「キリマンジャロの雪」をやっと観に行けた。
カウリスマキの「ル・アーヴルの靴みがき」にも通じるようなフランスの港町での人情もので、やや安易に(だが美しく)奇蹟が起こってしまうル・アーヴルに比べて、地元っ子のロベール・ゲディギャン監督(名前から推察したとおりアルメニア系だった)が描くマルセイユは奇蹟というほどのものは起きない。
かといってリアリズムが鼻につく感じでもない。
犯人役の青年(グレゴワール・ルプランス=ランゲ)はかのゼニットの暴走特急くんに似ている。
いや、あんまり似ていないかもしれないけれど、やや華奢な感じの色白の若者というと、すぐ暴走特急くんを思い浮かべてしまうのだ。
それと主人公の息子(アドリアン・ジョリヴェ)、これはもうジーマ・スィチョフだ。
(むかーしのことになってしまったが、ジーマはマルセイユでプレイしていたこともあるのだ。)
この二人はミヒャ・ワルド監督の映画では兄弟役で出演しているそうだ。
似ていないのに。
あと脇役のバーテンダーのお兄さん(ピエール・ニネ)、弟くんたち(ヤン・ルバティエール&ジャン=バティスト・フォンク)もちゃんと美形を揃えています。
このご時世に、労働組合の舵取りは困難なのだろう。
主人公は「公正な方法」と信じて行ったくじ引きによる解雇だけれど、それは社会的弱者を守ることにはなっていなかった。
賃金カットや労働時間短縮によるワークシェアリングという方法があるではないかと、その暴走特急くん似の元同僚に言われてしまう。
あと早期退職の希望を募ってみるとか。
修復的司法の難しさについても考えさせられた作品だった。
(という点で「少年と自転車」とも親和性がある。)
映画の後、岩波ホールの地下のイタリアンレストランでお昼にして、半蔵門線で渋谷へ。
ヒカリエ8階の川本喜八郎人形ギャラリーに行ってみた。
エスカレーターで昇っていくとすぐのところに孔明さんと清盛さんの人形のパネルがあります。
これは渋谷区ゆかりの人形、金王丸。
ギャラリーは無料ですが、中はさすがに撮影禁止なので、入口に飾ってあるこの人形が唯一撮影可能なもの。
「平家物語」と「三国志」の人形が展示されていた。
「平家物語」
青年期の平清盛、平忠盛、遠藤盛遠、平泰子、木工助家貞、源渡、袈裟御前
美福門院、鳥羽院、待賢門院、崇徳院、源為義、源義朝、金王丸(上記の写真)
「三国志」
曹操、郭嘉、夏侯淵、王允、董卓、李儒、陳宮、呂布と赤兎(馬)、貂蝉
劉備、関羽、張飛、趙雲、龐統、諸葛亮、孫権、周瑜、魯粛
どちらも、ストーリーのごく初期の登場人物が中心だ。
おそらく年に何回か展示替えをしていくのだろう。
ヒカリエの館内には何の案内もなくて、ちょっと不親切ではないかと思えた。
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