ドロタ・ケンジェジャフスカの新作「明日の空の向こうに」を観に行った。
うーん、彼女の作品は映画祭上映も含めて3,4本観てきて、どれも打ちのめされるくらい感動してきていたので、今回の作品もとても期待していたのだが、正直言って期待していたよりも、という感じでちょっとがっかりした。
3人のストリートチルドレンが出てくるわけですよ。
11歳のチェチェン人のリャーパは、「アレクサンドラの旅」に登場し、ヴィシネフスカヤ演じるアレクサンドラに向かって「(ロシアはチェチェンを)いい加減に解放して」と言いつつもお見送りに従ってくれるイリヤスくんほど美少年ではなかったが、どちらかというとアンジからクルィリヤに来てくれたシャミーリ・ラヒヤロフ風の、あんまり濃くはないカフカース顔で、よかったし、お兄さんのヴァーシャも友情と弟を思う気持ちに揺れる優しさが滲み出ているようなすてきな少年だった。
でもねえ、監督が一目惚れしたというペーチャ役の子が「僕って可愛いでしょ?」と押しつけがましい感じで受け付けなかった。
ストーリーは(監督によれば2005年に実際に起こった事件を下敷きにしている)単純で、彼らストリートチルドレンがカリーニングラードからポーランドに越境するが、というもの。
「この道は母へと続く」ほどタフな場面はなく、田舎の美しい景色の中で3人が可愛く演じている。
彼らがどうしてそういう境遇なのかの説明は一切なく、だいたい彼らには国境を越えた後どうするのかという展望もないようで、一種の冒険物語であり、ロードムービー。
というだけで、何か足りないような気がする。
登場するのは皆演技経験のない人たちで、辛うじて芸能人といえるのは警察署長役の人がミュージシャン。
でも、このおじさんはよかった。
プログラムに掲載された監督のインタビューでは、「ホームレスの子どもはロシアにはたくさんいるが、幸運なことにポーランドでは問題になっていません」と発言しているけれど、ドロタさん、あなたの「僕のいない場所」は何だったの??
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