「ル・アーヴルの靴みがき」は、観ていてしみじみ本当に泣けた。
カウリスマキ、好きだけれど、今度の「ル・アーヴル」は特に好きだ。
しみじみいい。
いかにもフランスの警部然としているジャン=ピエール・ダルッサンがかっこいいいいいいい。
カティさんは今回乙女チックな服を着ている。
カティさんもいいが、エリナ・サロさんも素敵。
ご近所の人たちの優しさがぐっとくる。
もちろん、主人公のマルセル、アンドレ・ウィルムの静かな初老ぶり、思わず「お帰り」と声をかけたくなる。
作品中、何度も何度も「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」を思い出し、今は亡きマッティ・ペロンパーを偲んで、涙が滲むのだ、が彼、アンドレさんも、あの映画で親友の恋人ミミ(オペラのミミとは違って、割と勝手に出て行って病気になったのでふらふら戻ってきた感じだった)のために、何か作家の貴重な初版本を手放してお金を工面するのだった。
今回はアフリカからの難民少年のロンドンへの渡航費を捻出することになり、周囲の人たちが手助けを申し出る(くすっとしてしまう)が、皆で自力で用立てることに成功する。
奇跡は起こる。
絶対起こる。
港町3部作の1作目だそうだ。
残り2作品の舞台も決まっているようだけれど、港町&奇跡というと、オデッサを取り上げてほしかったなあ。(我がチェルノモーレツ・オデッサの愛称の一つがЧудо(奇跡)なので。)
「君を想って海をゆく」が、フランスの難民排除政策の過酷さ(不法滞在者を密告しないと、そのことが刑法的な意味でも犯罪となるという法律を成立させている)を取り上げていたが、そんなご時世に堂々と奇跡を起こし、ハッピーエンドに持って行った、カウリスマキ、マラジェッツ!
好きだよ、アキ。
レトロなノルマンディーのロケンロールも最高でした。
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