本多劇場で「どん底」を観る。
最初に観たのはユーゴザーパドの来日公演、次に観たのは劇団東演、昨日が三回目で劇団東演(他劇団の俳優も)+ユーゴザーパドの二人。
どれもベリャコーヴィチ演出なのだが、前2回とだいぶ違うなあという印象を受けた。
東演は「どん底」をかなり前からレパートリーにしている。
おそらくベリャコーヴィチも、過去の東演の演出家をかなり参考にして“東演”仕様の「どん底」に練り直したのではないか。
一言で言うと、ベリャコーヴィチにしては結構新劇色濃厚(説教くさいといいましょうか)、怒鳴りまくり。
しかしさすがに3時間という長さをちっとも感じさせない怒涛のリズム、だけどユーゴザーパドの俳優たちが演じる舞台ほど目眩がするような感覚は起こさなかった。
警官メドヴェージェフ役のロシア人俳優が、ほんとにメドヴェージェフ(現大統領)に似ていたりする。
何度観ても、「どん底」は不思議な、というより不可解な話だ。
さて、この劇を観る前に、ゴーリキーを読んでおこうかな、などと考えている矢先に、カーリャがディナモからヴォルガに移った。
ヴォルガのホームタウンであるニージニー=ノヴゴロドは、ソ連解体当時にはロシア連邦共和国でモスクワ、ペテルブルグに次ぐ3番目に人口の多い都市だった。
が、現在(2010年統計)はノヴォシビルスク、エカテリンブルグに抜かれて5位になっている(2011年にはサマラにも抜かれたという記事も見た気がするが未確認)。
ロシアは深刻な人口減少が続いているが、大都市は人が流入し人口が増加しているところが多い。
そんな中でニージニー=ノヴゴロドは、人口が減り続けている。
旧名はゴーリキー。
その当時は閉鎖都市であり、サハロフ博士が流されたりしていた。
ちなみに古都ノヴゴロド(ベリーキー=ノヴゴロド)とは別!
作家のマクシム・ゴーリキーの生まれ育った町だ。
ありがたいことに、日本語の詳細な解説がここで読める。
カリャカとゴーリキーに親和性があるわけではないけれど、何となく読んでみる気になった。
私が読んだゴーリキーは『どん底』ではなく、自伝的短編小説『二十六人とひとり』Двадцать шесть и одна。
(元になっているのはニージニー=ノヴゴロドではなく、カザンの製パン工場での体験であると後書きにあった。)
ポプラ社の『百年文庫11 穴』に、カフカの『断食芸人』・長谷川四郎『鶴』とともに収められている。
何とも言えないやりきれなさが『どん底』と通じる。
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