2012年1月22日日曜日

そして記念日について

ウラジーミル・タラーソフのアニメーション「記念日」を、昨日の桑野塾で見せていただいた。
タラーソフの絵は、あたかもソヴィエトアニメではないかのような、いわばアメリカナイズされた作風で、カチャーノフやノルシュテインのように可愛いキャラが出てくるわけではなく、好きか嫌いかというとですね、まああまり好きではない方に入るかな。
しかし、この「記念日」は、タラーソフがタラーソフでありながら、ソヴィエトアニメ史総ざらいした(つまりソ連アニメの人気作品が続々登場する)、一粒で二度も三度もおいしい、何ともお得な1本。

アニメーション映画100年を記念し、設定としては西暦2936年、ソユズムリトフィルム創立1000年記念上映を宇宙船内でやっているというもの。
1920年代から1980年代までのソヴィエトアニメの名作を、スペースシャトルみたいな宇宙船内で上映していると・・・。

ソヴィエトアニメ史総ざらいと言っても、革命前のスタレーヴィチのパペットアニメは登場しないのは少々残念だが、いたしかたないか。
これが作られたのが1983年。ペレストロイカ直前のこと。
ロシア皇帝に仕え革命後は亡命したスタレーヴィチの作品はどんなにすごくてもソ連=ロシアアニメとしてカウントされていない、らしい。

そして、どこまで扱うかというと、これが作られた時代より前のものまでしか使えないというしばりがあるわけで(1980年代以降の作品は当時現れていないのだから記念上映不可能)、どうなるのかなあと思っていたら、驚くべき展開で、大笑いのラストへ突入し、大感動のうちに幕、となるのだ。ソヴィエトアニメ、恐るべし。

約30分の作品ですが、ここで観ることができます。

登場する作品
*1927年 「アフリカのセーニカ」Сенька-африканец イヴァン・イヴァノフ=ヴァノ等
ソ連初の子ども向けアニメーション映画
(スタレーヴィチの作品は不倫ものだったりしてお子様向けとは言い難いのだよね。皇太子に捧げられていたりするが。)
*1928年「スケート」 Каток イヴァン・イヴァノフ=ヴァノ等
*1929年「郵便」 Почта ミハイル・ツェハノフスキー
サムイル・マルシャークの詩に合わせて、郵便が世界を巡る様子を描いたアニメーション。
数年前のロシア絵本展の際に絵本も刊行された、初期ソ連アニメの傑作。
*1934年「皇帝ドゥランダイのお話」 Сказка о царе Дурандаеイヴァン・イヴァノフ=ヴァノ等&ブルムベルグ姉妹
*1935年「新ガリバー」Новый Гулливерアレクサンドル・プトゥシコ
このあたりからトーキー。プトゥシコは特撮映画の第一人者。実写+パペットアニメ。
*1946年「喜びの歌」Песенка радостиM.パシチェンコ(未見)
このあたりからカラー。
*1947年「イワンの仔馬」(旧題「せむしのこうま」)Конёк-Горбунокイヴァン・イヴァノフ=ヴァノ
手塚治虫や高畑勲監督が大好きな、日本のアニメに最も影響を与えたといってもよい作品。
*1948年「灰色首の雁」 Серая шейка ウラジーミル・ポルコヴニコフ、レオニード・アマリリク
マーミン=シベリャーク原作。
 * 1955年「おかしな試合」Необыкновенный матчパシチェンコ&ジョジキン
サッカーアニメ。「オデッサ・スタジオ」参照。
*1957年「雪の女王」Снежная королеваレフ・アタマーノフ監督
宮崎駿監督一押し作品。
*1957年「いたずらっ子」(仮題) Чудесница  A.イヴァノフ(未見)
トウモロコシが畑で歌をうたっているとトラクターが…。
*1960年 「黒い沼の果て」(仮題) Конец чёрной топи  ウラジーミル・ジェグチャリョフ(未見)
一見ガリ・バルディンの「狼と赤ずきん」風のパペットアニメ。「モスクワ郊外の夕べ」が流れる。
 *1962年「ミャオと鳴いたのは誰?」 Кто сказал «мяу»?  ウラジーミル・ジェグチャリョフ
大ヒット作。作画にユーリー・フルジャノフスキー(「一部屋半」のアンドレイ・フルジャノフスキーの父)の名も。
*1965年「ボニファツィーの休日」 Каникулы Бонифация  フョードル・ヒトルーク(未見)
サーカス勤めのライオンが休暇をとりました。
*1966年「私の青いワニ」 Мой зелёный крокодил ヴァジム・クルツェフスキー
ゲーナの原型のような優しいワニ。ノルシュテインが参加しています。
*1966年「私は鳥を待っている」(仮題) ニコライ・セレブリャコフ(未見)
*1967年「モーグリ」 Маугли  ロマン・ダヴィドフ(未見)
原作『ジャングル・ブック』
*1967年「ミトン」(旧題「てぶくろ」) Варежка ロマン・カチャーノフ
最愛のアニメのひとつ。
*1973年「キツネとウサギ」 ユーリー・ノルシュテイン
絵本もあります。
*1973年「くるみ割り人形」 ボリス・ステパンツェフ
チャイコフスキーのバレエ組曲にのせて、クリスマスツリーの前で痩せた女の子が踊っています。
*1974年「今に見ていろ!」その8  Ну, погоди! (выпуск 8)  ヴャチェスラフ・コチョーノチキン
ウサギと狼と追っかけっこのシリーズもの。ソ連版トムとジェリーと言われることが多い。
*1978年「コンタクト」 Контакт ウラジーミル・タラーソフ
つまり自作。「記念日」の宇宙人も「コンタクト」の宇宙人と同一じゃないか?
*1977年「お姫様と怪人」(「楽しい回転木馬」シリーズ より)Принцесса и Людоед―Цикл «Веселая карусель» エドゥアルド・ナザーロフ
何か知らないけれどやたらパワフルな王女様にたじたじの怪人さん。DVD「ロシアアニメ傑作選①」に収録されている。
そして、チェブ。最後にヒトルークのなんちゃってくまのプーさん。
宇宙は平和だ。

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