『ロシア宇宙開発史』に登場するロシア宇宙開発の先達
純粋に技術的にどういう貢献をしたかということより、印象的なエピソードを拾い出してメモ書きしてみる。
・アレクサンドル・ドミートリエヴィチ・ザシャトコ
ポルタヴァ生まれの帝国ロシアの将校。私財を投じてロケット弾開発を行い、ロケット中隊を組織(露土戦争に参戦)。
・コンスタンチン・イワノヴィチ・コンスタンチノフ
皇族の血筋(ニコライ一世の兄の庶子)。世界最初の軍用ロケットに関する書物『軍用ロケットについて』(フランス語・1861年)出版。
・ドミートリー・イワノヴィチ・メンデレーエフ
周期律の人
・ニコライ・イワノヴィチ・キバリチチ
キバリチチ・メモを残した革命運動家(「人民の意志」派)。アレクサンドル二世暗殺に関わったとして処刑された。独学で当時としては最先端の火薬類に関する知識を習得し、逮捕から処刑までの間にペトロパヴロフスク要塞で「大気中飛行装置の計画」(キバリチチ・メモ)を残す。
・コンスタンチン・エドアルドヴィチ・ツィオルコフスキー
父はポーランド系、母はヴォルガ・タタール人。幼い頃、聴力をほとんど失う。ボロフスクやカルーガでの教師生活の傍ら気球の制作・飛行実験を続けた。
・ニコライ・エゴロヴィチ・ジュコーフスキー
ツィオルコフスキーの業績を抹殺したという(チジェフスキーによる)秀才。ロシア・ソ連航空界に君臨した「ロシア航空の父」
・アレクサンドル・レオニードヴィチ・チジェフスキー
ツィオルコフスキーとの交友録を残した宇宙生物物理学者。ポーランド生まれ。
・アレクサンドル・ペトローヴィチ・フョードロフ
発明家。『大気中飛行の新原理―大気を支持媒体としないで済む』を出版。この著書がツィオルコフスキーにヒントを与え、宇宙空間飛行の可能性を示すことになったという。
・ニコライ・イワノヴィチ・ティホミロフ
19世紀末にロケット推進に関して基礎的な研究を行った。
・ウラジーミル・ペトロヴィチ・ヴェトチンキン
専門は飛行力学。ツィオルコフスキーの批判者。
・ヤコヴ・イシドロヴィチ・ペレリマン
啓蒙的物理学者。熱烈なツィオルコフスキー支持者。『おもしろい宇宙―惑星間旅行』(『おもしろい…』シリーズの一冊)でツィオルコフスキーの業績を紹介。
・イワン・プラトノヴィチ・グラーヴェ
・フリードリヒ・アルトゥーロヴィチ・ツァンデル
リガ生まれ。着席する時「火星に向かって前進!」と叫んでいた浮世離れした人(好感が持てるな)。コロリョフが保養所を手配して無理に休暇を取らせたのだが、ツァンデルは汽車代を浮かせようと安い3等車で休暇先に向かう途中チフスを移され、保養所で亡くなった。コロリョフが休暇を薦めなければ…。コロリョフ、罪悪感に駆られなかっただろうか?
・ヘルマン・オーベルト(ルーマニア)
ファリエの協力で『惑星空間へのロケット』出版。
フリッツ・ラング監督の映画「月の女」に技術アドヴァイザーとして協力(が、イベント用のロケット開発に失敗してルーマニアに逃げ帰る。このときの役立たずの助手がルドルフ・ネーベルとアレクサンドル・ボリソヴィチ・シェルシェフスキー)。
・アレクサンドル・ボリソヴィチ・シェルシェフスキー
ロシア国籍のポーランド人。ツィオルコフスキーと文通していた。オーベルトにもグルシコにも解雇された、あんまり能力のない人だったらしいが、唯一やった有意義な仕事がオーベルトの元にチジェフスキーから送られたツィオルコフスキーの論文をドイツ語訳したこと(オーベルトはそのドイツ語訳を読んで、ツィオルコフスキーに回答した)。殆ど役立たずだったとはいえ、1936年にスパイ容疑で銃殺刑になったというから何とも哀れである。
・ロバート・ゴダード(アメリカ)
・マックス・ファリエ(ドイツ)
・ユーリー・ワシーリエヴィチ・コンドラチュク
ポルタヴァ生まれ、ユダヤ系、元白軍将校。本名はアレクサンドル・イグナチエヴィチ・シャルゲイ。1941年志願入隊した最初の戦いで戦死。著作一つ、白軍将校時代の三種類のメモ、66ページの原稿を残して45歳で亡くなった。
・ヴァレンチン・ペトロヴィチ・グルシコ
ツキのある人。密告者コスチコフの顔面に鉄拳を食らわせた武勇伝も持つ。オデッサ生まれ。
・セルゲイ・パヴロヴィチ・コロリョフ
ジトーミル生まれ。母方はギリシャ系移民及びザポロジエ・カザーク。オデッサ育ち(埠頭にある家のバルコニーで黒海沿岸警備水上機の発着を見て暮らしたのが航空の世界への誘いになったと言われる)。
・ミハイル・ニコラエヴィチ・トゥハチェフスキー
「労農赤軍近代化の父」でロケット開発の動きをまとめて国家的プロジェクトレベルまで引き上げた。スターリンの盟友クリモント・エフレモヴィチ・ウォロシーロフ(従来の騎兵主体の陸軍に固執した)と対立し、大粛清の際、無実のスパイ容疑で銃殺された。
・ゲオルギー・エリホヴィチ・ランゲマーク
キロヴォグラード生まれ。父はドイツ人、母はスイス人。オデッサのノヴォロシア大学入学後労農赤軍に志願。クロンシュタットの水兵反乱を経験。固定ロケット弾カチューシャ開発で中心的役割を果たす。大粛清に巻き込まれ無実の罪で処刑された。
・イワン・テレンチェヴィチ・クレイミョノフ
コロリョフ、グルシコの上司だが、ロケット開発に関しては専門外で、管理者としても力不足だったようだ。粛清の犠牲となった。
・アンドレイ・ニコラエヴィチ・ツポレフ
・ミハイル・クラウディエヴィチ・ティホヌラホフ
ウラジーミル生まれ。学生時代グライダー協議会でコロリョフと知り合う。切手収集やカブトムシ収集・研究でも専門家はだしの趣味の人(いいなあ)。ツァンデルの死後、彼の書き残したものをまとめて発表した。スプートニクや有人軌道飛行分野で活躍。
・ユーリー・アレクサンドロヴィチ・ポベドノスツェフ
モスクワ生まれ。ポルタヴァ育ち。終生コロリョフを支えた。
・レオニード・ステパノヴィチ・ドゥシキン
・エヴゲーニー・セルゲイエヴィチ・シチェチンコフ
コロリョフの同期生。
・アリ・アブラモヴィチ・シュテルンフェルト
ポーランド生まれのフランス人。社会主義に憧れてソ連に移住。研究所から解雇されはした(外国籍だったので機密管理のため)が粛清の時代も生き延び、宇宙関係の著述家となる。著書『人工衛星』は邦訳あり(岩波新書)。
・レオニード・コンシウタンチノヴィチ・コルネーエフ
・アンドレイ・グリゴリエヴィチ・コスチコフ
労農赤軍に籍がった共産党員。クレイミョノフ、ランゲマーク、グルシコ、コロリョフを「破壊分子」として告発。
・ボリス・ヴィクトロヴィチ・ラウシェンバハ
・アルヴィド・ウラジーミロヴィチ・パロ
・ウラジーミル・パブロヴィチ・バルミン
(書きかけ)
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