半年くらいかかったか。
やっとやっと、『囁きと密告 スターリン時代の家族の歴史』上下2巻を読み終わった。
レフ・トルストイの大河小説よろしく、500人もの人々が登場する、ソ連を生きた人たちの歴史であって、感想を述べるのはほんとうに難しい。
普通の人たちもたくさん登場するが、作家・俳優・映画監督等知識人たちも大勢出てくる。
最も登場回数が多いのは作家のコンスタンチン・シーモノフ。
端的に言うと、スターリン時代を生き抜くために身近な人(妻・娘も含めて)を見捨てた人であり、仕方なかったのかもしれないが酷いなあ…と舌打ちしたくなる人物だったのだが、晩年は案外誠実に自らの過ちに向き合ったようで、少々救われた思いに至る。
著名なサッカー選手イーゴリ・ネットの兄、レフ・ネットは下巻からの登場で、本文では2箇所、しかし著者あとがきでもスペシャル・サンクスに名前が挙がる。
彼は、「名誉回復」申請を、積極的に拒否したという(下巻405ページ)。
我々に対し犯罪を犯した国家に、名誉回復を請い願うなんてナンセンス!というわけだ。
レベラヴなんだね。カッコいい。
(勿論、名誉回復を申請するのも当然の権利である。)
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