先ほどNHKで放映された、カチャーノフの「チェブラーシカ」全4話。
(日本の)子ども向けということで、日本語吹替版。
ルミャーノヴァの声のチェブラーシカが大好きという人も多かったと思うけれど、これは仕方ないでしょう。
※副音声にすれば元のロシア語が聴くことができるとわかりました。
一昨年公開された日本でリメイクされた「チェブラーシカ」の日本語吹替版が、ナレーションによる説明過多で、おそろしく想像力を妨げるものだったので、今回の日本語吹替えも心配でした。
実は、子どもの頃、親の職場の資料室で「チェブラーシカ」のフィルムを観たときには、日本語の字幕などついていない(ソ連で上映されたそのままのものだったらしい)ものだったのだけれど、ソ連の子ども向けのアニメーションにしては「チェブラーシカ」は台詞が割と多い作品で(カチャーノフの他の作品「てぶくろ」「手紙」「ママ」などは台詞がない)、観ていて結構難しいと感じた記憶があります。
制作当時のソ連の状況を知らないと理解できないシーンもありますね。
例えば、第2話でゲーナが警官に詰問される場面は、「ゲーナ、どうなっちゃうの?」と胸がずきんとして、はらはらしましたし、第4話に現れる労働意欲のない作業員たちの姿は意味不明のものでした(が、それを一喝して解決してゆくレディー(←と言わなければいけません!)シャパクリャークは子ども心に憧れでした)。
それにしてもよく放映してくれたなあ、さすがNHKです。
(父はいろいろ文句(最近の子ども向けの番組の質が低下しているとか、枠が削られてしまったとか、再放送ばかりで新しく作ろうとしないとか)を言いながらも、やはり最も良質の児童文化を伝えるTV局は結局NHKなのだ、ということを言っていました。「腐ってもNHKだ」と。)
感心したのは、歌の部分を何とか通りのよい日本語に訳していたこと。
「青い列車」はだいぶ原語の歌詞からは外れた日本語歌詞になっていましたが、まあいたしかたないでしょう。
「誕生日の歌」「シャパクリャークの歌」は元の歌詞にも割と忠実で、日本語としても歌いやすくできていたのではないかな。
チェブラーシカの声の人は甘ったるくて気になりましたが、ゲーナ、シャパクリャーク、レフ・チャンドル等他のキャラクターはよかったです。
そう言えば、第3話の終わりでチェブラーシカがシャパクリャークを「おばあさん」と呼ぶところがあってびっくり。
せっかくゲーナが「あなたはレディーですから」と持ちあげているのに、これじゃぶち壊しじゃないの!
(でも、これは元の台詞にあったのかもしれません。未確認)
とっても疑問だったのは、声優さんたちのお名前、日本語訳をした方のお名前が一切表示されなかったことです。
→こちらには声優さんの一部のお名前はありました。が、訳者の名前はやはりありません。
それどころか、監督のカチャーノフ、原作者のウスペンスキー、原画のシュヴァルツマンの名前も・・・。
「新年おめでとう!ご多幸をお祈りします!カチャーノフ」
一昨年渋谷パルコでのチェブラーシカのパネル展で撮ってきた、カチャーノフさんの年賀状。
今回観ての感想
(昨年11月にロシアアニメーションフェスティバルで得た情報を交えて)
チェブラーシカとゲーナ、のようなペアないしカップルが、作中にいくつも登場する。
シャパクリャークとラリースカ
レフ・チャンドルとトービク
きりんとさる
果物屋さんとリサイクルショップ店主
ポスター貼りのおばさん(最初男性かと思っていたが、スカートをはいている女性との指摘があった)と子猫
ガーリャが余ってしまうが、どこかでボーイフレンドらしき少年がいたようにも見えた。
レフ・チャンドルが「友達がいない」とゲーナを訪ねてくる(第1話)が、ゲーナと同僚のはず。
まあ同僚と友達は別物と言えば別物、だけど。
チェブラーシカが第1話や第2話で字が読めていたはずなのに、第4話では非識字者になっている、というようなストーリー上の矛盾、登場人物の謎の行動については、ユーラシアブックレットの『チェブラーシカ』(佐藤千登勢著)が細かく分析している。
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