「ジョセフ・クーデルカ プラハ 1968 この写真を一度として見ることのなかった両親に捧げる」
ジョセフ・クーデルカ、チェコ名ヨーゼフ・コウデルカは、ズディニェク・スヴェラークみたいな茶目っ気いっぱいのチェコおじさんだ。
とてもシンプルな構成だった。
キャプションもない。
(作品リストを見ると、通り名等がごく簡単についている。)
それだけ写真の迫力は大きかった。
出入り口のある壁面には当時のプラハのチラシやポスターがぺたぺた貼ってある。
(パリやアメリカなど、これらの作品の巡回展では、やはりそうやっていたそうです。)
Домойと書かれた指さしマークとか、まあとってもわかりやすい「歓迎」ぶりです。
そして、彼の写真を元に構成した、フランチシェク・プロハースカによる8分9秒の動画「侵攻1968」が中央で流されていて、その機械音のような無気味な音楽(イヴァン・アヒル)が会場に響く。
「Rebelove」(日本公開時のタイトルは「プラハ!」)、「心地のいい部屋」といったチェコの68年絡みの映画は、おそらくハズレはない。
プラハ事件と写真というと、「存在の耐えられない軽さ」でテレーザが写真家だったのを思い出す。
…やはりあの映画では彼の写真が使われているのだね。
プラハ市民たちの冷静な表情と、若いソ連兵の当惑の表情が対照的。
かなり前、『ユーラシアの秋』というノンフィクション系の本(冴えないタイトルだが立派な内容なのだ!)に、プラハ事件の際に侵攻する軍隊にいて、その後の人生を狂わせてしまった若者(主人公の義理の息子だったと思う)の悲劇が書かれていたなあ。
ミハルコフも、こういうの撮れば、要するに「私たちロシア人は時代の被害者です」という姿勢を止めて、ほんとに歴史と、世界と、向き合って映画を撮ってくれれば、いいんだけどなあ。
才能はあるんだから。
ものすごく才能はあるんだから。
それにアルトゥール・スモリヤニノフが出演できたら最高…。
(妄想終わり)
なお、この展覧会の公式カタログは、平凡社から出ています。
すごい写真なので、欲しい!と思ったけれど、たいへん大きくて分厚くて重たいので、その場で買い求めるのは断念しました。
ネットで買うことにしました。
高いけど。税込3990円也。
『ジョセフ・クーデルカ プラハ侵攻 1968 』
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