2012年7月8日日曜日

有名猫の話

もちろん、エルミタージュの番猫たちも載っている。

『歴史を変えた100匹の猫』

第一章 科学と自然
ティブルス ある動物種を絶滅させた猫(ニュージーランド) 
スノーボール 殺人犯を捕まえた猫(カナダ)
マセク 闇の中で光を放った猫(オーストリア(現クロアチア))
*ニコラ・テスラの飼い猫。マセクはセルボ・クロアチア語で「雄猫」。
ブラックベリー マンチカン族の女王(アメリカ) 
F.D.C.ウィラード 物理学者になった猫(アメリカ)
サー・アイザック・ニュートンの猫 キャットドア誕生の秘密(イギリス)
ティー・シー 発作を予知した猫(イギリス)
CC 世界初のクローン猫(アメリカ)
*CCのその後。幸せに暮らしているようでほっとする。遺伝子を提供した(提供させられた)のは三毛猫レインボーだが、CCは白黒縞猫だ。“愛猫のコピー”産業が流行らない理由は、①莫大なお金が要る②遺伝子情報が同じでもオリジナルそっくりになるわけではない③それに、例えオリジナルそっくりだったとしても、愛猫はやっぱり唯一無二の存在なのだ!ということなのではないか。
アコースティック・キティー CIAの盗聴器にされた猫(アメリカ)
オールボール ゴリラと遊んだ猫(アメリカ)
*「ペットの猫が欲しい」という希望を手話で伝え、子猫を飼うことになったゴリラのココ。悲しいことに一年足らずでオールボールは世を去る。大切な存在を失ったココは何日も嘆き続けたという。
シュレーディンガーの猫 宇宙でもっともなぞめいた猫(ドイツ)
書ききれなかった猫たちのリスト
・歴史に残る最初の飼い猫(キプロス)
・ドクターズ・デビルズ(イギリス)
・シシー(ドイツ・/フランス) シュバイツァー博士の飼い猫
・タマ(日本) オムロン社の猫型ロボット
*これ出すくらいならドラえもんの方が歴史や世界を変えたと言えるのではないだろうか?
・低刺激猫(アメリカ)
*猫アレルギーを起こさない猫だそうだ。

第二章 歴史と政治
ナジェム 名前を持った最初の猫(エジプト)
*「いとしい者、人気者」の意。それ以前にはどの猫も単に「マウ(ニャーと鳴く者)」と呼ばれていた。
ムエッザ ムハンマドが愛した猫(サウジアラビア)
ディック・ホィッティントンの猫 政治家誕生のきっかけを作った猫(イギリス)
ケイタラー 鳩を運んで囚人を救った猫(イギリス)
招き猫 日本で幸運のシンボルになった荒れ寺の猫(日本)
ラッターキン 殺人犯の汚名を着せられた猫(イギリス)
シン 伝説となった最初のバーマン(ビルマ)
シャム アメリカに渡った最初のシャム猫(タイ)
タイガー ホワイトハウスからさらわれた猫(アメリカ)
オスカー(改めサム) 戦艦ビスマルクをはじめ、何隻もの船を沈めた猫(ドイツ→イギリス)
*オスカーが沈めた船:「ビスマルク」「コザック」「アーク・ロイヤル」
ジョック 歴史的建造物の名物になった猫(イギリス)
*チャーチルの「飼い猫」
アーメダバード 国際問題を引き起こした猫(インド)
スマッジ 組合員になった猫(イギリス)
ハンフリー 英国史上もっとも話題をさらった猫(イギリス)
ブラッキー 言葉をしゃべり、愛の告白までした猫(アメリカ)
キャトマンズ パーティー好きならぬ、パーティ(政党)の花形になった猫(イギリス)
ソックス クリントン政権の非公式マスコット(アメリカ)
コルビー 大学生になった猫(アメリカ)
ルイス 外出禁止令を受けた猫(アメリカ)
書ききれなかった猫たちのリスト
・スリッパーズ(アメリカ)
*セオドア・ルーズベルト大統領の飼い猫
・トム・キトゥン(アメリカ)
*ジョン・F・ケネディーの娘キャロラインの飼い猫
*命婦のおもと?(日本)
*一条天皇の飼い猫。この本には「命婦のおもと」と書かれているが、私の手持ちの『枕草子』(岩波文庫)では「命婦のおとど」になっている。おとど=大臣。
うへにさぶらふ御猫は、かうぶりにて命婦(みゃうぶ)のおとどとて、いみじうをかしければ、かしづかせ給ふが、はしにいでてふしたるに、乳母の馬の命婦、「あなまさなや。入り給へ」とよぶに、日のさし入りたるに、ねぶりてゐたるを、おどすとて、「翁丸、いづら。命婦のおとどくへ」といふに、まことかとて、しれものははしりかかりたれば、おびえまどひて御簾のうちに入りぬ。(第9段)
・ミセット(バチカン)
*レオ十二世の飼い猫
・ホワイト・ヘザー(イギリス)
*ヴィクトリア女王の飼い猫


