2012年9月6日木曜日

沼野先生のチェーホフ

オデッサ・コスモスに載せそびれてしまったのだけれど、今晩からNHK教育テレビの「100分de名著」という変な番組で、沼野充義先生が講師となってチェーホフの『かもめ』が取り上げられる。

一回25分×4回で100分、それで«名著»を語るというものらしい、というのは、一昨日あわててテキストを買って一通り目を通して抱いた印象だ。

番組は予想以上に酷かった。
これならテキストを読むだけで十分。

沼野先生の読み込み方は勿論大変示唆に満ちているし、なるほどそうかと思う部分は少なくないのだけれど、そしてそれを読むばかりでなくご自身が語っていらっしゃるのをTVで見聞きするのも悪くはないのだけれど、その他の構成がばかみたいなのだ。

これまでのこの番組ではカフカの『変身』、フランクルの『夜と霧』などが取り上げられているが、それらの扱いだどうだったのかは観ていないのでわからないが、『かもめ』は戯曲だからか、一見芝居風に主要人物を日本人の俳優?(プロなのか?皆すごく下手!)が台本を手に持ったようにして台詞を棒読みする。
『かもめ』は戯曲なので、読むだけではなく、実際に芝居を観るべきだ、と私は思ってやまない。
が、この学芸会にも劣るこれは何なんだ???
これでは読む気も観る気もなくすだろ。

参考作品として出てくるチェーホフの他の作品(『可愛い女』…沼野先生は『かわいい』という邦題にしていらっしゃる)は不気味なテイストのアニメーション。←実はこれを恐れていたが、やっぱりね。以前教育TVで『カラマーゾフの兄弟』を亀山先生が講師でやったときそうだったのだけど、とっても興ざめだったので、あれはやめて欲しいなあと思っていたのだ。

台詞棒読みとアニメーション、どちらもチープ感甚大だ。

これなら沼野先生が一人で放送大学の授業みたいに講義形式で解説するだけの方が落ち着いていていいのに。

それと、沼野先生とチェーホフ、これもやはりあんまり合っていない気はする。
チェーホフに沼野先生は合わないし、沼野先生にチェーホフも合わない、という気がするのだ。
沼野先生はチェーホフを(他のロシア文学者の先生方と同様に)お好きなので自分なりに訳したり解説したりなさりたいのだろうけど、沼野先生にはチェーホフみたいな定番ではなくて、もっととんがったものを紹介していただきたいと願ってしまうのだ。

と、たいそう勝手な感想でした。

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