシア語訳はマリヤ・キリチェンコ。
岩波書店のホームページの記載によれば、この本は「エスペラントをはじめ十数カ国語に翻訳され」たとあるが、被爆から65年経とうという時期になってようやくではあるが、核保有国ロシアで出版されたというのは大きな成果だ。
あの人たち、時として、原爆は姿勢を低くしてやり過ごしましょうくらいにしか認識していないようなところがあるから。
昨年夏にインドネシア語版が出来、来年あたりにはフランス語版が出される予定とのこと。
ん?フランス語版もまだだったのか。
残念ながら、このロシア語をすらすら読めるというわけにはいかないので、日本語版を参照しながら、読み進めたいと思う。
それにしても、貴重なご本をありがとう!!
▼『原爆の子』訳本についての補遺(1990刊岩波文庫による)
1.エスペラント訳 1952年(抄訳) 訳者名は明記していない(協会による共訳か?)
2.ノルウェー語訳 ハルディス・モーレン・ヴェスアース訳 1961年オスロ
3.デンマーク語訳 キルステン・ブロストローム訳 1962年コペンハーゲン
4.ドイツ語訳(ドイツ民主共和国) 1966年フォルク・ウント・ヴェルト社、ベルリン 訳者名は明記していない。
5.英語訳 英文『原爆の子』刊行委員会(代表・福島要一) 1980年アサヒ・イーヴニング社、東京
6.英語訳 1981年テイラー・アンド・フランシス社、ロンドン 訳者名は明記していない。
7.英語訳 1981年エルゲシュラーゲル・ガンアンドハイン社、ケンブリッジ・マサチューセッツ 訳者名は明記していない。
(6.と7.は5.の訳本。いずれも長田新先生が1960年に作成していた英語版原稿を基にしている。)
8.ドイツ語訳(ドイツ連邦共和国) 1981年レーデルベルク社、フランクフルト・アム・マイン
9.ドイツ語訳(ドイツ連邦共和国) ヘルマン・フィンケ訳 1982年オットー・マイヤー社、ラーヴェンスブルク
10フィンランド語訳 ヴァプ・タイペイル訳 1984年ラステンケスカス社、ヘルシンキ
11ギリシャ語訳 1985年ボウコウマニス社、アテネ
12中国語訳 彭家声、張光珮、彭浩訳 1990年北京大学出版社、北京
13スウェーデン語訳 中島香子、ヘレナ・エリクソン訳 1990年予定、ストックホルム
14ロシア語訳 エレーナ・レージナ訳 刊行予定
1990年の岩波文庫刊行時には、上記のような具合だった。
(意外と北欧諸語の訳本が多い。そして、フランス語はやはり未訳だったのだね・・・)
レージナによる訳は何らかの事情ででなかった、ということなのだろうか?
核保有国の言語であるという意味で、ロシア語訳ができたのは意義深いと上で書いたけれど、「日本への原爆投下は、日本の軍国主義を敗北させ、アジア解放に役立った」と信じている人が多い、とも聞く、アジアの人たちに読んでもらうためにも、アジアの人たちの言葉でもっと訳されてほしいようにも思う。
その意味で、昨年刊行されたというインドネシア語版も、たいへん意義深いものであろうと思われる。
Дети Хиросимы
品薄状態だった『原爆の子』がワイド版岩波文庫で刊行される。
ロシア語訳についてのお話を数か月前に書いたが、まずは日本語でしっかり読みなおそう。
◇КНИГА(書籍情報2010年10月版⑤)
2010年10月11日月曜日
朝日新聞別刷りGlobe「世界の書店から」の「夏の3都市特集その2モスクワ「大祖国戦争」とロシアの女たち」には、長田新編『原爆の子』の翻訳出版会が6月にモスクワの大手書店で行われたと書かれています。『原爆の子』のロシア語訳"Дети Хиросимы― воззвание мальчиков и девочек Хиросимы"については、以前「原爆の子→ヒロシマの子どもたち」で紹介しました。
*長田新編ワイド版岩波文庫『原爆の子ー広島の少年少女のうったえ 上』『原爆の子ー広島の少年少女のうったえ 下』
2011年5月29日補遺
当初刊行予定であったエレーナ・レージナさんによるロシア語訳は、レージナさんが志半ばで亡くなってしまったため、頓挫。
後にキリチェンコさんによるロシア語訳がようやく完成、ロシアでも刊行。
日本ではナウカ・ジャパンを通して入手することができます。
丁寧な注釈もついており、Аяториあやとり,Фусумаふすま,Бэнтоべんとうなどの説明も興味深いです。
2011年5月29日補遺
当初刊行予定であったエレーナ・レージナさんによるロシア語訳は、レージナさんが志半ばで亡くなってしまったため、頓挫。
後にキリチェンコさんによるロシア語訳がようやく完成、ロシアでも刊行。
日本ではナウカ・ジャパンを通して入手することができます。
丁寧な注釈もついており、Аяториあやとり,Фусумаふすま,Бэнтоべんとうなどの説明も興味深いです。
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