2012年2月3日金曜日

ユーロへ行こう

と、職場の後、そそくさと渋谷に向かう。

「ブリューゲルの動く絵」には驚いた。
美術と映画のコンセプチュアリーな作品というと、最近だと「カラバッジョ」とか「宮廷画家ゴヤは見た」とか「セラフィーヌの庭」「ニキフォル」とかが思い浮かぶので、そんなようなのかと想像していた。
作品を解説するというより、画家を描く方向のものを。
あるいは「オランダの光」のような真面目なドキュメンタリー、はたまた「夏時間の庭」のように舞台設定を豪華にするものや、唯我独尊の境地のソクーロフ「エルミタージュ幻想」や。

それらのどれにも似ていなくて、何よりニコス・カザンザキスの『キリストは再び十字架に』を想起させたのだった。
あの小説の映画化したのは「宿命」だけど、あれは時代柄キリスト教ネタより民族独立、コミュニズムの方に力点が置かれているので、私にとっては肩透かしだった。

この「動く絵」はもろにイエスの受難を描いていて、「パッション」(私は未見だが)の路線とも言えるかもしれない(生々しい残酷場面あり)。
受難週の始まりにはまだまだ早かったのだが、心を引き締められたような気がする。

ブリューゲルだし、台詞は英語だし、台詞のある主要人物を演じるのがルドガー・ハウアーとかシャーロット・ランプリングとかだから、オランダ映画なんかだと思い込んでいた。
映画の冒頭のクレジットでは気がつかず、ラストでようやくわかったのだ、これはポーランド映画だと。
言われてみれば、ポーランド人が撮りそうな感じはする。

予備知識も準備もなく観てしまったが、かなり重たい、そして良い映画だった。

一転、バルネットである。
いつでも安心して笑える。
今回の「映画の貴公子ボリス・バルネット傑作選」は、やはりDVD発売に先駆けた特集上映だとのことだ。
ただし、DVDになるのは「帽子箱を持った少女」「国境の町」「青い青い海」の3つだけのようで(この3作品は比較的上映機会も多く、まあそれほど希少でもないように思えたのだが。というより、バルネット作品はどれも“こんなにおもしろいのに、なぜDVDが出ていないの??”と疑問に思えて仕方なかった)、「騎手物語」と「レスラーと道化師」はこの機会に観ないと、いつまた観ることができるやらだよ、と某有力筋に教えていただいたので、まずは「騎手物語」に行ったのだ。
素敵だよなあ。何度観ても笑える、べたな展開がやっぱり好き。
DVDにならないのは残念だ。

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