第三章 芸術と文学
エルミタージュの護衛兵 ロシア随一の美術館を守る猫たち(ロシア)
*当ブログでも何度も紹介した美術館の番猫たち。エリザヴェータ帝の表記が「エリザヴェータ・ペトロフスカ」になっている(ポーランド風?)が、正確には「エリザヴェータ・ペトロヴナ」だ。レニングラード封鎖により激減してしまった猫を補充すべく、「猫列車」でシベリアやヤロスラーヴリから“招集した”という話題はこちら
セリマ 芸術に命を捧げた猫(イギリス)
ビアボーム イギリスの名優たちのお株を奪った猫(イギリス)
ホッジ 辞書執筆に手を貸した猫(イギリス)
キャタリナ ポーの心の秘密に触れた猫(イギリス)
パンガー・バン アイルランド一有名な猫(オーストリア)
*聖パウロ修道院に修業しに来たアイルランド出身の写字生がパウロ書簡集写本の裏にゲール語で書きつけた詩に登場する、おそらく白い猫。
ピーター 主人を狂気へと導いた猫(イギリス)
「旦那様の猫」 文豪ディケンズの心をとらえた猫(イギリス)
ハムレット 文学者仲間のアイドルだった猫(アメリカ)
ブルチネッラ フーガを作曲した猫(イタリア)
カルビン 二人の作家にインスピレーションを与えた猫(アメリカ)
ダイナ 『不思議の国のアリス』の中で二番目に有名な猫(イギリス)
フォス 愛されすぎて現実を超越した猫(イギリス)
コビー 主人のハートを本当に盗んだ猫(イギリス)
ポーラーベア つむじ曲がりのハートをとらえた猫(アメリカ)
*『ニューヨーク・猫物語』というタイトルで邦訳が出ているそうだが、原題の『クリスマスにやってきた猫』の方がいいなあ。
ミスフ二世 カナリアを食べた猫(フランス)
ジョフリー 世界一信心深い猫(イギリス)
書ききれなかった猫たちのリスト
・ミノー(フランス) ジョルジュ・サンドの飼い猫
・タキ(アメリカ) レイモンド・チャンドラーの秘書猫
・プドレンカ(チェコ) カレル・チャペックの飼い猫
・ボッシュとトミー(オランダ) アンネ・フランクの隠れ家での話し相手
・ヒンス(イギリス) サー・ウォルター・スコットの飼い猫

第四章 大衆文化
ペッパー 猫の映画スター第一号(アメリカ)
カスパー 世界一幸運な黒猫(イギリス)
オレンジー スクリーンを彩ったわき役の女王(アメリカ)
ミムジー ライオンのレオの向こうを張った猫(アメリカ)
タウザー ネズミ退治の世界チャンピオン(イギリス)
ラッキー 広告キャンペーンの主役を射止めた猫(アメリカ)
ミャオミックスの猫 広告のために命を落としかけた猫(アメリカ)
ハワード・ヒューズの猫 飼い主にだけはめぐまれなかった猫(アメリカ)
フェットとプロイ 結婚式を挙げた猫(タイ)
ティドルス ロンドン一の太っちょ猫(イギリス)
トニ 世界一女性にモテる猫(イギリス)
ドケット コレクターを喜ばせた迷い猫(イギリス)
フランク インターネット現象になった初めての猫(イギリス)
書ききれなかった猫たちのリスト
・グリマルキン(フランス) 占星術師のストラダムの飼い猫
・デライラ(イギリス) フレディー・マーキュリーの飼い猫
・ルピ(イギリス) イアン・アンダーソンの飼い猫
・ジェリーローラーム(イギリス) T.S.エリオットの飼い猫
・カルーン(フランス) ジャン・コクトーの飼い猫 

第五章 勇者たち
サイモン 英国一の名誉に輝いた海の英雄(香港)
フェイス ロンドン大空襲に立ち向かった猫(イギリス)
ミセス・チッピー 南極大陸を探検した猫(イギリス)
フィリックス 初めて宇宙へ飛び立った猫(フランス)
子猫の登山家 マッターホルンを征服した猫(スイス)
スカーレット アクションヒーローになった猫(アメリカ)
ムールカ スターリングラードの闘いに加わった猫(ソ連)
*「ムールカ」は「ムルカーチ(喉をごろごろ鳴らす)」という動詞からできた、ごくごくありふれた猫の名前。本文には「赤軍(ロシア軍)」という表記が出てくるのがちょっと気になる。ロシア軍ではなく、ソ連軍だと思う。
プレシャス 9.11を生き延びた猫(アメリカ)
トミー 電話をかけた猫(アメリカ)
エミリー ワーストクラスでフランスへ旅した猫(アメリカ)
ルシク 密輸品のキャビアを嗅ぎつけた猫(ロシア)
スパーキー 一万一〇〇〇ボルトの電圧に耐えた猫(イギリス)
トリクシー ロンドン塔にしのび込んだ猫(イギリス)
トリム オーストラリア大陸初周航に加わった猫(イギリス)
グランパ 世界一長生きした猫(アメリカ)
書ききれなかった猫たちのリスト
・ハムレット(カナダ) 第3章に登場したのとは別猫
・アンディー(アメリカ)
・シュー(フランス)
・パツィー(アメリカ) リンドバーグの飼い猫
・ダスティー(アメリカ)


猫のフーガはこれです。



犬編もあります。
「歴史を変えた」と言うほどでもないけれど、歴史を飾った素敵な猫たち。
猫の歴史学入門書!

著者がアメリカ人なのでしかたないが、ネタ猫はアメリカ・イギリス及びイギリスの植民地時代のアジア地域在住が中心だ。
ドイツ・フランス・イタリアあたり、探せばまだまだありそうだし、
ギリシャやトルコはきっともっとあるぞ!
北欧0は悲しい。
ロシアでは、歴史的に有名な猫というと、「ピョートル大帝の猫」のルボークでしょうかね。
著者のせいか訳者のせいかわからないが、引用や表記に不明あるいは不正確な箇所があるのが気になる。

英語文化の素養がないもので、3~4章は飼い主や作品に馴染がなくて、残念だった。
知っていればさらに楽しめただろう。
(作品には未邦訳のものも多い。特に詩集は。)

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