2012年3月5日月曜日

ブラボー、プトゥーシキナ!

東演の「どん底」のほとぼりも冷めぬうちに、またも下北沢へ。
今度はロシア現代劇連続上演シリーズ第4作、ナジェージダ・プトゥーシキナの「ブラボー、ラウレンシア!」。

母オリガ(新井純)、息子オレグ(松﨑賢吾)、息子の連れ合いエーリャ(千葉綾乃)、オリガが旅先で出会った友人マイヤ(青山眉子)の4人芝居で、舞台はオリガとオレグが暮らすアパート。

プトゥーシキナのもう一つの作品「家族の写真」は冒頭が人気ソ連映画「運命の皮肉」に似たアパート取り違えであったが、この作品は落ちがやはり“見覚えのある”ものなのだ。
確か、ユリヤ・ヴォズネセンスカヤの『女たちのデカメロン』Женский Декамерон の中にあったエピソードだ。
あちらのエピソードはこの戯曲のように幸せな終わり方をしなかったけど。※
真実を話した母親は、夫からは暴力を受け、息子からは縁を切られたのではなかったか。
(それでも息子のつれあいの無実を晴らすために、真実を告げないわけにはいかなかった。)

こういう状況は、ソ連~ロシアではある程度の頻度で起きていたことなのかもしれないし、そういう現実に対してふつうはヴォズネセンスカヤのような悲劇的な結果が予想されるところ、プトゥーシキナはやや強引な偶然(オリガが偶然旅先で知り合ったマイヤが、帰国後乗り継ぎに偶々失敗。オリガ宅にやってきてエーリャと対面すると実は…云々)を駆使しつつ、何が何でもハッピーエンドに持ち込む。
現代のお伽噺、といったところだ。
ブラボー!
ブラボー、プーシキン!
ブラボー、プトゥーシキナ!

元バレリーナであるオリガのアパートには練習用のバーがある。


けど、この作品でただ一人の男性オレグの頼りないことと言ったら!
これこそ現実か?!

さて、ロシア現代劇シリーズ、次回はいよいよブルガーコフ、それも『犬の心臓』だ!
楽しみだ。

※エピソード自体は悲惨な結果だったが、この本自体の結末はオールハッピーエンドである。

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