2012年12月9日日曜日

2012年版 クリスマスに贈る本


くろうまブランキー (こどものとも傑作集 (17))
著者: 伊東 三郎
ISBN: 4834001237
物語はフランスのフレネ学校の児童達の共同製作で、エスペランティストだったフレネの先生を通じてこの話を知った伊東三郎が再話したもの。
実に泣かせるストーリーだ。これを小学生たちが考えだすとは
岩波新書の『エスペラントの父ザメンホフ』等エスペランティストとして知られる伊東は子どもの問題にも非常に関心を寄せていました(『児童問題』で、「子どもは保護される客体であるのみならず、権利の主体なのだ」と、執筆当時としては画期的なことを述べている)が、彼が生涯で関わった絵本は実はこの一冊のみ。それだけに渾身の一冊と言えます。
後に著名な画家・デザイナーとなる堀内誠一の絵本デビュー作でもあります。
『ぐるんぱ』などの絵も素敵だが、パウル・クレーのようなこの絵本はまた格別。
原画展で目の当たりにしたとき、ただただ去りがたい思いに駆られたのでした。









少年たち (チェーホフ・コレクション)
著者: アントン・チェーホフ
訳者:児島宏子
絵:エカテリーナ タバーフ
ISBN: 4896421787
未知谷のチェーホフ・コレクションはどれも宝物になる。絵を描いたタバーフは世界的アニメーター、ノルシュテインンの愛娘。
ヨールカ(樅の木)に飾り付けしている絵のカードが欲しいなあ。

ロシア民話 動物たちの冬ごもり (ロシア民話)
著者: アレクセイ・トルストイ他
訳者:河葉田たか子
絵:フィリップ キイー
ISBN: 4888889279
動物に関するロシア民話を集めてあります。
ペテルブルクで訳者の留学仲間だったというフィリップ・キイーさんの絵はちょっと地味ながら上品でいい(表紙の画像が出ないのは残念です)。

ロシアのクリスマス物語
著者: イワン・セルゲーエヴィチ シメリョフ 他
訳者:田辺佐保子
ISBN: 4905821762
シメリョフ、テフィ、ブーニン、ゾシチェンコ、ナボコフ、チョールヌイ、ドストエフスキイ、ソログープ、グリーン、クプリーン、チェーホフ、ワグネル、レスコフ、と錚々たる顔ぶれのクリスマス物語集。
アレクサンドル・ベヌアの絵の表紙がおしゃれ。
CD
付きも販売されているけれど、表紙のデザインはCDなしの方が好き。

僕の永遠の友だち
著者: アレクサンドル ヴァイツェホフスキー
訳者:樫本真奈美
ISBN: 4875655657
天に召された友人に思いを馳せつつ・・・。
この友人とは、リューダさんのことです。

てぶくろウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズロシアの絵本)
著者: エウゲーニー・M・ラチョフ
訳者:うちだりさこ
ISBN: 4834000508
これは定番中の定番かなあ。

てぶくろ [ウクライナ民話/ラチョーフ・シリーズ (1)]

著者: エヴゲーニイ・ラチョーフ
訳者:田中潔
ISBN: 4944237723
上の『てぶくろ』の同画家によるリメイク。
リメイクというと大抵はオリジナルより評判が悪いものだが、これは稀有な例外で、あっさりして上品な味わいのある素敵な絵本に仕上がっていて、これもまたよし、との評価を受けています。

ちいさなろば (どものとも傑作集)
著者: ルース・エインワース
訳者:石井桃子
絵:酒井 信義
ISBN: 4834018938
サンタさんをお手伝いするろばのお話。
『くろうまブランキー』に似ているかも。

クリスマスの子犬 (文研ブックランド)
著者: R.G. イントレイター
訳者:若林千鶴
ISBN: 4580816021
これぞクリスマス精神!
絵が少々残念。
 
『青矢号のぼうけん』
ジャンニ・ロダーリ作杉浦明平訳岩波書店
現在入手できるのは改訳されて少年文庫に収められた『青矢号 おもちゃの夜行列車』
でも、挿絵はリウニティ社版から採ったというM.E.アゴスティネルリのものがいいと思うので、1965年刊行の「岩波ものがたりの本1」として出されたこの旧版が好き。
チェコのアニメーションによくあるような、おもちゃたちが自らの意思を持って子どもたちにプレゼントされようとするストーリー。
ロダーリは『チポリーノの冒険』等貧困や不正に対して果敢に闘う冒険ものが得意な児童文学者。本職はイタリア共産党発行の子ども新聞の編集者でした。
なのでソヴィエトで支持されたのだろうけれど、親が貧しいためにプレゼントを貰えない子どもたちのためになろうという、おもちゃたちの言動が泣かせます。

なお、この絵本のストーリーが展開するのは、クリスマスから約2週間後のエピファニー(16日)です。
(イタリアではクリスマス・イヴではなく、エピファニーの日にプレゼントを貰うのです。)

『クリスマスのこねこ 傑作ねこの絵本』
クレア・ターレイ・ニューベリー文・絵光吉夏弥訳大日本図書1988年刊
カチャーノフの大傑作アニメーション「てぶくろ」のねこバージョンみたいで、こういう話には私はめろめろです。
シャムもいいけど、白黒ねこも可愛いぞ!

似たようなタイトルで
『こねこのクリスマス』
エフナー・チューダー・ホールムス著ターシャ・チューダー絵いのちのことば社フォレストブックス2006年刊
クリスマスは皆幸せになることになっている。

『クリスマスの足音』
もうひとつの研究所著・絵青幻社201110月刊
パラパラ漫画にちりちりと鈴がついています。
 
『クリスマスってなあに』
ディック・ブルーナ著・絵ふなざきやすこ訳講談社1982
『うさこちゃん』のブルーナによるクリスマス物語。
横長の判で、いわゆるブルーナ・カラーから外れた茶色・深緑・グレーなど彩度の低い色遣いが目立ちます。
しかし、シンプルな造形はそのままで、優しく静かにキリスト降誕の福音を伝えます。
 
『クリスマスのちいさなおくりもの』
アリスン・アトリー作上條由美子訳山内ふじ江絵201010月刊(こどものとも609号としては200612月刊)
お母さんが病気でお父さんがふさぎこみ、クリスマスの準備をしていない家。
その家のねずみがねこのおかみさんに「何とかしよう」と呼びかけて、サンタクロースを迎える準備をします。
ねことねずみのクリスマスの話はビアトリクス・ポターの『グロースターの仕立て屋』を思い起こさせます。
このねこのおかみさんはなかなか有能ですが、言われるまでは暖炉の前でのびて寝ていたんですね。
手柄はねずみに譲り、控え目なところもいいです。
目覚めたお父さん、しっかりしてくださいよ。

 
ここまでは2010年・2011年に載せていたものです。
ここから2012年版。
 

『ハリーのクリスマス』
メアリー・チャルマーズ作・絵おびかゆうこ訳福音館書店2012年10月刊
ハリーも、おかあさんも、サンタさんを信じていたんですね。

『イライジャの天使 ハヌカとクリスマスの物語』
 
 

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