2011年11月23日水曜日

チェーホフに恋はすまじ

現在授業で苦しめられている教科書は『リピーティングで学ぶロシア語』全30課で、今26課。
というわけで、もうすぐ終わってしまう。
同じ著者(阿部昇吉先生)のシリーズ本のようになっているもので『シャドーイングで学ぶロシア語』もよさそうだけれど、会話ではないから続きの授業では扱わなさそう。
つまり独習?
今年の7月に刊行された『対訳チェーホフ読本』も同著者、そしてCDに吹きこまれた声も『リピーティングで~』と同じ人、セルゲイ・ロマノフさんとスヴェトラーナ・ラティシェワさん。
スヴェトラーナさんはNHK講座に出演されていたので、お馴染の(懐かしい)お声だ、

さて、『対訳チェーホフ読本』はチェーホフの短編(チェホンテなどのペンネームを使用していた初期のものが多い)と一幕物の戯曲である『プロポーズ』の対訳、「チェーホフ・ノート」と題したコラム、それにCD付きの、音読中心の教科書。
でもCDに収録されているテクストは
*『去りぬ』
*『魚の恋』
*『たわむれ』
*戯曲『プロポーズ』
の4つのみ。
このほかのテクストの音源は「А.П. Чехов - Аудиокниги в mp3」で無料ダウンロードできると紹介されています。

以前にも書いたけれど、チェーホフとのファースト・コンタクトは、親に読み聞かせてもらった樹下節訳の『くり色の犬』であり、それがまたロシア文学とのファースト・コンタクトでもあったでしょう。
(あるいはその前にレフ・トルストイ作の民話に出会っていたかもしれない。)
そして、初めて原文で読みとおしたロシア文学は『恋について』。
さすがに初めてのロシア演劇は、チェーホフではなくてマルシャークかなんかの児童劇(または人形劇)だと思うけれど、チェーホフ劇はいつのまにか親しんでいました。
そんなわけで、ロシア文学の中でも、チェーホフはとりわけ馴染な感じがしています。

特に、『たわむれ』は好き。
二人は結ばれなかったけれど、そのたわむれの記憶はとても幸せなものであって、私見ではナージャは「私」を決して恨んでなんかいない、現在あんまり幸せでないのは「私」の方ではないか?それでちょっとうじうじ過去を振り返ってしまったのではないか?という気がします。

『たわむれ』は、上智の学生演劇で観たことがあります。
これは傑作でした。
若々しく、且つ「好きだよ、ナージャ!」と言いつつ何度も橇滑りを繰り返すばかばかしさが微笑ましかった。

『プロポーズ』も、何度か舞台で観ています。
印象的なのはヤロスラーヴリのヴォルコフ記念劇場の来日公演。
(日本語字幕が九州方言で訳されていて煩わしかった。戯曲で読むときであれば九州方言訳でもまあ趣味の問題と言えるのだけれど、舞台での字幕はその場でさっとわかりたいわけで、九州以外の場で九州方言は迷惑とも言えた。)

音源がCDに入っていないテキストは
『喜び』
『デブと痩せ』
『顔見知りの男』
『別荘にて』
『不注意』
『寄る辺なき女』
『とんだクワセモノ』
『皮肉屋』

0 件のコメント:

コメントを投稿