2011年1月2日日曜日

青騎士

展覧会初めは三菱一号館美術館の「カンディンスキーと青騎士」展。

東京駅丸の内口から歩いたのだが、あの辺の道、右翼の街宣車でいっぱいでした。
舗道にはその筋の人が群れていて、お年を召した人はビルの1階に入って暖を取っていました。
皇居の方で恒例行事があるからなのでしょう。

さて、入るのは馬場先通りに面した入口です。
2日の10:00の日時指定券を買っていたからです。


こちらは丸の内ブリックスクエアの一角。

ブリックスクエア側の入り口(こちらからは入らなかった)

ミュンヘンのレンバッハ美術館所蔵の青騎士の人たちの作品展示なので、カンディンスキーと言ってもあのいかにもいかにもな抽象画(解説がないと何を描いたのかさっぱりわからない、みたいな)ではなくて、具象→抽象移行期のなかなかおもしろいものでした。

また、ヤウレンスキー、ヴェレフキンなどロシア出身の芸術家、マルク、マッケらドイツ人の芸術家と深く交わり共鳴しつつ、それぞれが新しい芸術を創造していた様に、胸が熱くなります。
特にドイツ人側のマルク、マッケは第一次世界大戦によってほんとうに若くして戦死してしまうのが、なんとも「勿体ない」ことです。
彼らよりも年上だったカンディンスキーは、彼らの戦死をどんな思いで受け止めたのでしょうか。

マッケは、写真では繊細そうな美青年。
「遊歩道」や「帽子店」などの絵はマリー・ローランサン風です。
ロベール・ドローネーに影響を受けたと説明にあったけれど、むしろソフィヤ・ドローネーに親和性を感じます。

ミュンターとヴェレフキンの二人の女性は、ヴェレフキン像を描いていて、それぞれなかなかに趣きがあってよい絵です。
(なのに、ミュージアムショップにこの絵の葉書はなかった…どころか、彼女たちの絵は一枚も絵葉書になっていなかった。なぜだろう?ちょっと差別的なものを感じてしまう。)

カンディンスキーの飼い猫、ヴァスケはカメラ目線で、ねこ!という顔立ち。
カンディンスキーに抱かれる手つき足つき顔つきが普通の猫っぽい。
月並みだがとっても可愛い。
猫好き必見。

これらの作品が観られるのは、戦火の中でも地下室等で作品を守り通し、その後レンバッハに寄贈したミュンター、このドイツ人女性のおかげ。
仲間同士の書簡も保存していたのです。

カンディンスキーは彼女と出会った時には既に結婚していて(宗教上離婚できなかったとある)、第一次大戦時にドイツを去らねばならなくなって、その後ロシアでニーナ・アンドレーフスカヤを結婚してしまう(最初の妻は既に亡くなっていたのか?)。
彼女に対してカンディンスキーは結局誠実ではなかった、ということになってしまうが、それでもミュンターは作品を守り続けてくれた。
ありがたいことですね。

カンディンスキーは、オデッサ所縁の画家でもあり、オデッサ美術館にも所蔵がありました。
あの色彩の氾濫は、ロシアというよりオデッサのイメージだ、という感じです。

カンディンスキーは、『青騎士』にみられるように、画家であったばかりでなく、理論家でもあったのですが、この展覧会では、カンディンスキーはや青騎士の理論的な面については丁寧な説明は特にされていません。
そこが若干物足りなかった点。

新年早々で、館内もいい具合に空いていて、じっくり時間をかけて観て回りましたが、まだまだ立ち去りがたい気持ちに駆られました。
レンバッハ改修終了のおりには、現地に行って観てくるのもよいかもしれませんね…(←夢)

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