2012年2月12日日曜日

おばさんか?

他の外国語学界(特に文学)もそうなのかもしれないけれど、ロシア語の先生は、文化の香り高い家系の出身者が多いようです。
(勿論、“普通の家庭”の出身で、素晴らしい先生になった例も枚挙に暇はありません。)

お父様が落語家、お母様が絵本作家という黒田龍之助先生は前者、その奥さまの金指久美子先生は後者です。

内田莉莎子さん、堀内路子さん姉妹も前者になるでしょう。
このお二人が姉妹だと知ったのは、ロシア絵本展の講演会で、松居直さんのお話を伺った時でした。

我が家ではとてもお世話になっている福音館書店(源泉徴収票が送られてくるのが毎年一番遅くはあるのだけれど)の創業者で、日本の児童文化を支えた方である松居さんはある意味カリスマです。
『シリーズ・松居直の世界』は、福音館からではなくミネルヴァ書房からの刊行です。
その第1巻『松居直自伝 軍国少年から児童文学の世界へ』
この後半は月刊誌『母の友』『こどものとも』の編集で知り合った作家・画家・訳者・学者・編集者(同業者)らの名前が次から次に登場するのですが(当然だ)、この『母の友』創刊のときのエピソードで「叔母のイルゼ・ブラッシュ」という記載が突然あるのです(131ページ)。
叔母って?!

手芸をされている方はご存知でしょうが、山脇の先生で雄鶏社などから手芸本を出されていた方。
日本名松居イルゼ
クロス・ステッチ―イルゼ・ブラッシデザイン集より
クロス・ステッチ復刻図案集 (Handmade Series)
が辛うじて入手できるようです。
彼女の手芸の師匠はロシア人母子、ということはこの本も参照として挙げておきましょうか。
『ロシア刺繍ものがたり』
自伝の中には言及もないようですが、イルゼさんは松居直さんのお母様の弟さんのうちの一人の奥さまであったようです。

話を松居さんに戻すと、福音館では絵本、小宮山量平さんの理論社では創作児童文学と棲み分けをして、ともに日本の児童文化を牽引した様子が書かれていました。
が、理論社は最近倒産しましたね。
日本では、絵本は何とか生き残った(今のところ)けれど、その上の年代の物語文化は息も絶え絶えになっているのではないか、と心配になります。

『こどものとも』については第2巻『松居直と『こどものとも』―創刊号から149号まで』で詳細に語られるとのことです。
第3巻『翻訳絵本と海外児童文学との出会い』も楽しみ。
最近、映画絡みで岩波がヒットを飛ばし、他は差をつけられているようにも見えるけれど、どうなのでしょうか。

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