黒田龍之助先生が大学書林から『ベラルーシ語基礎1500語』を上梓された頃、日本でベラルーシという言葉が話題になるのは、
①チェルノブイリ絡み
或いは
②岸恵子著『ベラルーシの林檎』を読んだ云々
にほぼ限られていたのでした。
(大変マニアックな分野(ミリオタ)では「炎628」というハードな戦争映画(いやもう、ホラー映画といっていいような作品!)もありましたが…)
そして、今秋公開された「カリーナの林檎」。
ベラルーシが舞台の劇映画。
監督は日本人で、制作されたのは2004年。
タイトルから予想されてしまうが、やっぱりチェルノブイリが背景にある作品。
いやそれどころか、世界初のチェルノブイリものの劇映画(つまりドキュメンタリーではない)なのだそうです。
今年になってようやく日の目を見ることができたわけだけれど、監督さんにはこれを機に再生していただきたいですね。
今日、シネマート六本木に観に行ったところ、まあまあの入りでした。
上映後、監督さんがドアの外に立って丁寧に挨拶をしていました。
ベラルーシの田舎の風景は美しい。
ヒロインの少女は無論可愛い。
しっかり者だが儚げ。
話の展開や登場人物の行動は??な部分が少なくない(道に迷ったら絶対案内してくれる過剰に世話好きの人がいるだろうし、放射線高濃度立入禁止区域で子どもがふらふら歩いているのを目撃したら絶対に連れ戻すだろう、あと、可愛い犬のぬいぐるみを捨てていかないでよ~~~!)が、全体にお伽噺的にまとめていると思えば納得できる範囲内か(やや甘い評価だけれど)。
観ておいて損はない(Неплохо)、とは言える。
プログラムは800円と結構お高いです。
自主上映なのでカンパ代込みとは思うものの、内容はもっと充実させてほしかったです。
ちょっと内輪ネタの話題が多すぎと感じます。
監督とヒロイン役のセリョギナ以外のキャスト・スタッフについて紹介すべきだったのでは?
特に祖母役の女優さん。
それからカリーナについての説明もあったらよかった。
サッカー選手のマクシム・カリニチェンコのニックネームがカリーナであること(苗字の由来がカリーナだからだが)はまあいいとして、愛称形のカリンカは歌で有名ですね、とか、ハート型の実が幸福を象徴しているので、健康と幸福を祈って祖母もヒロインを本名ではなくカリーナと呼ぶのだろう、とか(←と私は解釈した)。
反原発のメッセージ映画と思われたくないという監督の意向が反映されているのかもしれないけれど、チェルノブイリの事故、その被害について、せめてプログラムにははっきり示した方がよさそうにも思うし。
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